遊園地。
遊びの園の地である。
笑顔の絶えぬ楽園。それが遊園地である。
そして、家族連れ、友人グループ、時には、カップル。
皆が笑顔になれる場所。
それが遊園地である。
私は今、そこにいるのである。
彼女と。
彼女とである。
我輩は人である。
名前はまだない。
嘘である。
名前あるである。
サッカーは好きであるが、探偵ではない。バーローなんて言わない。
何故我輩がこのような喋り方なのであるか、推理してみたまえ、名探偵諸君。
緊張しているのである。
初めての彼女との遊園地である。
そりゃ緊張するぜバーロー。
あ、バーロー出た。じゃあ、ジェットコースターはやめておこうな、事件が起きて、黒い奴らにアポなんとか飲まされて、ちっちゃくなっちゃうからである。
名前はなんにしようかな。荒木ジョジョかな。藤子・F・〇ラえもんかな。
緊張しているのである。
そして、隣も緊張しているのである。
我輩の彼女である。
名前はまだない。
嘘である。
名前あるのである。
空手はやっているらしい。設定モロかぶりじゃねえかどうなってるんだおい。
ちなみに身長は、10センチ高い170センチである。かぶってないセーフ。
ただ、彼女より一センチ俺が高いので、その一センチは人間にとっては小さな一センチかもしれないが俺にとっては偉大なる一センチである。テストに出るので覚えておいて欲しい。
というわけで、非常に身長が近いため顔が近いのである。
見れば、彼女も緊張しているのである。
もういい。誰か麻酔銃で俺達を眠らせて、眠りのデートに連れて行ってくれ。
そんなんいやじゃー! 何が楽しいそんなん!
という脳内ノリツッコミを繰り返しようやく落ち着いてくる。
ふと気づけば、彼女がこちらを見ているのである。
「な、なに?」
声が上擦るのである。
「も、もしかして、緊張してんのかよ?」
声が上擦っているのである。
「そりゃあな、初めての彼女と、初めてのデート、初めての遊園地ぞよ」
ぞよってナニヨ、俺ぇええええ!
「あ……一緒だな。うれしい」
彼女はギザ歯を思いっきり見せて笑った。
あ、ギザ歯最高。
大きな口に、ちょっと悪そうな鋭い歯……!
この日、遊園地で事件は起きた。
被害者は、小角伏人一七歳学生。
加害者は、来馬晶一七歳学生。
死因、尊死。
殺害現場は、チケット売り場。
まだ、事件は始まったばかりである。