(来馬晶視点)
ようやく遊園地の入場チケットを購入し、小角は入ろうとする。
しかし、アタシは今、遊園地より気になっていることがある。
アイツのジャケットのポケットから見えている小さな紙袋だ。
それは、春休みにアイツとざまぁ特訓という名目で遊びに行った帰り道に立ち寄った雑貨屋の紙袋だ。
多分、多分だけど、勘違いでなければだけど、
プレゼントだろう。
いや、見えすぎ。下手くそか。
アタシは、で、デート中ずっとそれを見て見ぬふりする自信ねーぞ。
嬉しい可笑しい恥ずかしい色んな感情入り交じってアタシはまたギザ歯を見せつけてしまう。
すると、小角は、
「あ、これ、プレゼント」
事も無げにいきなり渡してきた。
「は?」
アタシ。
「は?」
アイツ。
「ええ? こういうのって普通、で、デートの最後に渡すもんじゃねえの?」
「し、知るか! そんなセオリー、俺がぶちこわしてやるったらやるんだい!」
急に子供になった小角。
ぷいと顔は背けながらも紙袋はこっちに突き出している。
アタシは、小さな苦笑をうかべ、受け取る。
初めての彼氏からのプレゼントはデートスタートに受け取るという予想外の展開。
ドキドキしながら開ける。
これは……
小角曰く、
アタシは雑貨屋ずっと一つのアクセサリーをちらちら見てた、らしい。
小さな真珠っぽいのがついたネックレス。
おい、良かったな。
デート中多分ずっとお前の好きなギザ歯見られるぞ。
ニヤニヤし続けるに決まってんだろ、ばか。