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第16話 最強ギザ歯彼女は独占欲強めですケド!

【来馬晶視点】


「小角、これありがとう! 面白かった!」


教室の前の方、天生が小角にマンガか何かを返していた。


天生はある意味、アタシ達のキューピッドと言えるし、今までの行いも反省したみたいでばっさりショートになっていたし、アタシと小角と仲良くなりたい、自分が変わったことを見て欲しい、と言ってきたし、まあ、小角は天生に対して甘いし、アタシも引きずるのもめんどくさい。なので、まあ、許してやってもい。許してやってもいいが……


「ねえ、小角! 週末来馬と遊園地デートの計画は立てた? いいなあ~、小角と遊園地。ねえ、小角って二等分出来ない?」


出来ねえよ。無茶言うな。

あと、小角に学校アイドルスマイルかますな。かますな。


天生は、キラキラした顔で小角に積極的に絡んでいる。

腹が立つが、マジであの女は顔は良い、あと、胸がある。もぎとりてえ。

アタシは思わず席を立ち、2人に近づく。


「おい、淫乱天使。小角誘惑してんじゃねえよ」


小角が目を線にして微笑を浮かべている。降参の表情だ。

天生はにやにやしてる。

分かってる。

こいつはアタシで遊んでるんだ。

分かってはいるが、スルーは出来ない。


「え~、なんで誘惑しちゃダメなの?」


分かって聞く。絶対遊んでる。

アタシは覚悟を決め、小角の腕を掴み、引き寄せる。


小角の鍛えた身体が当たってめっちゃ熱い。ゴツゴツしてるな。いいな。

じゃなくて!


「き、決まってるだろ。アタシの彼氏だからだよ。な?」

「そ、そうでしゅぅう!」


小角がエロマンガみたいにふにゃふにゃな台詞を吐く。どした?

アタシの身体で興奮したのか?! う、嬉しいけど! しばく! あとでしばく!


「じゃあ、別れたら、誘惑していいよね?」


あ、あ、あ、あほの天生が、首をこてんと傾け、指を頬に添え、アザトカワイイ仕草で聞いてくる。てんめええええええええええええ!


「ダメに決まってんだろ! コラア……!」


きゃーと言いながら、天生が去っていく。

腹が立つ。ちょっと天生とこういうやりとりが出来て嬉しいことも腹が立つ!


目を線にして微笑を浮かべる小角がどこかに行こうとする、待て。


分かってる。小角は大丈夫ってことはわかってる。

でも、伝えておきたい。

ああ、こんなに不安になるのか! すげーな! 世のカップルは! 良く耐えてるよ!


小角の腕をつかもうとするが、だめだ! 今、めっちゃ熱い! 絶対手も熱い!

熱いのがばれる!


アタシはそでをつまんで、次に伝える言葉の為に深呼吸。すーはー。


小角が振り返る。いつも通りやさしい目で、『なんでも話してくれ』って目で。

だから、伝えるな。めっちゃ恥ずかしいけど!


「だ、ダメだからな。アタシの彼氏なんだから」


「二等分になっても五倍になっても、どっちもどれもアタシのな」


ちらりと小角を見ると、視界から消えている。

下から気配。

下を見ると、小角が目を線にして、死んでいた。

前から気配。

前を見ると教室の入口で天生が「熱い熱い」と笑ってた。

アイツ、マジでいつか泣かすからな。

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