ジェットコースターでワクワクしてる顔を見られて以来、
めちゃくちゃ小角がこちらを見てくる。おい、やめろ。
たまにスマホ構えてる。おい、やめろ。
ただ、徐々にこちらを見る時間が少なくなってくる。おい、
ちょっと不安になる。
もしかして、小角は楽しめてないんじゃないか。
アタシがひとりで勝手にはしゃいでるんじゃないか。
聞くのは怖い。
でも、聞かないですれ違っていく方がよっぽど怖い。
「あ、あの、な……遊園地、好きじゃなかったか?」
「へ?」
「いや、小角、なんか、しゃべんなくなったから……」
「あー……」
小角が視線を泳がす。
やっぱり……。
「あの、さ」
「うん……」
「俺、遊園地来るの、多分、小学校以来なんだよね。なんか……楽しすぎて、えーと、びっくりしてた」
え?
よかった。
よかったぁああああ!
楽しくないわけじゃなかった!
楽しくないわけじゃなかった!
「ごめんな、勝手に楽しんで」
「う、ううん! いい! うれしい! うん!」
やばい、変なリアクションした。
「ありがとな、誘ってくれて。すげーたのしい」
「あ、うん。よかった。うん」
おい、やめろ。
急にそんな笑顔。
やばい笑顔。
えが……ヒヒヒ。
笑ってると小角が手を出してきた。
「どした?」
「あー、うん、遊園地久しぶりだからか、ふたりで楽しむ方法が分かりませんので、とりあえず、手でも繋いでみようかと」
おい、やめろ。
ジェットコースターよりドキドキするわ。
おい、やめろ。
照れるな。ひっこめるな。
つなぐ。
つなぐからな。
つ、
つな、
つなぐからな!
おいぃい! ひっこめるなあ!
小角を睨むと、もう一回手を出してくれた。
掴む。
あつい!
うれしい。
ヒヒヒ。
「たのしい?」
「たのしい」
「そっか」
ヒヒヒ。