茨戸家対決と同時刻。人が消えた夜の二条市場。
深夜0時を過ぎても魔法は解けず、各陣営の代理人は各地で戦いに身を投じる他なかった。拒否権はない。0時を超えた延長線。オコサマをとう卒業したガキ共は延長線に燃えるのか。それともシンデレラにお願いしたいか。
創成川リバーサイドボーイズ達は木刀を構える。
「まさかこんなことになるなんて。妖刀使いが本当に本当に居たなんて。妖術に抗えないなんて」
創成川リバーサイドガールズ達は木刀を構える。
「まさかこんなことになるなんて。魔法少女が本当に居るなんて。魔法には抗えなかった」
「やるしかない。行くぞ! 創成川リバーサイドボーイズに栄光あれ!」
「本当、どうしようもないよね、これ。やるよ! 創成川リバーサイドガールズに栄幸あれ!」
双方おおよそ百人の軍勢。支給された木刀を持って走り出す。
※ ※ ※
「キエン・万丈!」
「いつも熱苦しいのよ、兄さんは」
リバーサイドメンバーの超能力者二人も代理戦争に強制参加させられた。兄妹対決をさせるとは、茨戸親子対決させるのと同じように酷。普段、敵として相見まえることのない存在故に貴重な体験であることは間違いないが、本人たちとしてはそんな体験はしたくないので迷惑この上ない。
「妹よ。精神攻撃を基本とするお前ではオレには勝てない。知っての通り超能力者は己の精神を犠牲にすることで超能力を使える。操る事ができる精神は互いに無い」
「ええ、そうね。でも兄さんはよく知っているはずよ。精神攻撃をしているのは私ではなく、幽霊や怨霊だと。だから私の攻撃は精神攻撃だけでは無いわ。ゴーストタイプの特殊技があるのよ」
「そうだな。効果抜群でもいまひとつでもない。普通に効く技。調子良さそうだ。しっかり戦えるな」
「ええ」
こうして超能力兄妹の戦いも始まった。二人は支給された木刀は投げ捨てて、己の能力をぶつけ合う。詳細は追って確認する。
※ ※ ※
愛しの娘を倒し、あがった息を整えている茨戸創の目の前には次の対戦相手が現れた。嘘だろ。ひとりにつき一人じゃないのかよ、と彼は思った。
相手は突如地面に出現した〝黒い円〟から現れた。この時点ではまだ
「魔法少女が対戦相手を見つけられなかったので、お相手をお願いします」
「えぇ……。理不尽だ。そもそも、強制参加の時点で理不尽だけど。ちなみに、他に誰が戦っているんだ」
「ええとですね」
〉左が魔法少女陣営
〉右が妖刀使い陣営
・リバーサイドボーイズvsガールズ
・超能力者、兄キエンvs妹
・着ぐるみ対決、TV父さんvsとけのとっけとけ
・茨戸創vs茨戸久瑠美&武士(雁来成哉)
・???vs???
「総出演だな。ギャラ高そ」
「本当は久瑠美のお父様に雁来成哉さんをぶつけたかったのですが、成哉さんには妖術も魔法も効きませんでした。そこで、部下のお一人「日本刀」を妖刀使いサイドとして呼びました。心配なさらず。日本刀さんも木刀です。基本的に、全員木刀で勝負することになっています。武器は統一しないと不公平ですからね」
「武器が公平でも、連戦は公平じゃないと思うが。何で俺だけ。それにお父様と呼ぶな!お前に娘はやらん!」
「成哉さんは言っていましたよ。どうせ戦うなら友人が良いと。代理戦争の代理戦争ですね」
「めちゃくちゃだ」
「では。景久さん、お願いします」
その黒は妖刀使いに名前が呼ばれると正しい形になった。黒の馬に乗った黒の鎧武士。
黒馬が
鎧武士の腰には日本刀を確認できる。あれが武器か。いや、付属じゃないな、と彼は思った。妖刀使いと同じように〝刀〟が本体か。鎧も馬も武士も全て妖刀使いと同じ影ってことか。間違いない。ずっと妖刀使いを見てきた。これは見間違えないと断言した。
「失礼。貴殿は名を茨戸創であると、聞いている」
「はい。そうです。あなたの名前はなんですか?」
「我は
「
こうして茨戸創は、刀使いの影、黒い武士と戦う事になった。次回は視点が頻繁に変わるのでご注意を。物語は思ったよりもあっという間に終わるものである。