第18話 静謐完美なりて、すすきの交差点に神が宿る
すすきの交差点を知っているだろうか。札幌駅前通と南4条通りの大きな通りが交わる大交差点。右手にグラス、左手に穂を持つ『W・P・ローリー卿』が六色のLEDで光っている、この〝ニッカウヰスキーおじさん〟が象徴的。半世紀、この交差点をずっと見守っている。映画などでも良く出てくるし、テレビでまず使われるのはここ。〝すすきの〟といえばの文字通り看板名所。道内外問わず使われ、親しまれている場所だと思う。
〝すすきの〟は開拓者が退屈で帰るのを防ぐために赤線(青線)、飲み屋街を作ったのが始まり、とよく言われるがそれは明治の話。キャバレー、ツブ焼き屋台、桃線、トルコ風呂。後世の人間は性文化、慣習を勝手に問題視しているがそれは昭和の話。平成以降の話は語るまでもない。
締めに食べたラーメン店の隣を見たら、一階が「風俗YOASOBI」二階が2時間980円飲み放題串、三階が激安お一人様ホテルのビルだった。これが普通の街。仲良く同居しているってことだな。
風俗、飲み屋・居酒屋、お酒お酒欲望びっしりなのに、令和の〝すすきの〟は治安が良い。すすきの交差点の客引きはカラオケか通常料金居酒屋しかいない。裏道一本入っても悪い店に誘導するチャラい若者は殆どいない。女性が一晩飲み明かしても安心してタクシーに乗って帰ることができる。05年すすきの条例、17年北海道暴対法。現実は警察がしっかり治安維持しているからな。安心して歩ける。おやっさん大活躍。氷永会みたいなのは、まだいるっちゃいるけどおとなしくしているから、ヤクザのお家に遊びに行かなければ大丈夫。
今回の物語は〝すすきの交差点〟の話。戦国無頼一刀流、『千紫万紅・無銘刀』景久が妖刀使いを夜の〝すすきの〟に呼び出し、その大交差点で何か“大きな事”をやりたいらしい。また、その同時期にイッテルビウムという謎の会も妖刀使いに接触してきた。嫌な予感がするな。
令和の妖刀と平安の武士が交差する時、すすきの交差点に神が宿る第十八話!