第20話 茨戸創
茨戸創は健康に生まれ、何不自由なく育った。何不自由なく育てたのは生みの親ではなく、育ての親だった。名前は生みの親が付けたが、家族にはなれなかった。
生みの親は必死に親になろうとした。でも、なれなかった。どうしても親である姿を決めて、世の中が思い描いたような親が親だと思ったから出来なかった。誰でも同じ様な親になれるわけではない。最初から育児をせずに放置する家庭もいる。生みの親の両親、おじいちゃんおばあちゃんに丸投げもいる。でも創の親はそうではなく、頑張ったが親になれなかった。思い悩み、心身を痛めた。子供のために家族になることを断念した。それが俺の家庭だ。
世間は親を批判するだろうし、俺を可哀想だと言うかもしれないし、家庭の事情だからと口を出さないだろう。それで良い。物語の主人公はよく親がいないな、と呆れ返れば良い。思い込みと偏見を持ってな。
これは茨戸創の物語。これが本作「すすきのアウトサイドパークッ!!」の第二十話。