ふとあの日の出来事を思い出していた
あれから五年経ち、ふたりは十五歳になった。
「明日は早いから、近場のこっちかなっ」
「よし、決まりだな」
仲の良いふたりの横で、むうっと
「ふたりとも、ちゃんと私を守ってね!」
「怖いなら無理してついて来なくても····」
「私はふたりの監視役なんだから、ついて行くに決まってるでしょ!」
はいはい、と
「心配しなくても大丈夫だよ?
ふたりの会話を聞いていた
仮面の奥の瞳は相変わらずよく見えず、
(なんなのよー! もうっ!! ばかっ)
暗闇のおかげで、耳まで真っ赤になった顔を晒さないで済んだのが、せめてもの救いだ。
夜に相応しくない賑やかしい一行が向かうのは、
月明かりと、
澄んでいるはずの夜空にあるものがないことを、三人は気付いていなかった。
それがこの先に待つモノの不吉さを物語っていたことを知るのは、もう少し後のことである。