太陽が昇る少し前に、先に目覚めたのは
(よかった。怪我は、していないみたい)
衣が少し汚れているだけで、大きな怪我などはなさそうだ。ふと向かい側に視線を移せば、先に逃がしたはずの
あれからなにがあったかは解らないが、みんな無事だったようだ。
寝台を下り掛けてあった衣を纏って、
「平気か?」
前触れもなくかけられた声に、油断していた
しかしこの声には聞き憶えがあった。
あの時、
「えっと、うん。あなたは俺を助けてくれたひと、だよね?」
頭ひとつ分は背の高い、すらりとしたその青年。自分たちより少し年上だろうか。
にっと口元を緩めて微笑んだ
「助けてくれて、ありがとう! 俺は
ここは一族の邸のひとつで、客用の邸だろう。そして衣の色が薄青なので、
だが
「
「びゃくや、公子様、ありがとう!」
臆せず無邪気に笑って、
「霊力が回復していないようだが······、」
灰色がかった青い瞳は切れ長で、低い声は抑揚がない。淡々としている青年は、ほんの少しだけ怪訝そうな表情を浮かべると、眉を顰め首を傾げた。
「やっぱり? ちょっと無茶しちゃったからな~」
仮面を付けた状態で霊力を大量に消費すると、しばらくは修練初めの門下生並みの霊力しか使えなくなる。この仮面は霊力を抑えるための封印具で、強すぎる霊力に幼い身体が耐えられないと宗主が判断し、生まれて間もなく施された特別なものだった。
故に、間違って外れてしまったり誰かに外されることのないように、厳しい制約をかけてある。このことは自分と宗主と
「元々大した霊力じゃないから、大丈夫」
納得してくれたのか、そうでないのかさっぱり解らなかったが、