翌日から事態はさらにエスカレートした
朝、下駄箱に手紙が三通も入っていた
全部女子からだった
一通目:
『寿さくらさんへ
あなたのそのストレートで裏表のない性格に、心を奪われました
今度、一緒にカラオケに行きませんか?
あなたが好きそうなロックな曲、私も覚えました
二人っきりで楽しい時間を過ごしましょうね
ギャル系JK 愛美より』
二通目:
『親愛なる寿さんへ
演劇部の公演を見に来てくれてありがとうございました
(僕、見に行った覚えないんだけど・・・)
君の率直で飾らない魅力に、すっかり魅了されてしまいました
今度、私の演技を個人的に見てもらえませんか?
二人だけの特別な舞台を用意します
演劇部部長 雅子』
三通目:
「さくらへ
生徒会の仕事で君のことを調べる機会がありました
(何で調べるの?)
成績は中の上、遅刻は多いけれど、友達思いで正義感が強い
そんな君にとても惹かれています
今度、生徒会室で二人きりで話しませんか?
生徒会副会長 千尋』
「なんだこれ〜〜〜!!」
僕は廊下で3通の手紙を握りしめて叫んだ
通りかかった同級生たちがみんな振り返る
「おお、さくら、ついに『モテ期』が来たのか」
隣の席の相原が肩を叩いてきた
「相原、これ異常だろ?僕、何もしてないのに急に・・」
「でも愛美って、あのギャルの愛美だろ?あいつ、普段は不良っぽい男子としか話さないのに」
そう言われてみれば、愛美は茶髪でミニスカート、いかにもギャル系で、僕みたいなガサツ女子とは正反対のタイプだ
「それに雅子先輩なんて、演劇部のプリマドンナじゃないか、あの人からの手紙なんて、男子が聞いたら嫉妬で死ぬぞ」
「でも全員女子だぞ?僕、女なんだけど」
「あ〜〜それは確かに困ったな・・・でも、お前って男っぽいし」
その時、廊下の向こうから美月さん、麗奈先輩、静香さんが同時にこちらに向かってくるのが見えた
3人とも僕を見つめている
しかも、今度は愛美、雅子先輩、千尋も一緒だ
6人の美女が僕に向かって歩いてくる光景は、まるで映画のワンシーンのようだった
でも僕にとっては恐怖でしかない
「うわああああ!」
僕は相原を置いて屋上に逃げた