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第4話:屋上の告白ラッシュ

屋上で一息ついていると、扉が開いた


「あ、やっぱりここにいた」


現れたのは愛美だった


茶髪をツインテールにまとめ、ミニスカートから長い脚が伸びている


普段はヤンキーっぽい男子と一緒にいることが多い彼女が、僕の前に立った


「寿、アタシと付き合わない?」


いきなりストレートな告白だった。


「は?」


「アンタのそのぶっきらぼうなところ、めっちゃタイプなのよね」


愛美はグイグイ距離を詰めてくる


僕は壁に背中をつけて後退した


「普通の男子って、アタシの前だとカッコつけたり、変に気を使ったりするじゃない?でもアンタは違う、自然体で接してくれるの」


「い、いや、そんなつもりは・・・」


「それがいいのよ、アンタの前だと、アタシも素の自分でいられる気がする」


愛美は僕の頬に手を伸ばした


「アンタの肌、意外と綺麗ね。普段は化粧とかしないでしょ?」


「あ、あの、愛美さん、僕、女子とそういうのは・・・」


「大丈夫、アタシがリードしてあげる」


愛美の顔が近づいてくる


僕は真っ赤になって目を閉じた


その時、扉が勢いよく開いた


「あら、愛美さんも来てたのね」


雅子先輩だった


演劇部部長らしい堂々とした態度で現れた


長い黒髪を風になびかせ、まるで舞台から出てきた女優のような美しさだった


「おい、雅子!邪魔すんなよ」


愛美が振り返った


「邪魔だなんて、ひどいわ・・・寿さんは私の大切な人なのよ」


雅子先輩は僕の前に歩いてきた


「寿さん、私はあなたの素朴な魅力に心を奪われました。あなたの飾らない笑顔、友達を思いやる優しさ、すべてが美しい」


先輩は僕の手を取った


「私の舞台を見てくれませんか?あなただけのための、特別な演技を披露します」


「せ、先輩・・・」


僕の心臓がドキドキした


でも、どう答えていいかわからない


さらに扉が開く


今度は千尋だった


生徒会副会長らしいきちんとした制服姿で、でも普段より化粧が濃い気がする


「皆さん、お疲れ様です」


千尋は丁寧に挨拶してから、僕の方を見た


「寿さん、生徒会でもあなたは評判ですよ、遅刻は多いけれど、困っている人を見つけると放っておけない、そんなあなたの正義感に惹かれました」


「それってデートの誘い?」


愛美が口を挟んだ


「デート・・・そうですね、そう言ってもいいかもしれません」


千尋は微笑んだ


「今度の休日、一緒に映画を見に行きませんか?あなたが好きそうなアクション映画を選びました」


「映画?」


僕はアクション映画が好きだった


でも、それを千尋がどうして知ってるんだろう?


その時、扉がまた開いた


美月さんだった


「あ、あの・・・みなさん、もうここにいらしたんですね」


美月さんは小さな声で言った、手には新しい本を持っている


「寿さん、昨日お渡しした本、読んでくれましたか?」


「あ、はい・・・まだ途中ですけど」


実際はまだ最初の数ページしか読んでいない


恋愛小説は僕には難しすぎた


「よかった。実は続編があるんです、もしよろしければ、今度図書館で一緒に読みませんか?」


美月さんは恥ずかしそうに提案した


「私、寿さんと一緒にいると、とても落ち着くんです、寿さんの隣で本を読んでいると、物語の世界により深く入り込めるような気がして・・・」


扉がまた開く


麗奈先輩だ


「あ、みんないるのね」


先輩は軽やかに歩いてきた


「寿、昨日のお昼、楽しかったわ」


「あ、はい・・・」


「今度は私の手料理を振る舞いたいの、寿の好きな料理、教えてくれる?」


「え?」


「私、料理は得意なの、寿のために、特別なメニューを考えたいの」


麗奈先輩は僕の腕に自分の腕を絡めた


最後に扉が開いて、静香さんが現れた


「あら、皆さんお揃いですね」


静香さんは眼鏡をくいっと上げた


「寿さん、図書館の件、どうでしょうか?」


6人の美女に囲まれて、僕は完全にパニック状態だった


「あの〜〜皆さん、僕、女の子で、普通に男性好きで・・・」


「「「「「「大丈夫!!」」」」」」


6人が同時に言った


愛美:「アタシ、バイなのよ、男も女も愛せるの」


雅子先輩:「愛に性別は関係ありません」


千尋:「大切なのは心の繋がりです」


美月:「本の世界では、様々な愛の形があります」


麗奈先輩:「私も、人を好きになるのに理由はいらないと思うの」


静香:「知識として、同性愛についても学んでいます」


僕は気を失いそうになった


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