屋上で一息ついていると、扉が開いた
「あ、やっぱりここにいた」
現れたのは愛美だった
茶髪をツインテールにまとめ、ミニスカートから長い脚が伸びている
普段はヤンキーっぽい男子と一緒にいることが多い彼女が、僕の前に立った
「寿、アタシと付き合わない?」
いきなりストレートな告白だった。
「は?」
「アンタのそのぶっきらぼうなところ、めっちゃタイプなのよね」
愛美はグイグイ距離を詰めてくる
僕は壁に背中をつけて後退した
「普通の男子って、アタシの前だとカッコつけたり、変に気を使ったりするじゃない?でもアンタは違う、自然体で接してくれるの」
「い、いや、そんなつもりは・・・」
「それがいいのよ、アンタの前だと、アタシも素の自分でいられる気がする」
愛美は僕の頬に手を伸ばした
「アンタの肌、意外と綺麗ね。普段は化粧とかしないでしょ?」
「あ、あの、愛美さん、僕、女子とそういうのは・・・」
「大丈夫、アタシがリードしてあげる」
愛美の顔が近づいてくる
僕は真っ赤になって目を閉じた
その時、扉が勢いよく開いた
「あら、愛美さんも来てたのね」
雅子先輩だった
演劇部部長らしい堂々とした態度で現れた
長い黒髪を風になびかせ、まるで舞台から出てきた女優のような美しさだった
「おい、雅子!邪魔すんなよ」
愛美が振り返った
「邪魔だなんて、ひどいわ・・・寿さんは私の大切な人なのよ」
雅子先輩は僕の前に歩いてきた
「寿さん、私はあなたの素朴な魅力に心を奪われました。あなたの飾らない笑顔、友達を思いやる優しさ、すべてが美しい」
先輩は僕の手を取った
「私の舞台を見てくれませんか?あなただけのための、特別な演技を披露します」
「せ、先輩・・・」
僕の心臓がドキドキした
でも、どう答えていいかわからない
さらに扉が開く
今度は千尋だった
生徒会副会長らしいきちんとした制服姿で、でも普段より化粧が濃い気がする
「皆さん、お疲れ様です」
千尋は丁寧に挨拶してから、僕の方を見た
「寿さん、生徒会でもあなたは評判ですよ、遅刻は多いけれど、困っている人を見つけると放っておけない、そんなあなたの正義感に惹かれました」
「それってデートの誘い?」
愛美が口を挟んだ
「デート・・・そうですね、そう言ってもいいかもしれません」
千尋は微笑んだ
「今度の休日、一緒に映画を見に行きませんか?あなたが好きそうなアクション映画を選びました」
「映画?」
僕はアクション映画が好きだった
でも、それを千尋がどうして知ってるんだろう?
その時、扉がまた開いた
美月さんだった
「あ、あの・・・みなさん、もうここにいらしたんですね」
美月さんは小さな声で言った、手には新しい本を持っている
「寿さん、昨日お渡しした本、読んでくれましたか?」
「あ、はい・・・まだ途中ですけど」
実際はまだ最初の数ページしか読んでいない
恋愛小説は僕には難しすぎた
「よかった。実は続編があるんです、もしよろしければ、今度図書館で一緒に読みませんか?」
美月さんは恥ずかしそうに提案した
「私、寿さんと一緒にいると、とても落ち着くんです、寿さんの隣で本を読んでいると、物語の世界により深く入り込めるような気がして・・・」
扉がまた開く
麗奈先輩だ
「あ、みんないるのね」
先輩は軽やかに歩いてきた
「寿、昨日のお昼、楽しかったわ」
「あ、はい・・・」
「今度は私の手料理を振る舞いたいの、寿の好きな料理、教えてくれる?」
「え?」
「私、料理は得意なの、寿のために、特別なメニューを考えたいの」
麗奈先輩は僕の腕に自分の腕を絡めた
最後に扉が開いて、静香さんが現れた
「あら、皆さんお揃いですね」
静香さんは眼鏡をくいっと上げた
「寿さん、図書館の件、どうでしょうか?」
6人の美女に囲まれて、僕は完全にパニック状態だった
「あの〜〜皆さん、僕、女の子で、普通に男性好きで・・・」
「「「「「「大丈夫!!」」」」」」
6人が同時に言った
愛美:「アタシ、バイなのよ、男も女も愛せるの」
雅子先輩:「愛に性別は関係ありません」
千尋:「大切なのは心の繋がりです」
美月:「本の世界では、様々な愛の形があります」
麗奈先輩:「私も、人を好きになるのに理由はいらないと思うの」
静香:「知識として、同性愛についても学んでいます」
僕は気を失いそうになった