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7、全ての抵抗をやめる ※

 膠着状態は続く。


 リルはリビングのソファで丸まって眠っていた様だった。




 次の日、リルは大人しくリビングで小さく唄を唄っていた。




『街を歩く


 下らない物思いなど全部押し込めて




 どこに行こう


 どこを歩いても俺には見えない


 街はいつだって滲んで灯りを消した




 歩き続けろ


 その日が来るまでこの街を


 彷徨い続けて 答えを探すんだ




 街は悲しみの色に沈んで


 濁ってあいつらは消えてった




 歩き続けるしかない


 ただ歩き続けるしかない


 是も非も越えて俺はただ歩き続ける




 道の先を眺めれば知らない景色があるのだろうか?


 道標は光差すあの道




 いつか答えはみつかるのか?




 ただ歩き続けるしかない


 歩き続けろ


 是も非も越えて歩き続けろ』




 その小さな唄はシュバルツの心に小さな棘を刺す。


 チクチクと胸に痛みが刺しても、シュバルツはやっぱりこれを無視するしかなかった。




 リルは窓の外の青空を眺めている。


 今日は公園に行きたいと強請らない。


 日当たりの良いバルコニーのガラス戸の前でずっと座り込んでいた。


 クロエに贈られた大きなウサギのぬいぐるみを抱いて。




 シュバルツは最低限の世話をして、後は可能な限り無視をした。


 と言うより、リルの顔をまともに見る事がもう出来なかった。




 世話を焼く度にリルはシュバルツを上目遣いで覗き見、小さく名前を呼び、声をかけていたが、その凡ゆる問いかけにシュバルツは無視で応えた。




 リルはその度にしょんぼりとし、ぎゅっとウサギを抱きしめていた。




 その状態は一週間続く。




 今日は雨。


 冷たい雨がざぁざぁと降り続く天気だった。


 二人はより一層陰鬱な雰囲気になっていた。






 そんな1日の終わり。




 自分の部屋に引き篭もるシュバルツ。


 その部屋にリルがやって来た。


 扉から半分顔を出してシュバルツに話しかける。


「…あのね…。しゅうちゃん…。おそらがピカってひかって、ゴロゴロっておこってて…こわいの…」




 そう、空は雷が鳴り出す。


 魔界の雷の方がよほど激しい筈だが、リルは心底怯えた様で、瞳には涙を溜めてシュバルツを見ている。




 もうこの頃には苛立ちはすっかり消えて、罪悪感やこの膠着に飽きている自分を自覚していたシュバルツは、リルを受け入れた。




「来いよ」




 パァっと明るく笑い、シュバルツの布団に潜り込む。


 それをシュバルツは布団を持ち上げて受け入れる。


 シュバルツの胸にすっぽり収まるリル。


 リルはシュバルツを上目遣いにじっと見つめた。


「しゅうちゃん…あのね、ごめんね」


「何が」


「…しゅうちゃん、リルがわるいこだったからおこったんでしょ?」


「は?」


「あのね、ごしゅじんさまはね、リルがわるいこだったら、どなっておこったの。だから、リルわるいこだったんでしょ?」


「ご主人様って、クロエか?」


「ううん。くぅちゃんはごしゅじんさまじゃないよ?くぅちゃんはおこらないの」


 にっこり笑ってリルは答える。


「くぅちゃんのまえにいたの。ごしゅじんさま」


 やはりリルもクロエに会う前は誰かに所有されていたのだろう。


 自分が守って来た弱い者達の一人だった。




「ごしゅじんさまはね、どなったら、リルがわるいこだからおこるんだっていってたの。だから、ごめんなさいっていったら、ゆるしてくれたの。…しゅうちゃんはゆるしてくれる?」




 この悪魔は凡そ悪魔らしくない。


 情緒のあり方が悪魔のそれとは根本的に違っている様に思えた。


 リルは命乞いの為に許しを乞うてる訳ではない。


 相手の感情に対しているし、相手の情緒への問いかけでしかない。




 そう気がついたら、シュバルツは何かもう、抵抗するのが馬鹿らしくなった。




 シュバルツはリルにのし掛かって、キスをした。




 リルは抵抗せず、じっとしている。


 唇を離すと、リルは潤んだ瞳でシュバルツに問いかけた。


「しゅうちゃん…えっち、するの?」


「…嫌か?」


「…いたくしない?」


「痛くしない」




 その一言でリルの体の強張りは無くなり、そっと瞳を閉じた事で、シュバルツの理性のタガは外れてしまった。




 リルのパジャマのボタンを外す。


 その豊満な双丘は露わになった。


 片手はリルの腕を掴み、もう一方でリルの双丘の片割れを揉みしだく。




 唇に片手に掴んだ双丘の実を口に含み、吸い付く。


「あ…はぅん…」


 甘い吐息がリルの唇から漏れる。


 片手でもう片方の双丘の実を指先で刺激すると更にリルは甘い声を激しく上げる。


「はぁん…っ あん、しゅ…しゅうちゃん…ぁん…」




 リルの手首を掴んでいた手は手首を離れ双丘に向かい、両手で双丘を揉みながらさくらんぼの様な実を交互に口に含んで味わう。


「ああん… はぅ…あっ…あん…ふ…ん」




 シュバルツはリルの顔を見つめた。


 頬を紅潮させて、蕩けた表情を見せているリルに更に興奮して、リルの耳元に唇をやった。


 そうすると抵抗しがたい香りがする。


 頭の芯がジンと痺れた様になり、目の前にいる女が何とも得難い存在に思えて、この女の事しか考えられなくなった。




 首筋にキスをするとその芳香は更に強く薫る。


 その女は誘う様な甘い声でその首筋のキスに「きゃうんっ…」と肩をすくめ、可愛い反応を示す。




 これまで、淫魔を抱いた事はあったけれど、リルの芳香は他の淫魔とは比べ物にならない程だった。




「…しゅうちゃん…」


 名前を呼ばれ、更に興奮する。


 この女が自分を求めていると思ったらもう我慢がならなかった。




 耳輪を喰み、ピクンと反応するのを確認する。


 何度かそこを責めながら双丘の実を指先で弾いてやると一々反応して声を上げる。


 パジャマのパンツを脱がせ、下着を剥ぎ取る。リルは一糸纏わぬ姿になる。


 花芯に指をやるとリルはピクンと体を捩る。


「…ん…」と小さく喘ぐ。


 更に指先で花芯を強く刺激すると更に甘い声と吐息が漏れる。




 その様子を見て更に鳴かせたくなって花芯を口に含み吸い付く。


「ああぁっ!あっ!あぁん!ん…っ!ああぁ…はぁ…ん…っ!」




 既にリルの淫襞は開かれて、トロトロに蜜を蕩けさせていた。


 蜜壺からは淫らに輝く愛涎が滴っている。




 シュバルツはその光景に堪らず愛涎に吸い付く。


 その芳香すらも誘う様な甘い香りがする。


 吸い付き、舌で転がし、花芯を刺激してやると、蜜壺は更に愛涎を物欲しそうに滴らせる。


 その事に気を良くして更に花芯を虐め抜く。


「ああん!しゅ…しゅうちゃぁん…!そこ、もう、リル、ガマンできないよぉ〜…!」


 そう言われ、更に強く早く刺激する。




「あぁぁっ!はぁんっ!あっ…!あぁあっ!あぁぁん!だめ!リル、イッたの!」


 そう言われても止めてやらない。


 しばらく刺激を続ける。「ひゃぁん!ああぁん!ああっ!だめだよ!しゅうちゃん!もうダメだよぉ〜…!」


 唇を離してやると息を粗く、まだ小さく喘いでいる。


「ぁ…はぁ…」


 これだけ濡れていればもう大丈夫だろう。


 リルを後ろに向かせる。


 覆いかぶさって後ろから自身の剛茎を押し当てる。


 ぬるりとリルの愛涎が剛茎にまとわりつく。


「あぁ…、はぁん…う…ん……ぁ…」


 じっくり愛涎をまとわりつかせているとリルがシュバルツを振り返る。


「しゅうちゃん…はやくぅ…」


 瞳には涙を溜めて、自身を乞うリルに興奮を深めたシュバルツは、リルの願い通り淫穴に自身の剛茎を入れてやった。


 入った瞬間、嬌声を上げるリル。


「あっ…!あぁん!」


 そこで止めてやる。


「ふ…はぁ…はぁんっ…しゅうちゃぁん…はやくぅ…!」


 リルの尻を持ち、尻肉を揉む。


 それにリルも興奮して腰を畝らせ、必死にシュバルツを乞う。


 半分ほどゆっくり入れてやったらまたいやらしく喘いだ。


「しゅうちゃん…リル、おくのとこ、トントンしてほしいのぉ…、そこがきもちいいの…おねがい…」


 息を荒げて必死にお願いし、おねだりするリルに満足した。


 願いを叶えてやる為に一番奥まで貫いてやる。


「はあぁん!あぁ!そこがすきなの!はぁあん…!ああぁ…っ!」


 リルが歓ぶ箇所を刺激してやると、激しい嬌声を上げて、身体をくねらせ、自らも腰を振って歓びを表現する。




 目には涙を溜めて恍惚の表情であらぬ方を見ている。


 その表情をもっともっと見たくてシュバルツは更にリルの最奥を攻める。


 リルは嫌々する様に頭を振り、髪を振り乱した。




 更に正常位に体位を変えて何度もリルを絶頂に導く。


 イきながら、更にイかせてやった。


「あああっ!もうリル、イってます!おねがい、しゅうちゃん!リル、きもちいいのいっぱいでこわいよぉ〜!」


「はぁ?お前のココ、ぐちょぐちょに歓んでんじゃねえか」


「あぁん!はぁ!しゅうちゃぁん!おねがい、だっこしてぇ…」


 リルは腕を伸ばしてシュバルツを求める。


 シュバルツはそれに応えてリルを抱きしめてやると、リルの淫穴はキュッと締まった。


 淫襞は蠢動して、シュバルツの抱擁に歓んでいる事をその動きで表現していた。


「あぁっん!はぁっ!ああぁん!しゅうちゃぁん!あん!はふぅん…ぅん…ぁ…」


「おら!そろそろイくぞ!」


「キて…!しゅうちゃぁん!ああん!」




 シュバルツは最後の仕上げとばかりにその腰の動きに勢いをつける。


 それに応えてリルも同じ様に腰を畝らせてシュバルツにしがみつく。


 全身に快楽が駆け巡る。


 リルは嬌声でその事をシュバルツに知らせた。


「あぁぁんっ!はぁぅんっ!あ…あ…ぁ…あぁ…」


 リルはポロリと涙を流して、シュバルツの精を受け止めた歓びを表現した。


 シュバルツは触れ合わせた頬でその涙を感じる。




 リルはそのまま息粗く瞳を閉じ、いつの間にかスヤスヤと寝息を立てていた。




 シュバルツはそれを胸に抱いて収める。


 自分の精を受け止めて無防備に眠るリルに何とも言えないむず痒い様なそんな感情を覚える。






 それがどういう心境なのかシュバルツはわかっていたが、わからないふりをした。

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