「赤の皇子! カネモッチ・ヌ・ミーゴォ!」
「青の皇子! イショワシ・ヌ・ミーゴォ!」
「黄の皇子! アーヴェ・ヌ・コーベォ!」
「黒の皇子! オトモイ・ヌ・ボーチ!」
「白の皇子! イシシカアラン・ヌ・マダタリ」
五色それぞれの衣を纏った黒髪の丸い眉の男たちが名乗っている。
そして、最後に全員でポーズを揃え、
「「「「「五人合わせて、五プリンス!!!!!」」」」」
「はあ」
嬉しそうに叫んだ。
カインは顔を引き攣らせながら五プリンスと名乗る男たちに対し曖昧に笑った。
「彼らは、西にある皇国の皇子達で、こちらに留学にやってきているそうなんですの。それで、わたしを見初めて毎日のように求愛してくるんです」
ルゥナは、カインの陰に隠れながら説明する。
そんなルゥナの縮こまった姿を見ながら、赤い衣を纏ったカネモッチが金ぴかに光る扇で口元を隠しながら近づいてくる。
「ルゥナ様! そんな柱の陰に隠れて……奥ゆかしさいとおかしでおじゃる!」
「いとおかし?」
どうやら自分は柱と認識されたらしいなと思いながらカインは聞きなれぬ言葉に首をかしげる。
「あああああれは西国の訛りです」
マコットが更に後ろに隠れながらぼそりと伝えてくる。
「けれど、まもなく麿の妻となるのでおじゃるから、遠慮なく麿の胸の中に飛び込んでくるでおじゃるよ」
「貴女の妻になるつもりなどございません!」
カネモッチがニヤニヤしながら話しかけてくる様にルゥナは心底震えながら、大声で拒否の姿勢を示す。
「あ、の……皇子に対してそんな態度で、大丈夫、なの、ですか?」
「彼らの国は遥か西の小国ですし、彼ら自身もそこまでこの国で価値があると思われておりません。彼らはある意味厄介払いで留学させられているようなものらしいですから」
どうやらルゥナはその権力に怯えて震えているのではなく、ただ単に嫌悪感で震えているらしい。
確かにあの性格は扱いづらいだろうなあ、とカインは苦笑しながらルゥナの言葉にうなづく。
「あれ、でも、もうすぐ、彼の、妻になる、って……」
「それは……」
「今年の魔導具コンテストの優勝者には、ルゥナ様自身が商品となることを宣言されたのでおじゃるよ!」
カネモッチのその言葉にルゥナは今日一番の震えを見せたのだった。