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四部10話 変な皇子達は再会しましたとさ

「ほっほっほ! つまり、ルゥナ様はコンテストを素晴らしきものとする為に自らを賞品としてくださったのでおじゃる! なんと献身的な心でおじゃろうか!」


 カネモッチはわざとらしくよよと扇で顔を隠し泣いているそぶりを見せる。

が、カネモッチの顔は縦に長く、目を隠せば口元があらわになり、にやりと笑っていた。


「そう、なんです、か?」

「そう、なのです……確かに記憶はあります。けれど、何故その時頷いたのかも分からないのです……」

「ほっほっほ! まさか、領主の娘様があの場で口にしたこと、しかも、誤解なきよう麿が気を遣い確認までしたことをなかったことにするわけではありますまいな?」


 ルゥナはスカートをぎゅっと握りながら眉間に皺を寄せる。

 その様子を眺めながら、カネモッチは身をかがめてルゥナに顔を寄せ問いかける。


「も、勿論……二言はありません。そ、それに……この方がきっと優勝してくださると信じておりますもの!」


 ルゥナが隣にいたカインの袖を引っ張る。

 いきなりの行動にカインは少しよろめく。

 が、睨みつけるようなカネモッチの視線に眉を少し寄せ苦笑いのまま曖昧に会釈する。


「こんな冴えない男が~?」


 カネモッチが無遠慮に近づいてくると、背後に控えていたほかの皇子達がカネモッチを抑えながら口々に話始める。


「兄上。そんな大望もなさそうな下賤の者に近づいたら下賤がうつるでおじゃる。近づかぬ方が吉でおじゃるよ」


 青の衣を纏った細面のイシヨワシと名乗った男が臭いと言わんばかりに鼻を扇で隠し、カネモッチを止める。


「もののふの魂が感じられんでおじゃる! 見るでおじゃる! なんと情けない面構え!」


 黄色の小柄なイシシカアランがカネモッチを守るように前に出る。


「そんなカスどうでもいいでおじゃろう。さっさと帰るでおじゃる」


 黒の長身で筋肉質なオトモイが興味なさげに後ろから声をかける。


「ああ、さっさと帰ろう! この男とじっくり話そう!」

「「「「どっちでおじゃる!?」」」」


 四人の揃って責められた青のまるで棒のようにひょろ長いアーヴェがより細くなって震えている。


「み、みんな私の話を聞いてくれ! あれを見てくれ!」

「「「「どっちでおじゃる!?」」」」


 アーヴェが指さした先にはカインがよろめいたせいで空間があき、皇子達と目があったマコットがいた。


「ん? お主は、マコトでおじゃらぬか!? 腰抜けのマコト!」


 カネモッチが厭らしい笑顔を浮かべ、マコットが顔を引き攣らせながら見つめあっていた。

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