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第17話 5-1:勝利と復讐

ハロルド公爵家を巡る陰謀の黒幕がついに明らかになった。隣国アスカロールの王直属の顧問であり、特使として訪れていたヘルヴィンが、その中心人物だったのだ。彼は隣国の利益のため、封印を解除してその力を利用しようと画策していた。


「これ以上、あなたたちの好きにはさせません!」

ティアラは封印の扉の前に立ち、レオンと共に侵入してきた敵と対峙していた。周囲にはヘルヴィンの部下たちが散らばり、封印を破壊しようと試みている。だが、ティアラのペンダントが放つ強い光が、彼らを退け続けていた。


「お前たちのような凡庸な貴族が、この力を守り続けるなど無駄だ!」

ヘルヴィンは憎々しげに叫びながらも、その声には焦りがにじんでいた。彼の計画は、ティアラとレオンの存在によって崩れ始めていたのだ。


「凡庸かどうかは関係ない。この家を守るのは俺たちの責務だ」

レオンは冷静な声でそう言い放ち、剣を構えた。その姿は、ティアラの目に頼もしく映った。


「ティアラ、俺が奴らを引きつける。その間に封印を守れ!」

彼の指示に、ティアラは迷いなく頷いた。ペンダントを握りしめ、その光を封印の扉に注ぎ込む。封印の力が強まり、敵が近づけなくなると同時に、扉に刻まれた紋様がさらに輝きを増していった。



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レオンは敵の部下たちを次々と打ち倒していった。その動きは鋭く、的確で、一瞬の隙も与えなかった。彼の剣さばきに圧倒された敵は次第に数を減らし、ヘルヴィンのもとに集まっていった。


「まだ諦めないのか?」

レオンが剣を向けながら問いかけると、ヘルヴィンは憎悪に満ちた目で彼を睨んだ。


「諦める? 私がこの計画にどれだけの時間と労力を費やしてきたと思っている! お前たちなどに阻まれるわけにはいかない!」


ヘルヴィンは懐から奇妙な水晶を取り出した。それは怪しい光を放ち始め、周囲の空気が歪むような感覚を生み出した。


「ティアラ、気をつけろ!」

レオンが叫ぶと同時に、水晶から放たれたエネルギーが封印の扉を揺るがし始めた。ヘルヴィンはその力を利用して封印を強引に破壊しようとしているのだ。


「負けません……!」

ティアラはペンダントを掲げ、さらに強い光を放った。その光は水晶のエネルギーを押し返し、封印を再び安定させた。


「なぜだ……なぜこんな小娘に阻まれる!」

ヘルヴィンは怒り狂いながら水晶を振りかざしたが、その力は完全にティアラのペンダントの光に飲み込まれた。



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やがて、水晶は砕け散り、ヘルヴィンは膝をついた。彼の部下たちはすでに全滅しており、館の防衛線は完全に勝利を収めていた。


「これが……ハロルド家の力だというのか……」

ヘルヴィンは力なく呟きながら、敗北を認めざるを得なかった。その姿はかつての威厳を失い、ただの敗者のように見えた。


「お前の野望はここで終わりだ」

レオンが冷たい声で言い放ち、ヘルヴィンを拘束するよう兵士たちに命じた。その瞬間、ティアラはようやく安堵の息をついた。


「公爵様……私たちは勝ちましたね」

ティアラは微笑みながらレオンを見上げた。その顔には疲れが滲んでいたが、それ以上に達成感があった。


「お前がいなければ、こうはならなかっただろう」

レオンは静かにそう言い、彼女の肩に手を置いた。その言葉には、彼女への深い感謝が込められていた。



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黒幕であるヘルヴィンの完全な失墜とともに、隣国の封印に対する脅威は取り除かれた。彼の失態は隣国アスカロールでも大きな問題となり、彼自身が再び立ち上がることは二度とないだろう。


ハロルド公爵家の勝利は、彼らの絆と努力の結晶だった。そしてその中心には、ティアラとレオンの協力があった。


夜空に輝く星々の下、ティアラとレオンは肩を並べて立ち、互いに微笑みを交わした。これまでの困難を乗り越えた二人の間には、以前よりも強い絆が芽生えていた。


「これで終わりではない。この家を守るために、これからもお前と共に歩んでいくつもりだ」

レオンの言葉に、ティアラは強く頷いた。


「はい、公爵様。私も同じ気持ちです」

その答えには、彼女の覚悟と信頼が込められていた。



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