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0609 そっと触れる手

「何とここに感度1000倍になる薬がある」

「何すかそのそのエロ同人の導入にありそうな薬は!?」

「すごいだろう。

マウスで実験したらマウスが死んだ」

「唯の毒じゃないですか!」

「アハハ。まぁこれはそれこそエロ同人に寄せたくて作った薬を1000倍に濃縮したものだから仕方ないんだけどここにオリジナルの感度が2倍くらいになる薬があるからそれを試してもらおう」

「…それ俺がですか?

大崎じゃなくて?」

「いや、君女の子に何飲ませようとしているんだい?

あくまでこれは実験だ。

卑猥な目的に使うつもりはないよ」

「博士俺の感度を上げて何をするつもりなんですか!?変態」

「小暮君。君ハイテンションだけど酔ってる?」

「実は少し酔ってます。

てか今何時だと思っているんですか」

「2時だろ」

「はい。深夜の」


それを聞いた博士は驚いたように研究室を出た。

数十秒してゆったりとした足取りで研究室に戻ってくる。


「ここは直射日光が来ないから分からなかったよ。

よくこんな時間にここに来たね。

もう終電も無いだろう」

「偶然他の大学の友達の家に来ていたんですよ。

で、博士。その薬使うんですかい?」

「その予定だったけど止めだ。

酔っている状態だと危険だからね」

「了解です」

「君こそこの後どうするんだい?」


博士に言われてから少し考える。


「俺ここで寝ても良いですか?」

「良いよ。

呼びつけてしまったのは私だ。

好きに使うと良い」


博士の許可を頂いて俺はこの部屋に備え付けられているベッドに寝た。

この研究室にやって来た時点で重かった瞼はすぐ落ちて意識は微睡の中へ―――


***


柔らかい手の感触で目が覚めた。

ゆったりと背を撫でられて数分か数十分か。

手が止まったのを気に微睡ながら聞き返す。


「誰です?」

「あ、起きてたんだ」

「大崎か」

「もう8時だよ」

「あぁ、…朝か」

「いや、夜」

「嘘ぅ!」


俺は飛び起き研究室を飛び起き、外に出ようとしてつんのめる。

足がつってアイランドテーブルに肩から当たった。


大崎の悲鳴、割れる音、嫌汗。


あの人の研究室で物を割ってしまったという事実。


「小暮君!!」


***


唐突に発生したバイオハザード。

その結末はいかに…




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