「やっぱ金持ちがモテるんかな…」
「アルバイトその日暮らしの売れないバンドマンよりは金持ちの方が良いだろうな」
それを聞いた彼はテーブルに突っ伏した。
数秒その状態を続けてから顔を上げて酒を一口。
ハイボールのジョッキを勢いよくテーブルに叩きつけながら言った。
「なんやねんその言い方!
まるで人がロクデナシみたいに!!」
「俺はお前以上の絵にかいたみたいなロクデナシを知らねぇよ」
「んなアホな!」
「お前自覚無いのかよ」
「いや自覚はあるけどセリフが酷すぎん」
「お前に嘘言っても仕方ないだろ。
恋愛は諦めとけ」
「おま!親友なのにその言い方どうなん?」
「親友だからこそだ。
別にお前がシュミでバンドしてようがその日暮らしだろうが一向に構わない。
だが誰かと付き合って同じ温度感で生活する気かよ。
相手の方に迷惑だろ」
「お前、俺とミミちゃんどっちが大事やねん」
「お前の方が大事に決まってるだろ」
「…」
沈黙。
「…え?俺の事好きなん?」
「キモ。
お前がそのミミちゃんとやらと付き合ったら碌な頃にならないって目に見えているから言ってるんだよ。
こぶ付きにして、責任持てず見捨てて俺の所に泣きついて来るまで想像に容易いわ」
物凄く嫌な顔された後一言。
「お前、ホントよくそれでやってけてるな」
「安心しろ。
厳しいのはお前に対してだけだ。
こんな辛辣な評価他の奴に出来るかっての」
「なんやねん、気色悪」
「後最初の話に戻るがお前は別にモテないとは思わない」
「そうなん?」
「あぁ。お前の需要は高いのは保証しよう。
だがプレミア感がない」
「プレミア?どういう意味やねん」
「モテる男が高級車なら―――お前は原付だな」
「車ですらない!?」