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0720 涙の海

比喩ではなく一晩中泣いていたらしい。

彼女にとっての初めての葬式は祖父母ではなく仲の良かった友達になった。


葬式中ずっと静かだった彼女だが帰宅後部屋に籠って泣いていた。


夕方18時には帰宅していたのだが就寝までの23時までずっと泣いていたのは確かだ。


今朝彼女の部屋に入ってみたら昨日葬式に行った恰好のまま布団に突っ伏しており、枕カバーに涙の海が広がっている。

洗濯は必須だろう。


彼女は部屋に入って来た僕に気づき、布団から起き上がると一言。


「頭痛い」


紅潮した頬、焦点の定まらない瞳。

もしやと思い彼女の額に手を当てれば熱が出ていた。


「そっか。

お水飲んで寝よう。

今取ってくるよ」


一度部屋から出て水を手に戻ってくると彼女は仰向けでベッドの上に転がっていた。

彼女に水を飲ませたり着替えさせたりして彼女が再び寝ると自分は部屋を出て行く。


もしかしなくても知恵熱だろうから体は心配はしていない。

だが彼女の傷はきっと大きい。


毎日の様に一緒に遊んでいた友達の死。

自分にすらまだ経験の無い出来事を彼女は受け入れられるだろうか…。


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