友達の増田恵美は感情豊かだ。
驚くほどのゲラでちょっとしたことで良く笑う。
そんな彼女にM1の決勝戦を見せたらお腹を抱え突っ伏した。
ここが私の家の私の部屋でなければきっと色んな人の迷惑になっていた事だろう。
かれこれ十分近くお笑い番組の余韻に浸ってから私達は本題に入った。
「私面接に受からない理由が分かったんだけど考えている事が全部表情に出るのが不味いみたいなんだよね」
「…どういう事?」
「ほら、面接で自分自身に不利な話をされると覆わず顔をしかめちゃってそれが悪い印象を与えているみたいなの」
「なるほど。
確かにいつも感情垂れ流しって感じだよね」
「なんかしまりの悪い女みたいでいやだな」
「うっわ汚ぁ。
…でも理由が分かったなら対策できるんじゃない?
ほら、ポーカーフェイスで」
「コレ?」
彼女の口角が下がり、顔全体の筋肉が下に落ちる。
スンッと効果音が出たような気がするほど抜け落ちたその表情と共に声のトーンもダウンした。
彼女曰くゲームをする時用の顔の筋肉と頭のねじを外して無表情になる最終奥義。
「いや、誰がこんな顔の女と働きたいよ」
「まぁ確かに。
正直一緒に働くなら普段の恵美の方が良いわな」
表情がすぐさま元に戻ったがそれはそうとどうしたものか…。
「とはいえ不味いね」
「ほんと…。
転職活動をし始めてもう3か月するけど一向に決まらないよ…」
と、言って恵美がスマホを見た瞬間手の動きが止まり、顔に驚愕の表情が現れる。
「どうした恵美?」
「…やったわ」
「誰か殺したの?」
「企業に受かった」
「さっきまでの問題解決したね」