「聞いてくれ、小暮君。
僕は五分前の自分にメールを送れる装置を完成させた」
「なるほど。
いつものごとくシレっと凄い発明してますね」
「ただこのメールは最大で6文字までしか送れない」
「現時点で実用性皆無ですね」
「だろう。
それにこの装置は送信した瞬間を観測できないからメールボックスを開いたら勝手にメールが届くだけの子供の悪戯みたいな機能しかないんだ」
「なるほど」
「僕は未来からのメールで過去が変わるのかを確かめる為に君に突発的なじゃんけんを仕掛けようとしたんだよ」
「…仕掛けようとした?
何で過去形何ですか」
「これを見て欲しい」
そう言って博士は僕にメールの本文を見せた。
dgmuri
「何すかコレ?」
「恐らくどう頑張っても無理って言いたかったんだと思う。
じゃんけんでどう頑張っても勝てないってどういう事なんだい?」
言われた意味が良く分からない。ーーーと、考えるのを放棄しようとしたが一つ思い当たるフシがあった。
「博士。じゃんけんしましょう」
「分かった。
じゃんけん―――」
互に出した手は俺の勝ち。
「負けたね」
「多分コレ博士の手の動きが分かりやすくて考える間もなく勝てたって事ですね」
「なるほど。
ならフェイントを入れてやってみようか」
博士がそう言った時、彼女のスマートフォンから爆音で着信のアラームが鳴った。
彼女はスマホを見ると、苦虫を噛んだような顔になる。
何かと思いスマホを見れば「failur」の文字。
「『e』ーみが無いと」
「誰が上手い事言えと言った」