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第7話:ルカ(Luca)

 たくさん食材を手に入れて帰宅した後。

 可愛く鳴いてゴハンを要求する母猫に猫神様が生成したキャットフードをあげた。

 仔猫に栄養をとられ続けているからか、食欲が凄い。


「そういえば聖夜、まだ猫たちに名付けをしておらんな?」

「そっか、一緒に暮らすんだから名前つけなきゃだよな」


 カリッカリッといい音させて貪り食う母猫から離れて、俺は引っ越し荷物の中から1冊の本を取り出した。

 学生時代に友人たちとテーブルトークRPGをやってたときに買ったもの。

 複数の国の単語が載っていて、ゲームのキャラクター名を考えるネタにしていたものだ。


「せっかくだから良い意味の名前がいいなぁ」


 パラパラとページをめくりながら、良さそうな単語を探していく。

 意味が良いだけじゃなく、呼びやすさも大事だ。

 どんなに良い意味の名前でも、俺が発音しづらかったら呼べやしないからね。

 なるべく短い呼びやすい名前にしよう。


「あ、これいいかも。ドイツ語で【ルカ(Luca)】。『光をもたらす者』を意味する名前って」

「ほうほう」


 ソファに座って本を見ている俺の隣に、巨大フサフサ茶トラ猫が歩いてきて座る。

【ルカ】は元々は古代ラテン語で『光』という意味を持つ言葉で、それがドイツやイタリアで人気の名前になっているらしい。


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「よーし決めた。母猫の名前はルカで。仔猫は名前どうしようかなぁ」


 とりあえず母猫の名前は決まった。

 4匹いる仔猫は何にしよう?

 というかキジトラ2匹が見分けつかないんだが?


「み?」


 仔猫をじっくり見ようとソファから離れて段ボール箱に歩み寄ったら、母猫ルカがヒョッコリ顔を出した。

 何気にルカもめちゃくちゃ可愛い。

 撫でようとすれば自分から頭を寄せてくる。


「ルカ、お前の名前はルカにしたぞ~」

「みっ?」


 直接言葉は通じないみたいだから、猫神様に後で伝えといてもらおう。

 俺はルカの腹にくっついている小さい毛玉たちを眺めてから、片手に持っている本をパラパラめくって考える。

 意味が良くて呼びやすそうな単語……4つも考えなきゃならないから大変だ。


「見分けつきやすい子からいくか。茶トラの子は【ソル(sol)】、黒い子は【ルナ(luna)】」


 ソルは【太陽】、ルナは【月】、割とメジャーな単語にしてみた。

 茶トラの毛色は昼のイメージで、黒い毛色は夜のイメージで分かりやすいかなと思ったりする。

 問題はキジトラ2匹だ。

 よーく見比べると大きさが違うな。


「キジトラは少し大きい子が【ルクス(lux)】、小さい子は【ステラ(stella)】」


 ルクスは【輝く】、ステラは【星】、これでキラキラファミリー完成!

 キラキラネームなんて日本人の子供に付けたら世間の評価がよろしくないところだけど、猫の名前なら無問題だろう。



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