「そういえば、これって何ていう鳥のタマゴ?」
猫たちの名付けを終えた後。
俺は手に入れた食材と日本から持ってきた食材を使って朝食を作り始めつつ猫神様に訊いた。
鳥の巣から手に入れたタマゴが、ちょっと変わってる。
大きさはスーパーに売ってる鶏卵のL玉3個分くらい。
殻の色が、まるでイースターエッグみたいに模様が付いてる。
割ってみると、中身は普通のタマゴと同じ白身と黄身になっていた。
「それは、オラオラ鳥のタマゴじゃな」
「なんか喧嘩っ早そうな名前の鳥だね」
猫神様が鳥の名前を教えてくれた。
もしかして「オラオラオラオラ~ッ!」って鳴くのだろうか?
タマゴの殻には、オレンジ色に炎のような紅い模様が入ってる。
親鳥に遭遇したらバトルになるイメージが浮かんだ。
「そうじゃな、気の荒い鳥ではあるのう」
「巣は木の根元にあったけど、飛ぶより走る方が得意な鳥?」
話しながら、俺はオムレツ作りにとりかかった。
元の家から持ってきた菜箸で白身と黄身を混ぜ合わせ、同じく日本から持ってきたフライパンを魔石加熱コンロで熱して、ときタマゴを流し込む。
サラダ油代わりのバターも、具に使うべーコン&とろけるチーズも向こうから持ってきたやつ。
サラダ代わりに添えるのは、森で見つけた食べられる葉っぱ。
今朝のメイン、トロ~リチーズ溢れるオムレツ完成!
「オラオラ鳥は、飛び蹴りを得意技にもつ地鶏系の鳥じゃ」
「飛び蹴り……」
一方、猫神様は穫った魚に片手(前足)を翳して、手から出す火で炙りながら言う。
猫神様の説明を聞いて、俺の中で燃える鶏冠を持つオレンジ色の雄鶏が浮かぶ。
オラオラ鳥、なんか強そう。
それぞれ食べる物ができたところで、揃って朝食タイム。
焼けた魚を両手で持ってムシャムシャ食べる猫神様の横で、俺はスプーンを使ってパンに乗せたオムレツを食べ始めた。
オラオラ鳥のタマゴの黄身は、箸でつまんで持ち上げられるくらい弾力があった。
オムレツは鶏卵で作ったものよりもコクがあり、半熟部分は少しプルプルした食感で美味い。
「オラオラ鳥の肉は美味いぞ。そのうち、狩り方と捌き方を伝授してやろう」
「俺が勝てる相手かな?」
キジやヤマドリみたいに美味い鳥らしい。
魚獲りみたいに言う猫神様は、きっと普通に狩れるんだろう。
しかし、飛び蹴りしてくる凶暴な鳥に、俺が勝てる気がしないぞ。
ラノベの主人公みたいにチート能力を授かってるならともかく。
俺は生活魔法みたいなのを教わっただけの普通の日本人だからね。
あ、もしかしたら魚獲りみたいに魔法を教えてくれるのかも……
「何かオラオラ鳥狩りに使える魔法があるの?」
「否、物理じゃ」
……どうやら、身体能力勝負のようだ。