死んだはずの亡妻が隣国の王妃に?!薄情夫の再婚なんてもうどうでもいい
あきの
異世界恋愛和風・中華
2025年06月05日
公開日
2万字
完結済
娘を守ろうとして谷底に落ち、重傷を負い、記憶を失った。
誰もが、私が死んだと思っていた。
夫・橘 澄信はわずか一年で新しい妻・安倍芙絵を迎え、我が子は彼女を母と呼んだ。
五年後、記憶を取り戻し帰宅した私に、澄信は冷たい言葉を口にした。
「お前の居場所はもうない」
だが彼は知らなかった。
私は記憶喪失の間、出雲国の斎宮親王と結婚し、親王妃となったことを。
宮宴の夜、澄信が跪いた先には…かつて捨てた元妻。
偽りの新妻の甘い罠、教え込まれた我が子の敵意、橘家に渦巻く陰謀。
失われた記憶が導く新たな人生の行方は?
第1話
娘を守ろうとして谷底に落ち、重傷を負い、記憶を失った。
誰もが私が死んだと思っていた。
橘 澄信もそう思っていたに違いない。
私の死から一年後、彼は再婚した。
新しい妻は、容姿も性格も私によく似ていると噂された。
彼女と澄信は、仲睦まじく寄り添い、私の子どもたちさえも彼女に懐いていると聞いた。
そして今日、私が戻ったその日。
澄信は、涙にくれた新しい妻をかばいながら、冷たい目で私を見据えた。
「芙姫は正式に娶った妻だ。今さら退いてもらうわけにはいかない。」
その言葉に、私はそっと息を吐いて、安心した。
記憶を失ったこの数年の間に、私はすでに他の人の妻となっていた。