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リドルに連れられてシャーリーンが居る部屋に連れて来られたシャーロットは、抱き合うシャーリーンとシャーリーを見て涙を浮かべていた。それを見てギルバートも思わず鼻の奥がツンとなる。
今までずっと二人はシャーロットを演じ分け、それはシャーリーンの前でもそうだったのだ。二人が揃ってシャーリーンの前に立つのは、これが生まれて初めてだという。
そんな話を聞けば、動物物と親子物にとことん弱い系王子としては涙せずにはいられない。
「かあ……さま……」
シャーロットの声が聞こえたのか、ふとシャーリーンがシャーリー越しにこちらを見て息を飲んだ。
「……シャー……ロッ……ト……? 何故……」
「母様! 私はずっと生きてたの! 姉さまと二人でシャーロットを演じてただけなんだよ!」
シャーリーの言葉にシャーリーンはゴクリと息を飲んで、次の瞬間子供の様に声を上げて泣き出した。右手はしっかりとシャーリーの手を掴み、左手でシャーロットを手招きする。それを見てシャーロットも泣きながらシャーリーンに駆け寄って、その華奢な体に抱き着く。
「母様、母様!」
「何てこと……夢の中の出来事が現実になるなんて! もしかしてこれはまだ夢の途中なの?」
「夢じゃない! 姉さまも私もここに居るわ!」
嗚咽を漏らしながらシャーリーンに抱き着いて離れないシャーロットの代わりに、シャーリーが言いながらやっぱり母親に抱き着いた。そしてとうとうシャーリーまで泣き出す。
「シャーリーン!」
続いてリドルに連れて来られたレイリーが、ベッドの上で泣きながら双子を抱きしめるシャーリーンを見て思わず声を上げた。
その声に驚いてシャーリーンはドアの方に視線を移し、レイリーを見るなり泣きそうな顔をして笑う。これぞ感動の再会である。
ギルバートは思わず泣いてしまいそうになるのを堪える為に口を引き結んでレイリーの背中をそっと押してやると、レイリーはヨロヨロとシャーリーンに手を伸ばして手を掴むなりその場で泣き崩れた。
「兄さま、勝手ばかりしてごめんなさい……」
「もういい! 生きてるならそれで……もういい」
シャーリーンの頭を抱きかかえて静かに涙を流したレイリーは、ギルバートの方を向いて頭を下げた。
「王子……ありがとうございます。これで私はもう、いつ処刑されても本望です」
「【別に処刑するつもりもないんだが……】まぁ、考えておく。さて、ではシャーロット、次に移ろうか」
「ええ、そうね。レイリー、鳥を使って王妃に入れ替えが成功した事を伝えてちょうだい」
「は? いえ、一体何を……」
「レイリー、あなたは私に利用されていた。ロタを人質に取られていたから仕方なく付き合っていた。そうでしょ? だから私は母様が生きている事をあなたに知らせなかったのだものね?」
「い、いや、私は……自ら望んで……」
レイリーが何かを言う前に、ギルバートはレイリーの肩を掴んで険しい顔をする。
「そうだったのか! でも安心しろ。ロタも無事だ。そして、シャーロット、君はレイリーとロタを巻き込んで予めこうするつもりだった。そうだな?」
「ええ、そうよ。だからこの二人は無理やり私が巻き込んだの。ね? レイリー?」
ギルバートとシャーロットに怖い顔をしてそんな風に詰め寄られたレイリーはもう頷くしかなくて、何度も何度もギルバートとシャーロットを見比べて渋々頷く。