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第24話 人はみんな間違える!裁判所だって間違える!


 この国で紛争が持ち上がった時に、最終的に判断を下すのは裁判所だ。


 例えば、警察が誰かを逮捕して、世間が「や〜い、逮捕!犯罪者!」となったとしても、裁判所で無罪といわれれば、もちろん犯罪者などではない。


 日本は三審制が導入されており、地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所、と、上訴することが可能だ(最高裁に関しては、憲法違反または過去判例との矛盾に問える場合だけとされる)。


 逆に言うと、最高裁判所が支持した判断は絶対的なものであり、揺らぐことがない。


 冤罪事件で、一度出た判決が覆ったケースはある。ただ、それに関しては、警察や検察が違法な証拠を持ってきたために生じたものであって、裁判所はそれをもとに判断を下しただけなので、基本的に謝罪することはない。



 だが、2016年4月。


 最高裁判所が、謝罪をしたという歴史的な出来事があった。


 ハンセン病という病気がある。


 ハンセン病の患者に関しては、この国はきわめて他国にも類を見ない差別的な取り扱いをしてきた。詳細は、諸君で調べてほしい。調べれば調べるほど差別の歴史が発掘され、ここに書き切ることなど出来ない。


 さて。問題の最高裁判所の謝罪について、だが。


 当時最高裁判所の事務総長だった今崎幸彦氏が最高裁判所を代表して謝罪をした。


 なにについて謝罪をしたか・・・


 ハンセン病患者への処遇に関していうと、日本人が無知すぎて、ハンセン病は空気感染すると思い込んでいた(国際的にはそのような科学的根拠は薄弱で、現在では絶対に空気感染はあり得ないと明確に否定されている)。


 この誤った差別的な認識に基づいて、ハンセン病患者の裁判を、通常の裁判所ではなく、隔離施設に設けた「特別法廷」で行なったのだ。裁判所の判断で。


 この「特別法廷」が不当であったとして、2016年に最高裁判所が正式に非を認め、謝罪をおこなったという経緯である。


 最高裁判所の謝罪はきわめて異例。


 絶対に判断を間違えてはいけない機関とされる、最高裁判所ですら、間違え、そして時を経て謝罪をした。


 となれば、我ら矮小な一般人も公務員も間違えるのは当然だよね。ミスは誰にでもある。


 でも、最高裁判所から学ぼうね。


 間違っていたと認めたならば、ちゃんと謝るべきだ!ということを・・・

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