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第31話 井原西鶴『男色大鑑』


「男色」(なんしょく/だんしょく)とは男性同士の同性愛のことを指すが、古来より男色は存在し、たとえば筆者は下記に示す記事にたどり着いた。

 ちなみに、「女色(じょしょく)」という言葉は、男性が女性に向ける性愛(異性愛)を指すため、女性が男性に向ける性愛や、女性が女性に向ける性愛は、古来からは規定されていなかったということになり、あくまで男性本位の言葉であるという前提に立つ必要がある。


 参照するWEBメディア記事は下記。



■『信長も!家康も!芭蕉も!日本の男色の歴史を考える』(Aimu Ishimaru/「和樂web」に掲載)

https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/87711/

より


> 江戸時代前期に井原西鶴が記した、浮世絵草紙『男色大鏡』には、当時男神とされていた天照大神が日千麿命(ひのちまろのみこと)を衆道(男色の意)に基づいて愛していたと記載されています。

> さらに、井原西鶴は伊耶那岐命(イザナギノミコト)と女神・伊耶那美命(イザナミノミコト)の夫婦の神様が誕生するまでは、男神ばかりだったので男色を楽しまれていたと主張しています。


(引用終わり)



 井原西鶴の『男色大鑑』は、現代語訳されたノベル版や、漫画版などで広く展開されており、昔の男性同性愛の様子をうかがい知ることが出来る。


 引用でも示したとおり『男色大鑑』によると、日本神話の世界においても男色は流行していたといい、また、これは井原西鶴本人による言葉なのか、訳者による意訳なのか筆者にも定かでないのだけれど、「神話の世界に女神が登場するまでは、男神たちによる男色により世界は平和で安定していた」などと、男性同性愛を肯定し、女神の登場によりこの世に諍(いさか)いがもたらされた、などとする主張もあったと筆者は記憶している。



 イスラームのように明確に同性愛を禁止する文化圏は存在する。

 あるいは、西洋でも、イギリス人で第二次世界大戦中に「ナチス・ドイツが使用した暗号機エニグマ」の暗号解読に多大なる貢献をした、コンピューターの産みの親ともいわれるアラン・チューリングが同性愛で逮捕(死後に名誉が回復)されるなど、同性愛者は憂き目を見てきた。(映画『イミテーション・ゲーム』を参照されたし)

 一方で、日本では特別に同性愛を否定する根拠はなく、明治時代に10年間だけ有効だった「鶏姦罪(けいかんざい)」をのぞき、同性愛が否定されたことはない。


 日本では、同性婚を認めないことが憲法違反かどうか争われているが、「婚姻は、両性の合意のみに基づく」の文言の「両性=男女」という根拠に頼っており、日本において、同性婚を否定する根拠は歴史上を見ても存在するとはいえない、と筆者は考えている。


 筆者の考えでは、同性婚を実現しないことは、保守層による同性愛嫌悪以外の何ものでもなく、明確な根拠に欠くため不当な差別である、と明言したい。

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