筆者は西武鉄道沿線に住み続けている。
実家も西武沿線だし、現住所も西武沿線だ。
となると、(野球に関心のない方にはピンと来ないかもしれないが)プロ野球・埼玉西武ライオンズが嫌でも日常に紛れ込んでくる。
筆者も熱心に応援しているわけではないのだが、なんか退屈だなという折にはベルーナドーム(※ネーミングライツにより数年に一度名称が変わるので2025年現在の正式名称はコレ。ほとんどの人は西武ドーム、もしくは西武球場と呼ぶ)に足を運ぶ。
先日、考察のしがいがある場面に出くわした。
ライオンズは一軍の球場(ベルーナドーム)と二軍の球場(CAR3219フィールド)を所有している。
いずれも、西武鉄道・西武球場前駅から徒歩で行くことが出来る。
実は、一軍の球場と二軍の球場が同じ立地にあるというのは少数派で、ほとんどの球団は一軍と二軍の球場が離れている。これを踏まえて聞いてほしい。
筆者は18時プレイボールの一軍の試合を見に、西武球場前駅に降り立った。
すると、ちょっと年配でライオンズのユニホームを着た男性が帰ろうとしていた。
その日、13時プレイボールで二軍の試合が行われていた。
筆者は「なるほど。二軍の試合を見たのだな」とすぐに分かった。
二軍と一軍という名称の違いからも分かるように、やはりプロ野球は一軍で活躍してナンボの世界だ。
しかし、これから夏場にかけて、体調不良や成績不振などで一軍から離脱者が出てくる。そんな時に、二軍から一軍へ昇格させるにあたり、どの選手が戦力になるかを見極める重要な役割を二軍は担っている。
二軍の試合をこの炎天下の屋根なしのデーゲームを見に来る人は、相当なライオンズファンだといえる。
だが、ここで一つ疑問がわく。
相当なライオンズファンであれば、二軍の試合が終わったあと、そのまま一軍の試合も見ていくのではないか、と。
ここからは、筆者の推理だが、おそらくその男性は遠くに住んでいるのではないか。
西武球場前駅からベルーナドームへは徒歩1分、CAR3219フィールドへは徒歩2分圏内だ。
ただ、この西武球場前駅にたどり着くのがなかなか大変なのである。西武鉄道ユーザーにしか分からないと思うけれど、例えば、所沢駅から歩いていけるところに球場があればだいぶん話は変わってくる。
西武球場前駅へは、所沢駅の一駅隣の西所沢駅へ行き、そこから乗り換えて行かなければならない。(野球開催日は池袋駅から直通の電車が出てはいるものの)
家が遠い(アクセスが悪い)のでデーゲームしか見に来られないというライオンズファンはいるらしいと聞く。二軍は過酷な炎天下の環境にさらされているけれど、一軍のライオンズ主催試合においては、夏場はデーゲームがない。(夏場以外の休日祝日にはデーゲームがあるのだが)
だから、件(くだん)のその男性が一軍の試合を見ていかない理由としては、「家が遠い」、「疲れた(この炎天下で屋根なし、の二軍の球場だ。そりゃ、疲れる)」、「予定がある」、「一軍はあまり興味ない(これに関していうと、二軍は安価でバックネット裏という野球観戦における最上位の席で観戦できる。それに比べると一軍のチケット代は高いので、という理由もあるかもしれない)」などが考えられる。
と、まあ、野球の話になってしまい、野球に興味のない読者諸君には申し訳ない。
筆者は幼い頃から西武球場に通っており、野球観戦は趣味とかいうよりも日常の一部みたいなものだ。そして、西武鉄道ユーザーとして西武グループは発展してもらわないと困る。
※
ライトノベル『涼宮ハルヒ』シリーズで、涼宮ハルヒの人生観が変わった場面がある。
それこそ、まさに、ハルヒが野球場を訪れた時で「人ってこんなにいるんだな」と思い、それからハルヒはどうも奇行をはじめたようだ。
一万人から四万人が一カ所に集まって、野球を見る。平和な国だから出来ることで、当たり前のことではないのだ(実際にコロナ禍では無観客試合も行われた)。
野球だけでなく、人と集まって何か体験する娯楽は、これは主催者側も観客側も、やはり感謝の気持ちを持って挑まなければならない。
インフラが整った日本ならではのことで、決して当たり前のことなんかではないのだ。