「読んだものは精神に異常をきたす」という触れ込みがインターネットなどでも注目された小説『ドグラ・マグラ』。
夢野久作による探偵小説である。
夢野久作は筆者も多大なる影響を受けており、筆者にとってもかなり重要な作家だ。
ペンネームの夢野久作は、久作が父親に小説を見せたところ、「夢野久作が書いたごたる小説じゃねー」と評したことで名乗ったという(Wikipedia『夢野久作』より※夢野久作は博多弁で「人の考えないようなことを言う人」とのこと)。
(話が逸れます)
ちなみに、筆者のペンネームは、「ミモリ」さんという推しのお笑い芸人さんがいて、そのミモリさんを超えたいという意味で「四森」を名乗っている。
それに加えて、山田太郎みたいな苗字+下の名前のペンネームよりも、ホラー作家の雨穴さんや、背筋さん、梨さん、漫画家の魚豊さんなど、苗字+下の名前じゃないのもなんとなくカッコいいなと思って、気に入っているペンネームである。
(話戻ります)
『ドグラ・マグラ』の発表当初、江戸川乱歩は「わけの分からぬ小説」と評したらしい。のちに、乱歩は高評価をしたとされているが、まったく「わけの分からぬ小説」というのは正しい。
『ドグラ・マグラ』は、『黒死館殺人事件』、『虚無への供物』と並んで、日本探偵小説三大奇書と呼ばれている。
『黒死館殺人事件』も『虚無への供物』も筆者は読もうとしたことがあるが、とても読めなかった。一方で、『ドグラ・マグラ』は読みやすかった。
※
映画『ボーはおそれている』で、主人公が自分のこれからの行動を知ってしまうというような描写があるが、ちょっと『ドグラ・マグラ』っぽいなと思った。
『ドグラ・マグラ』でも、『ドグラ・マグラ』全編のあらすじを物語の途中で語り手が知ってしまうという不可解な場面がある。
『ドグラ・マグラ』がまだ途中なのに、『ドグラ・マグラ』の全容が書かれた文書を語り手が知ってしまうという。
今でこそ、メタフィクションなど多数存在するけれど・・・
『ドグラ・マグラ』のイメージが強いかもしれないが、短編の名手でもある。『ドグラ・マグラ』だけでなく、ほとんどの短編を青空文庫で読むことが出来る。
筆者は『ドグラ・マグラ』を何回か読んだが、「読んだものは精神に異常をきたす」という触れ込みもあながち虚構ではないかもしれない。まともに、解釈しようと思案していれば、気が触れたように周りには映るのかもしれない。
拙作『御家属(ごかぞく)』は、かなり『ドグラ・マグラ』の影響を受けたといえる。
完全にいっちゃってる感じになった。まあ、それはそれで。『ドグラ・マグラ』を引き合いに出すのも憚(はばか)られる。
久作の小説は発表当時も高評価されていたはずだが、今、もっとも読み時な気がする。
江戸川乱歩賞や横溝正史賞、松本清張賞はありますが、夢野久作賞ってないはずです。
あるべきですねえ!夢野久作賞!