目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報

第45話 説教系エンタメの矛盾(むじゅん)


 前話で、映画『真相をお話しします』と『でっちあげ』に触れた。

 映画評論エッセイにはしたくなかったので、映画の感想などは普段記さないのだけれども、エンタメ界全般に漂う自己欺瞞(ぎまん)の空気が鼻持ちならないので、この場を借りて主張したいことがある。


 この二つの映画は、「SNS、あるいは世論といったものが、個人に加える多大なる影響」をテーマの一つにしている映画だ。


 筆者は、説教系映画と名付けた。


 特に、『真相を』ではまさしく、我々がSNSでおこなっていることの賛否が文字通り観客に突きつけられる。


 まあ、筆者としては鼻持ちならない。


 説教じたいは構わない。おおいにやってもらって結構なのだが、ひどく自己欺瞞というか自己満足というかを感じるのだ。


 というのも、そもそも、


 上記の構造を踏まえたうえで、説教系エンタメがやっていることは完全に矛盾している。


 そうして、最初からSNS問題などに理解のある観客が「誹謗中傷ダメだよねー」と言いながら帰る。


 これの何に意味がある?


 説教をされるような人間にまず届く。これを大前提とし、そのうえで、説教をされるような人間の心をどう改めさせるか。ここが重要ではないか。


 最初から説教とは真逆のグループにいる者たちで「ダメだよね〜」をやっていては、なんの進展もない。


 しかし、映画としてどうだったかということに触れておかなければならないのだが、まず演出と脚本はたいしたことなかった。(『でっちあげ』の途中まではカメラワークが良かったのだが、途中から三池監督が交代したのではというくらいつまらない撮影になっていた)

 しかし、『真相を』のtimelesz菊池風磨さん、Mrs. GREEN APPLE大森元貴さん、『でっちあげ』の綾野剛さん、柴咲コウさんらの演技は見事だった。


 まあ、説教系ということを抜きにすれば、いずれも一定程度満足して帰ることの出来る映画ではあった。


 ちなみに、筆者が今年見て一番面白かったのはアメリカ映画の『サブスタンス』。


 話題となっている日本映画の『国宝』に関していうと、筆者は2回映画館に足を運び、2回最後まで見ようと挑戦したのだが、いかんせん物語の運びが遅く、2回とも最後まで見られなかった。


 筆者としては、『国宝』は退屈、最後までとても見ていられない(もっとも、最後まで見ていない以上、感想は言えない)という印象なのだが、はたして、来年のアカデミー賞に期待出来るのかどうなのか。(日本でやってる謎の日本アカデミー賞ではなく、アメリカの本当のアカデミー賞のほうです)


 アカデミー賞国際映画部門だけでなく、(韓国映画の『パラサイト』みたいに)作品賞にまでノミネートされればたいしたものだが・・・はたして!?


※『国宝』批判ではありません!筆者は「映画の理想の上映時間は1時間40分」と考えており、あくまで筆者には合わなかったと主張するだけのものです!

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?