「無事に合流できてよかったっす。そっちは幽霊退治捗ったっすか?」
「ええ……そうね」
先程まで幽霊に恋愛相談をしていたなんて、とてもじゃないが言えない。
私たちは二階から三階へきていた。
「ワン、ワン!」
三階に来て早々、犬の遠吠えが聞こえてくる。それと同時に、雅哉さんの表情が曇った。
「気をつけるっすよ水島さん。あの鳴き声は犬の幽霊『くっつけワンワン』っす!」
「くっつけワンワン? なにそれ?」
「くっつけワンワンとは、超低確率な割合で現れる厄介な幽霊なんす。もしくっつけワンワンと男女が遭遇すれば……」
「すれば……?」
「男女のテンションがおかしくなり、例外なく行為をおっ始めるという、恐ろしい幽霊なんすよ!」
あれ、これ私にとっては願ったり叶ったりな幽霊なんですけど……
まさか、あの女幽霊さんが呼び出してくれたのだろうか? 本当に私の味方をしてくれた!
正体が分かれば怖くはない。私は雅哉さんの手を恋人繋ぎで握った。
「行きましょう! くっつけワンワンの元へ!」
雅哉さんはキョトンとしていたが、すぐに正気に戻って恋人繋ぎを解こうとしてきた。
「火事場の馬鹿力って知ってるわよね? もう止まらないわよ!」
「ちょ、ちょっと待つっす! てか力強よ……!?」
私は雅哉さんをひきづってでも前へ進んだ。だって『くっつけワンワン』と遭遇した時点で雅哉さんとえっちができるのだから。
そうこうしてるうちに見つけた。三つ目犬だし、確実に『くっつけワンワン』だろう。
「グッ、ムラムラしてきた……」
すると、雅哉さんが急に胸を押さえて苦しみ始めた。しかもよく見てみると、雅哉さんの棒がデカくなっている。
私は無言でパンツを降ろした。
「み、水島さん……な、なにを……」
「私、雅哉さんのことが好きよ。だから、えっちしましょう?」
「ま、待つっす! これは『くっつけワンワン』のせいでおかしくなってるんす……」
「私はずっと本気よ。ずっと貴方のことが愛おしくて堪らなかったの! ねぇ、責任とってよ。私をこんな感情にした責任をとってよ!」
「ぬぐわァァァァァ!?」
私が迫った瞬間、いきなり雅哉さんが駆け出して、『くっつけワンワン』を除霊してしまった。
「はぁ、はぁ、危なかった。水島さん、こういうのは恋人同士がやるもんなんす。僕だからよかったものの、ダメっすよ? 恋人じゃない僕たちがやったらダメなんす」
「じゃあ恋人になってよ! 私ずっとアピールしてるのよ! どうしていつもいつも無視するの!」
「水島さんは大事なクラスメイトだから」
「卒業したらクラスメイトじゃなくなるじゃない! 私は、貴方と恋人になりないって言ってるの!」
「恋人……」
その後、雅哉さんは『三日返事を待ってほしい』と言って今日は解散となった。