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第11話 三つ巴の戦い

ゴーン、ゴーン──


 重厚な鐘の響きが、耳にある膜を突き破るように鳴り渡っていた。


 そして鐘の音を背景に話していた、そんなレウェイチョの言葉が終わるか、あるいは終わらないかの瞬間だった。


 爆ぜた。


 まるで世界そのものが裏返ったかのように、凄絶な焔と共に振動が部屋を飲み込んだ。


 天井が撓み、窓の外の風景が一瞬にして灼ける赤に染まる。

 爆風が室内の空気を削り取り、その場の全員が息苦しさを感じる。


 「っ──!?」


 女は反射的に身を伏せた。

 レウェイチョはその衝撃を回避すべく、驚異的な跳躍力を見せて、遠く、遠くへと後方へ跳んだ。

 だがメロオ=二世だけは一歩も動かない。瞼すら瞬かせず、爆風のど真ん中に直立不動となっている。

彼は爆発のもとを見つけるつもりだった

 ロメオが気づいた爆心地のもと、それは

──解体人だった。


 その体が火を滾らせては爆ぜ、爆音音と煙と熱気を撒き散らしながら、天井を突き破って跳び上がり、破片があたりに撒き散らされる。


「逃げ仰たか」

メロオ=二世は言う


 彼にとって。解体人のその動きは逃走の意図に見えた。


次の瞬間メロオ=二世は顔を顰める。


宙を切る音と共に何か近づいてくる


「仕留める!」


そう言い放ったのはあの男、解体人だった。


 どうやら先ほどの奇怪な動きは力をため、加速するためであった。

火の反動によるものであったから、今現在もなお、左手を掲げ、右手を垂らし、片膝を上げた異様なバランスのままにいた。

 それは彼にとって空中で最も速く、最も制御しやすく離脱するための機動の姿勢だった。


 そして柱に巻き付いていたのは足元の柱を軸に、自身を加速させるためか、と考えたメロオ=二世

だが何かが違うと感じた。

そんなはずではなかった。

いくらなんでも速すぎる


ーまさか


 そう飛び散った破片から見るに。解体人は炎を圧縮し柱を燃やし、しならせてその反発と一緒に爆発させた。

この2つにより爆発的な加速度を得た。


 理由は簡単。

炎の爆発と柱の爆発から異なる気流が生まれる。


その気流同士のぶつかり合いによって生じられる猛速な上昇気流は誕生する。


それを強化した身体の筋力を持ってして自身を射出させる。


これは逃避行ではなく攻撃である。


 そう気づいた時には。その場の誰しもが確信していることがひとつあった。

この速度は並の対処じゃ対応できないと。


 「やられたねぇ……」


 爆風の中でレウェイチョが笑う。空気が熱い。

同時に柱の破片で床が割れる音が鳴り響いては、耳の奥で変に反響してしまう。


 「これは……本気で逃げにかかってる。ということではなさそうね──」


 「レウェイチョ、油断をするな。やつの目的は貴様のはずだ。」メロオ=二世が大きな声を出してレウェイチョ伝える。


 天井に空いた穴。そこを抜け、解体人の残影が、まだ空中にいた。


 煙を纏ったその影は、宙に浮かびながら猛速に腕や足をバタつかせ、捻らせて、メロオたちに向かって突進しながら姿勢を調整していた。


 左手には弾薬として固めた灰の石を燃やしながら掴んでいた

 近づけば近づくほど石の燃える勢いは増していきやがて、それを杭に当てた。


(灰がないこの場、速度を出して火力を上げないと有効打にならない。二発目はもうない!必ず成功させる!)


ビューン


杭が空気を引き裂く音だ。


 「まだやる気か」


 レウェイチョが短く笑い、地を蹴った。飛び出すようにして、破壊された天井へ向かう。


 「メロオ、彼女を!」


 「言わずとも」


 重い足音とともに、メロオ=二世が女の側へ立つ。大男の胸板が、壁のように目前を覆った。


 彼の動きは、荒事の最中とは思えないほど静かで、正確だった。


グチィ!


メロオ=二世が女の足先を踏み潰した音だ。

 「私はレウェイチョほど甘くない、騒ぐな、妙なことを企むなら指も折る。」


 それを聞いて女はただ、静かに目を閉じた。

 閉じた瞼の裏で、何か透明なものが光を反射させたがわかった。


 空の上。レウェイチョは既に解体人の真下に迫る位置へと飛び込んでいた。

 無重力のような身のこなしで、空中に浮かび、そして剣身のない剣を抜く──いや、抜くそぶりというべきか


 なぜならその剣に刃はない。

 だが次の瞬間、レウェイチョの攻撃よりも先に解体人の杭が空を引き裂き、レウェイチョ横を通り過ぎる。


解体人は打ち出した杭の末端を手で掴んでいて、燃焼させることで加速していた。


「あらら、やっちゃた。メロオさーんあと頼んだ!」





──位置が、入れ替わった。


 爆裂の残響がまだ耳に残るその刹那、天より舞い戻った解体人の先にある杭が刺す方向、そこにいたのは、メロオ=二世ではなく、解体人に火を知らしめた女の影だった。


 どういうことだ、と女が目を見張る間もなく、状況は更なる変化を迎える。



 「……止める!」


 解体人は空中で杭の推進力減らすため、燃やす角度を変えて火で杭を変形させては、自らの手でその杭の一部を折った。


 次に元の軌道を外れた、飛び散った方の杭の破片片手で握り締めた。

その次の瞬間、杭を握り閉めた部分から破片の杭は赤色に変化する。

 解体人の体からは火がいつもを増す勢いで噴き出し、彼はそれを破片に当てては逆噴射のように利用して再加速する。

こんなに加速しては、本来なら女に向かって衝突すること間違いなしのはずだ。

しかし軌道の変化がもたらす勢いに乗ったため方向が少し上にずれた。


 だが肝心の残った杭の主軸は、解体人分の重量や折れた杭の部分の重量が減少したことで、本来よりわずかに速く進んでしまう──


「あの...」

上の方からレウェイチョの声がした。

「ごめんね。かわいそうだけど、後で治してあげるから、ごめんね」

そう言いながらレウェイチョが本当に悲しそうな顔をして謝っている。


 そんな謝罪など必要ない。

それは怒りからではなく、当たらないことへの確信だった。


加速度が増したとしてもそれはもう直角ではなかった。


 すでに爆発の衝撃と構造の非対称性によって、杭はわずかに軌道を逸れ、緩やかに斜め上へ曲がるような放物線を描いている。



 ──そして、解体人自身もまた、先ほどの爆風の反動を活かして、空中で一回転。


こうなれば解体人の方がそれの先を行くはずだ。


 その身体が杭の軌道を追い越し、自らの背中でそれを迎え撃つ形となる。


 「……ッぐう!!」

(イッタあああああ!)

 衝撃。


解体人の肉体の強度では虚しくも

 背中を貫いた杭の先端が、少ししか速度を緩め、次の瞬間には彼の肉を裂き、骨を砕き、なお進み続ける。

 しかし目的はすでに達成されていた、進行方向が解体人と言う障害物によりさらに逸らされることになるからだ。


  解体人を刺し貫いた杭は、もはや女の方に向かうではなく──レウェイチョを目指すような方向に切り替えていた。


 「……はぇ。」


 空中でその軌道を見定めたレウェイチョは、微かに唇の端を吊り上げる。


 「やるじゃないの、でも──まだ夜じゃない」


 その声とともに、左手を上げる。


 手に握られていたのは、彼の肩上に羽織り、飾っていた装飾用の被布。それを高く、空へ掲げた。


 ──白銀の織りが月光を思わせる。


 上空に煌めくのは、本物ではない月。だが、重要なのは物理的な実体ではない。

──暗示そのものだ

 周囲に溶け出す冷光。

 破れた天井から差し込むわずかな自然光と被布の反射が交錯し、空間を包む色彩は夜を模す“錯覚”へと変わった。


 「──月は、もう出ている」


 擬似月光、成立。


 その瞬間、レウェイチョの身体がふわりと浮く。


                サダメノトキ


 精神には刻まれた条件が刻印され、“夜の時刻”としての自身にスイッチが入る。

 感覚は一層に鋭敏化が進んで、筋出力も自然に解放されて行く、しかしそれらも難なくと制御される。何より、時間の流れが異様に遅く感じられた。


 (今なら……何度でも避けられる)


 疾駆する杭の軌道はもはや単調だ。爆発、折損、加速、貫通、そのすべてが動力を削り、軌道も鈍っていた。


 レウェイチョはその軌道を三歩先、五手先まで読む。力が流れる方向すらも


 そして、空中でひらり、ひらりと、体をわずかに傾けながら、杭の直進を避ける。


 そのたびに、冷たい月光が彼の髪と服を揺らす。


 最後の一撃は、彼の髪の一本すらもも掠め取る事ができずに──杭は空を裂き、彼の後方へ抜け落ちていった。


 「うん、上出来。」


 レウェイチョが軽く着地し、顔を上げたとき──


解体人が地面から少し高い空中の位置にいた

 解体人のその背中には杭が刺さったままで、そこで血の軌跡を描くように、解体人が浮かんでは漂っていた。


 (ちょっと自己暗示かけすぎちゃったかも、うわぁ...すごい傷、痛そう。)


「避けろ!レウェイチョ!」


 なんと杭を背に受けたまま、解体人は空中で体をねじり、着地の構えを取った。


 落下の寸前、彼は左肩を沈めながら左腕を斜め上へ掲げて──体を貫いた杭を根元ごと引き抜いた。


 「ギギ……ィ、ッあああ!!」


 叫びだけではない。胸あたりが再生していく中燃焼により起きた蒸気の音も混じっている。


 その表として皮膚の下に張り巡らされた血管ひとつひとつが赤く膨張し、蠢いてるかのように、血液を爆走させている。


 次の瞬間。


 ズドンッ!


 解体人の片膝が床を抉るほどに沈み込む。だが、これはただの着地ではない──ジャンプの前動作。


 右手が杭をぶら下げたまま、逆手に持ち替え、下から上へ大きく振るう。




 燃焼に慣れた杭をはすでに質の良い点火材となっていた。それを床に張りついていた破片と灰を一挙に点火させる。

 あたりが、一瞬で、火に包まれた。


 その爆炎を貫くが如く、解体人は杭を全力で握りしてながら高速火の包囲を飛び出す。



 その中心を抜けて、メロオ=二世が前へ出る。


 真正面。


 その巨体は、全くぶれず、揺れず、剛鉄のごとき両脚で着実に前進してきていた。


 「──緩い、そのやり口では」


 メロオ=二世は左足を前に出し、つま先をほんの少し外側に開く。

 腰を沈め、上体を右に捻る。


 そのまま、右拳を真横に捻って構えた。構えた腕が、まるで杭のように固定されている。


 (受けるつもりか──?)


 解体人が見たのは、まさに「砲塔の向き」のような拳。

 逃げ場のない正中線上に、己の飛び込みが吸い寄せられていく。


 ゴン!!


 音が違った。


 鈍いのではない。止まった音だった。


 杭はメロオ=二世の拳にぶつかった瞬間、動きを封じられた。


 「ッ──?」


 解体人の腕が痺れる。力の伝達がおかしい。


 それは「硬さ」ではなかった。“転送された”かのように異常であっだ。


 (“硬化”能力か……!? いや、違う──)


 その刹那、メロオ=二世の体が前へ滑るように移動する。踏み込みではない。


 足を固定したまま、上体が蛇のようにしなり、巻きつくような動作で距離をゼロに。


 次の動きは、見えなかった。


 気づいたときには、解体人の右腕が外れていた。


 杭ごと、肘の位置から完全に千切れていた。


 「──尋常に勝負」


 メロオ=二世の低い声が響く。


 「……なんだそれ」


 左掌が、解体人の胸にめり込む。


 ボゴォ!


 放たれた拳が内臓を揺らす。物理的な突きなんて感じ、そんなやわなものではない。まるで内臓を直接!?。


(こいつ神術は転送か?)



 ズッ!!


 地面の破片が真上に爆ぜる。床に先ほどの火炎やっと伝わってきた。


 その爆発力で彼の身体は逆さになり、右脚を上から振り下ろすような構えに。


 「...う、動ける。」


 その瞬間、メロオの頭上──


 「────いるよ」


 声とともに、レウェイチョが宙を滑るように降下。






月の光で出来た影のようにレウェイチョの姿は歪んでいた、彼自身の存在を屈折させていた。


 (位置がズレている……!)


 解体人が空中でそれを看破するも、既に遅い。


 ぴしゅ──


 音もなく、レウェイチョの攻撃が杭の軌道を裂く。


 「驚いた?予測と違ってこんなに速く降りてくるなんて。」


 声と共に、レウェイチョの左手が中指と人差し指をクロスさせる。


 布が弧を描く形で空中を滑り、腰にある剣の鞘につく


引っ張り出された剣は布により角度を微調整されながら、光を反射させる。


 そうして光の入射角と反射を利用し、肉体と精神の知覚を一瞬ズラすことで、暗示により肉体には見えない切断を形成する。


 (避け──)


 しようとした瞬間、背後から爆音。


 ──ドッ、ゴウッ!


 背中を肘で貫かれる。

 メロオ=二世が、一瞬でこちらへと移動した、レウェイチョが滑るように速いというのならば、メロオ=二世は確実に一瞬であった。

回転肘打ちを解体人の背面へ打ち込んでいた。


 だが、その衝撃が完全に通る前に、解体人は両腕を後ろに組んでいた。


 (やはりな、来ると思ったよ──!)


 パァン!


 後背の骨が砕ける音と共に、そこから火が逆噴射。

 (転送が神術だ!)


 メロオ=二世が瞬時に肩を引いて、左腕の筋を緩める。

 そして逆に肘を開く方向へ捻り、解体人の射出を誘導する形で”躱す”。


 「読めた!俺相手にお前は暗示をかけないと俺を転送さ、うっ!」

メロオ=二世がより強く肘を捻じ込ませる。


 同時にその後ろでレウェイチョが舞うように被布を両腕に巻き付ける。



バシン!

 (布で攻撃だと!?)


 形状を変化し、月光の影で偽物を形作る技術。だが、それは見た目だけではない。


 「素材は普通の武器と違うけど、効果は同じだよ?」


 布が解体人の方へと近づく。


 解体人、空中で逆回転。


 (これ、さっきは錯覚、ならこれも…なら──!)


 目を潰す。


 彼は両手でで自分の目を抉り、視覚を遮断した。


 爆発による空気の流れ、布の震え、杭の唸り──

 聴覚と皮膚感覚のみで空間を把握し、回避行動に入る。


 「──愚鈍極まりない。」


 メロオ=二世と共にその拳が、低く滑る。地を這うような拳。


 その動きに合わせて、レウェイチョの布が上から下へ窓からの月光のように、下へ、下へ、投下され、降り注ぐ。


 上下の挟み撃ち──解体人を同時に襲う。


 「暗示!!暗示!!わかったぞおおおお!」


 解体人が叫ぶ。


次の瞬間 

  ──異変は空間に走った。物理的に


 (……空間座標が崩れ始めてる?)


 レウェイチョが目を細める。


 眼前の解体人の身体が、靄のような歪みに包まれていた。

 それは同伴のによる空間転送の現れだった。

 (僕の暗示があれば、転送は絶対のはずだが。)


 「逃がさないよ……!」


 レウェイチョの布が風の鞭のようにうねる。

 布が空を滑り、解体人へと伸びた──が。


 ──ズガンッ!!




 レウェイチョの眼が一瞬ぶれる。


 「伏兵……!」


思わず驚いて動揺したレウェイチョであった。

 そのレウェイチョの動揺により、空間の“歪み”が一時的に増幅する。

 その瞬間、解体人は──女を抱えたまま、点火して逃走すふ。


 「……!」


 レウェイチョが全力で跳躍する。

 空中で布を自らの下半身に巻きつけ、足で布を蹴りながら空中で突進し加速する。空に飛ぶ解体人に追いつくために。


 「まだ、間に──」


 ──ズンッ!!


 激突音。

 直線上に現れたのは、金色の半身鎧を着た無精髭の中年男であった。。


 「……やくよぉ、しつけぇな、おめぇ、オラァ正体なんて見せたくなかったん...んんだがなぁ。」


「こうなっちゃう仕方ねぇ、スウ兄弟が一人、風流男

その人、その男、タン・スウ。」



 (傭兵兄弟の……)


 「レウェイチョくん、今にそれ以上は、損だよ」


 レウェイチョが睨む。


 「僕の邪魔をしないでほしい」


  「僕ちゃんっよぉ、僕ちゅあわぁん、おいたんはね、あの女の子を捕まえて、生活に勤しむ美人さんたちを応援したいんだよね...ただ──」



 タン・スウが微かに体をずらす。

 その後ろ、影に立つ細身の男。

 双眸が細く、特殊な装置を手つけたその男──ロン・スウ。


 (やはりスウ兄弟……!)


「あんた」

 ロン・スウが口を開く

「月は人を狂わすってことを。」

手にある装置が開く、中には黒銀製の折りたたみ鏡

 ──その刹那。


 「折りたたみ鏡。女々しいなおい!」



 バチン!


 次の瞬間、彼は上空へ飛ばされる。


 それは、ノノン・カオ・マテによるもの

 月光に溶け込むような反射を纏い、影から出現したレウェイチョたちの伏兵。


 「……あんた、隠れるってならよ、もっと不意打ちしろっんだよ」


「兄弟!!おいロン!!!」


「誰だ!誰がやったんだおい!」

 タンが振り向く。


 振り向けば、そこに立っていたのは



 全身を爆発しそうなほどの筋肉と、それを分厚い脂肪で覆った粗暴な大男。


 「……なんだこの……!?なんだこれ?おめぇの伏兵かレウェイチョ」


 「へっ、誰が兵士如きなんかに伏す

かよ。」


「ノノンは僕らの友人さ」


「そんなこたぁ聞いてねぇ!」


「へへぇ!どうやらこっちの方が戦略的に上だな、おじさん」


「誰がおじさんだ!」


「おいおいおい、だからなんだよこのおっさんはおい!」


「イッケ!イケ!レウェイチョ!うぉー!やっれ!やっれ!メロオ=二世...って、ん? なんか…韻がイマイチかな..?」


 ──場所変わって遠く、解体人の方

 解体人は座り込んで、壁に凭れ掛かっていた。

 「恐ろしいな、死ぬかと思った。」

(しかし大体わかった、あの青髪のレウェイチョと言う男、暗示か何かで現実にちょっと影響できるみたいだ、月かなんかで制限がある感じだ

が)


「...勝てるぞ」


(それにもう一人のやつは、俺が思った場所にしか俺を一瞬で飛ばせる。瞬間で動く。

どうも。ほかのやつを好きに動かすとか無理みたいさな)


「ハァ...ハァ...」


(射程は杭がある俺の方が有利だ、なら待ち伏せして狙撃するしかないな)


 「うっ、それに...幻覚を見せられるような相手に近接は向かないし...うっ」


「少しこの女にきつい経験をさせてしまうが、生きるために、地の利は必要だ。」


 そう思い解体人は高台を目指して移動する。

遠方で鳴り響く轟音を背景に、ただ、ただ、高台を目指した。


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