四条は「地」から「外地」へと歩いてきて三上と会うまでに考えていたこと、を心から
解放し三上に向かって強く言葉を発した。
それはバカげたアイデアだった。正気の沙汰じゃない。精神が混沌に陥ったからこそ、
出た常軌を逸した考えだった。でも、三上から、すぐには五家一本の遺体の場所を突き止
められないと宣告されたいま、四条はもはやトコトン狂ってやろうと思っていた。正気の
人間がおかしくなれば狂人。では、狂人がおかしくなれば一周回って正気になるかしらん。
「三上さん。僕のちょっとしたうわ言に付き合ってもらっていいですか?キチガ…… 。とても正気では話せないようなことをこれから言います」
そう言って、四条はある計画を三上に打ち明けた。その計画には、第三者の協力が必要
不可欠であった。
それを聞いた三上は絶句したが、頷いてこう言った。
「もちろん、政府はそんな行動を支援できないでしょうが、私個人が責任を持って扱いま
す。御家属は公安案件ですし、さっきはちょっと大袈裟な言い方をしました。けど、実の
ところオウムに注ぐような複数の目では見ていません。事実上、私の個別案件のようなも
のなんです」
【つづく】