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『御家属(ごかぞく)』自作解説

 作家が自分の作品を解説するべきではないと、芥川だか太宰だかが言っていたように思うが、『御家属』のあらすじを解説する。


① 四条竜之助は、御家属(ごかぞく)と言う宗教コミュニティにやって来て、その宗教の現人神である同性の五家一本(ごけ・かずみち)に恋に落ちる。

 御家属では「五家一本は、死亡しても高温で燃やされると生き返る」という設定があり、二十年に一度生き返らされては子作りをさせられることによって、御家属のコミュニティは栄えている、という設定。

 小石川正義は、五家一本の後継者を探すため、御家属から死人が出ると土葬したのち、高温で遺体を燃やしてみて生き返るものがいないか探している。


② 四条竜之助は、五家一本を御家属から奪回させようと試みる。そして、四条は、自らは五家一本の子どもであるとも思い込んでいる。だから、四条は自分も死んでも燃やされれば五家一本と同様に生き返ると思い込んだ。


③ 四条竜之助は、五家一本を御家属から奪回するには、五家一本の代わりとなる現人神が必要だと考えた。そこで、一九九九年時点で、子作りをする。そして、子作りを終えて、四条竜之助は二〇一九年に生き返らせてもらえると信じて死亡する。


④ 二〇一九年になって、四条竜之助は自身と五家一本に瓜二つの四条の子どもを御家属に預け、五家一本を解放させる。


⑤ ①、②、③はすべて四条竜之助にそう思い込ませるように小石川正義と三上逸郎が仕組んだことである。だから、③の時点で、四条竜之助は死亡し生き返ることなどない。


⑥ ④は、四条竜之助が死ぬ前に夢想した妄想である。


⑦ 小石川正義と三上逸郎は、復讐のために、「四条竜之助を誰かと恋に落とさせたうえで自殺させる」という目的を持っており、これは達せられた。御家属やらなにやらは全てエキストラであった。


⑧ 四条竜之助はもともと頭がちょっとおかしいものであった。だから、小石川正義と三上逸郎は、頭のおかしい四条だけに納得のいくシナリオを考え、信じ込ませたうえで死亡させたのである。


⑨ つまり、この小説は、四条竜之助という異常者のみが納得できるように書かれており、彼以外、特に頭のマトモな人間には絶対に理解できないのである。


(解説終わり)

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