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第3話 まずは練習



「じゃあ早速キッスからいってみよーっ! まずは私達を見学しててね」


 軽いノリで始まった百合プレイの竿役。


 いや待てよ。そもそも百合の竿役って必要なんだろうか。


 百合とはレズビアン、つまり同性愛という意味で、男は必要ないはずだ。

 ただ二人には当然だが竿がない。あっても困る。


 あ、そうか。バンドという疑似マラで挿入行為をするんだよな確か。


 ないものはどっかから調達してこないといけないわけで、二人が選んだのは無機物の道具ではなく、100%有機物の俺。


 いわば疑似マラ扱いなわけだ。


 考えると少々悲しくなってくるが、可愛い幼馴染み達とスケベできるチャンスなのは間違いない。


 いやいや、そうじゃなくて。可愛い幼馴染みのために、文字通り一肌脱ぐのはお兄ちゃんとして当然の役割だ。


 仮にこんな危なっかしい提案を他の男に頼むんじゃないかと想像したら、恐ろしくて断ることなど出来はすまい。


「じゃ、じゃあ兄ちゃん、こっち来て」


「お、おう」


 見学と言っていたのに何故か手招きをする希良里きらり

 言われるがままに二人の前に躍り出ると、二人が座っていた広めのソファに座るように促される。



「それじゃあいくよー希良里きらり

「う、うん有紗ありさちゃん」


「「せーのっ♡」」


 うん? 


「「ちゅ♡」」


「ほふっ!?」



 てっきり目の前でキスするところを見て欲しいってことかと思ったら、二人は唇を寄せて俺に迫ってくる。


 まったくの予想外だったので避けること敵わず、柔らかい感触が唇にチュッと音を立てて引っ付いてきた。


「お、おうっ、どうしたんだ二人ともっ。なんで?」

「役得って言ったじゃん」

「兄ちゃん、私、ファーストキスだからねっ」


「お、おう……おう? え、二人はカップルなのにキスしてないの?」


「えっ、あ、えっと、ほら、私達は女の子同士だからノーカンッ!!」


「な、なるほど」

「男の人では兄ちゃんが初めてだから」


「そうか、嬉しいよ希良里きらり

「にーちゃん私はぁ?」

有紗ありさも嬉しいよ」


「ふへへへ。ちなみに私もファーストキスだかんね」


 マジか。ということは有紗ありさ希良里きらりも処女確定か。


 いや、まだ分からないぞ。身体は許してもキスは許さないって女性は多いと聞く。


 エロ小説の知識だからどこまで信憑性があるか分からないけど、ともかく二人に男の手垢が付いていない可能性が高いと分かって嬉しくなった。


 俺って処女厨だったのかな……。


 いやいや、身近な幼馴染みが知らない間に経験済みなのは誰だって寂しいものだ。


「兄ちゃんって処女厨?」

「んがっ!? な、なにをバカなッ」


 まるで見透かしたように俺の心を読む有紗ありさに戦慄を覚えるが、慌てて否定しておく。


「それじゃぁ、本番だね兄ちゃん。も、もっかいチューしよ♡ こんどは一人ずつ」


「お、おう……んぐっ」


 言うが早いか希良里きらりが覆い被さるように抱きついて再びキスをする。


 今度はさっきのような優しいキスではなく、深く、濃厚でエロス度の高い大人のヤツだ。


「うわっほう……希良里きらりせっきょくてきぃ♡」


 緩急を付ける希良里きらりの唇が開かれ、ねっとりと濃厚な味と共に舌を差し入れてくる。


 有紗ありさのヤツといつもこんなにエグいキスをしているかと思うと、異様な興奮に包まれた。


「ちょ、ちょちょっ、希良里きらりストップストップッ」


 有紗ありさがストップをかけたので夢中で唇を貪る希良里きらりの背中をポムポム叩いて落ち着かせる。


 むしろ俺の方が頭クラクラしすぎて参りそうだ。


 ファーストキスがまさかの二人同時で、セカンドキスが濃厚ディープとか、明日罰が当たって死んでもおかしくないくらいには予想外だ。


 希良里きらりは夢中で唇を押し付け、舌を差し込んでねぶりまわしながら興奮のせいか跨がった膝に股間を押し付けてくる。


 あまりにもドエロい濃厚キスで勃起しないようにするのが精一杯だ。


 限界ギリギリの理性を総動員してアイツを鎮める。


 希良里きらりの瞳は色っぽく潤み、大きなお尻をフリフリと振ってみせる。


 興奮のせいか、それとも俺へのサービスと称する演出か。


 ともかく初手からフルブーストを掛けられて俺はタジタジだった。


「はぁ、……兄ちゃんのキス、美味しいよぉ♡」


「はいストップだよ希良里きらりッ。今度は私の番だから」


「ふわぁい……」


 トロンとした瞳を向けた希良里きらりを引き剥がし、今度は反対側の膝に有紗ありさが跨がって顔を寄せてくる。


「そんじゃあ、私もセカンドキスぅ……するよ……」


「お、おう……」


「……」


「どうした?」


 なぜだか恥ずかしそうに躊躇している有紗ありさ。疑問符を投げかけると慌ててかぶりを振る。


「え、っと、じゃあいくねっ! んんぅ~、ちゅ」


 激しくうねるような希良里きらりに対して、有紗ありさはゆっくり撫でるように覆い被さってくる。


 緩急を付けたテクニカルなキスは、希良里きらりの情熱的な動きとは裏腹に優しさと激しさが内側に凝縮されている。


「…おいひい♡」


 希良里きらりがロケットスタートなら、有紗ありさはギアチェンジで徐々にスピード限界を上げて行くタイプらしい。


 そういえば一緒に遊んでいるカーレースゲームでも快活な性格の割に慎重な勝負をすることが多いのが有紗ありさだったな。


 反対に希良里きらりは初手爆速のフルトップギアで突っ込むっていう、中々に破天荒なプレイをするタイプだった。


 そんな二人の見た目と正反対の性格がキスにも反映されているのがちょっと面白いと思ってしまう。


「ふへぇ、これヤバいねぇ、ねえ兄ちゃん、こーふんした?」


「しない理由が、ない……」


「へっへっへぇ。もしかして、勃起した」


 した。希良里きらりで我慢の限界ギリギリだった理性が有紗ありさによって股間に血液を集めて膨張させてしまう。


 二人分も我慢するなんて不可能だった。


「はぁ、はぁ、いきなり濃厚だな二人とも」


「感じちゃった?」


「これで何も感じなかったらホモ確定されかねんからな。ここは素直に興奮しすぎて理性が吹き飛びそうだと白状する。お前ら思春期男子の性欲ナメすぎだろ」


「じゃあ今度は直接はやめとこっか」


有紗ありさちゃん」


「そんじゃあにーちゃんは百合カップルのイチャイチャをしっかり見学しておいてもらおっかな♡」


「お、おう……っ!」


「兄ちゃん、興奮して目が血走ってる」

「これはやり甲斐があるねぇ」


 幼馴染みの美少女二人とあり得ないエッチプレイができると思うと興奮が収まらない。


 立ち上がると理性が吹っ飛びそうなので、必死になって座ったまま拳を握った。


 バレないようにさり気なく前屈みになり、ソファから降りて二人の前に座る。


「視線がエッチだぁ」


「そりゃエッチなことしようとしてるしな……」


 既に十分過ぎるほどエッチでたまりません。


「突き刺さるような、ねっとり絡みつくような視線だよぉ……有紗ありさちゃん」


「はいはい。そんじゃあ兄ちゃんに私達のキッスみてもらおっか」


「うん」


 二人は俺の目の前でチュパ♡と唇を合わせて唾液音を鳴らす。



 ふと思ったが、なんだか二人ともキスがぎこちない。

 濃厚ではあるし、もの凄くエッチなのだが、二人の表情というか仕草というか。


 ともかく空気感が、互いを探り合っているような感じがするのだ。


 まるで、かのように。


 いや、まあ俺という異分子の前でカップル同士の営みを見せているのだから、自ら望んだこととは言え緊張しているのだろう。


 ぎこちなくなるのも無理はないというものだ。


 もしかしたら百合行為も慣れていないのかと一瞬思ったが、二人がすぐに興が乗ったように激しく濃厚なディープキスを始めた。


 見ているこっちが嫉妬してしまいそうだ。


「お、お前らいつもこんな濃厚キスをしているのか?」


「へっへっへぇ、童貞のにーちゃんには刺激が強すぎるかなぁ?」


「ぬぐぐっ。しかし否定できぬっ。これは、尊い……」


「にーちゃん、見ちゃだめェ♡」


 そげんこと言われましてもっ!!


「…いかん、これは凄すぎる」


「ふふふ、みて希良里きらりぃ、にーちゃん苦しそう、んぅ、ぁ、希良里きらり、ちょっと、止まってよぉ」


 有紗ありさが俺に話を振ろうとするも、希良里きらりはこちらに視線を向けたまま有紗ありさの愛撫をし続ける。


 まるで見ろ、と言わんばかりに艶かしい動きをしながら服を徐々にたくし上げようとしていた。


「はいっ、もうストップ希良里きらり、はぁ、はぁ……まったくぅ。スイッチ入るとすぐ暴走するんだからこの子は」


「はう……ごめん有紗ありさちゃん……」


「順番にね。最後まで行っちゃったらにーちゃんずっとほったらかしになっちゃう」


「うん……」


 濃厚ディープキスは一度中断らしい。

 盛り上がってきたところだったのに残念だ。


「どうだったにーちゃん」

「興奮、してくれた?」


「まことに素晴らしい……素晴らしい……んだけど」


「理性が限界?」


「あ、ああ……」


 にやぁ♪と悪戯っ子のような顔で笑う有紗ありさに嫌な予感がする。


 だがそれは杞憂であったことがすぐに希良里きらりから知らされた。


「兄ちゃん、おっぱい、触ってみる?」



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