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第5話 乙女達の誓い



 日曜日にデートの約束をこぎ着けた有紗ありさ希良里きらり


 悪態を突きながらも自分達のワガママを全部叶えてくれる優しい順平を玄関で見送っていた。


「じゃあ今日は帰るから。ちゃんと早く寝ろよ。有紗ありさは泊まっていくんだな」

「うん。にーちゃんも泊まってけばいいのに」


「恋人の時間を邪魔するほど野暮じゃねぇよ」


「紳士だねぇ~」


「兄ちゃん、日曜日楽しみにしてるね♡」


「ああ。デートコースは考えておく。じゃあお休み」


「「お休みなさーい♡」」


 靴を履いて立ち上がり、玄関を開ける順平に手を振る二人。

 そんな二人に苦笑を浮かべながらも、優しい眼差しを送ってくれる順平に頬を赤らめる。


「あ、そーだにーちゃん」

「どうした有紗ありさ


「さっきの写真。オカズにしてシコっていいからね♡ 消化不良でしょ?」


「んがっ!? 余計なお世話だっ! ちゃんと寝ろよっ!」


 ケラケラと笑ってからかう有紗ありさに悪態を突きながら順平は帰っていった。


 ガチャン……


 玄関の扉が閉まり、外門の扉がキィと音を立てて閉まったのを聞いた二人は破顔する。


「やったーっ! うまくいったね希良里きらりッ」

「うん。良かったぁ、受け入れてくれて」


 昔なじみの順平に自分達のお願いを聞いてもらえたことに安堵し、二人は喜びあった。


「ねえ有紗ありさちゃん」

「うん、希良里きらり


 熱の籠もった二人の視線同士が絡み合う。

 やがて真っ直ぐに引き寄せあい、その唇は優しく重なった。


「ふぁ……有紗ありさちゃん」


「ふへへ……希良里きらりの唇ってこんな感触だったんだ。柔らかくてマシュマロみたい」

有紗ありさちゃんだって。フワフワしててエッチに濡れてるよ」


「でも……」


「うん、でも……」


「「にーちゃんと一緒の方が気持ち良い」」


 二人はこの瞬間、


「えへへ。やっぱり一緒だったね」

「うん♪ ねえ希良里きらり

「うん」



「ベッド、行こうか」

「うん♡」


 手を繋ぎ合った二人はそのまま寝室へと移動し、全ての衣服を脱ぎ払う。


 その場に順平がいたら間違いなく理性を保つことは不可能であろう二柱の女神が艶めかしく抱き締め合う。


有紗ありさちゃん…凄い。お風呂入ったのに兄ちゃんの残り香がする。スンスン」


「にぃーちゃんにあんな濃厚なチューチューしちゃって。嫉妬しちゃうんだからぁ」


「ごめん。でも…ダメなの…。兄ちゃんの唇にキスできると思ったら。頭のなか真っ白になっちゃったんだもん…」


「感想は?」


「最高だった」


「分かるぅ。 ねえ、いっぱいキスの練習しよ。にーちゃんにいっぱい気持ち良くなってもらえるように」


「うん。ファーストキスもセカンドキスも、ディープキスも終わったから」


「だね。にーちゃんのためにいっぱいキスの練習」


 本能的に唇のキスだけは避けるようになっていた二人。


 そのタガは外れた今夜、有紗ありさ希良里きらりも求め合った。


「私…、凄くエッチなキスしてる……女の子同士なのにっ…ドキドキときめいちゃってる」


「だってぇ…大好き同士なんだもん。気持ち良いに決まってるよ」


 うっとりとした二人の瞳は潤み、自然と滴が零れていく。


 念願叶った有紗ありさ希良里きらりは、これまでの蓄積した思いを互いに確かめ合い、ぶつけ合った。


「兄ちゃんに触ってもらって、気持ち良くなってたんだ」

「にぃーちゃんの手、大きくてゴツゴツしてて、たくましかったんだもん。あの感触だけで、もう下着が……」


「私も……私もそれだった。あんなの反則だよぉ。今までで一番気持ち良かったぁ……だけど、私だって有紗ありさちゃんのこと気持ち良くしてあげたいもん。兄ちゃんの手には敵わないけど」


「ねえ、しよ。もう我慢できないよぉ」


「うん 私も我慢できない」


 再び正面に向かい合った二人は唇を重ねる。


「ああ、でもぉ、のファーストキスも、にーちゃんにとっておけば良かったかもぉ」


「それは相談して決めたじゃない。兄ちゃんに気持ち良く愛撫してもらうために開発しておくって」


「そーだけどぉ。にーちゃんに開発してもらえば良かったって、思っちゃってぇ」


「今更遅いよぉ。私の下のファーストキス、有紗ありさちゃんが奪ったくせに」


「それはゴメンって謝ったじゃん、ダメだよ、処女膜は傷つけないでぇ」


「分かってるから心配しないで。ここは、兄ちゃんので、破ってもらうんだから」


希良里きらりの、やっぱりツルツルだね。お毛毛なくって、赤ちゃんみたい」


有紗ありさちゃんだってぇ。ツルツルのクセに」


「私はモデル始めた時に脱毛サロン通ったんだもん。天然じゃないもん。でも、にーちゃん絶対ツルツル好きだよ。エッチな動画そーゆーの沢山あったから」


「それで脱毛しようって言ってきたんだ。産毛まで全部無くしちゃって、お金掛かって大変だったんだから」


「お金なんてまた稼げばいいじゃん。にーちゃんに喜んでもらえるなら」


「そうだけどぉ……」


 互いにと誓い、愛し合う時も決して傷つけないと約束した二人の辿り着いた答えが口による愛し合いだった。


 互いに別のファーストキスも順平にとっておきたかったと気が付いたのは、情熱の果てに二人が愛を確かめ合った後の話であったので仕方ないともいえる。


 抱き締め合った身体全体がグンと熱くなり、噴き出してきた汗の酸っぱさすらも快感を加速させる。


希良里きらりぃ」

有紗ありさちゃん」


「日曜日、楽しみだね♡」

「うん♡ 久しぶりににーちゃんとデート。何着て行こっか」


「この間の撮影でもらった可愛いヤツはどう?」


「あ、いいね、ああいうのにーちゃん絶対好きだよ」

「それもエッチな動画情報?」


「ううん。にーちゃんの部屋にあった私達の雑誌」

「あ、兄ちゃん見てくれてたんだ」


「絶対言わないけど全部買ってくれてるみたい。きっと私達で密かにオナニーしたんだよ♡ 切り抜き作ってたもん」


「そうだったら嬉しいなぁ、兄ちゃんからのエッチな視線は、ぜんぜん嫌じゃないもん」


「さっきの写真。にーちゃんシコってくれるかな?」

「とびっきりエッチな写真考えたもんね。ムラムラしてくれたらいいなぁ。もっとプロポーションよくしなきゃ」


「そうだね。そのためにモデルになったんだもんね」

「そうだね。もっと頑張ろうね」

「うん。頑張ろっ☆」


「「にーちゃんが私達に夢中になれるように。もっともっと綺麗になろう♡♡」」


 それは互いに出し合った誓いの言葉。

 二人がレズビアンになったきっかけでもあったのだった。


 それはまた、いずれ語られる事となるだろう。


 二人はお互いの愛の気持ちを確かめ合いながら、次の日曜日への思いを馳せて眠りについた。



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