母から放たれたまさかの一言。
『あんた今日から
「なったからって、なんで俺に一言も相談なしに決まってるんだっ!?」
「
「まあ、それは確かに……」
実際顔出しでインターネットでタレントみたいなことをやっている訳だから、非公式ながらもファンクラブまである
それこそ俺がボディガードを勤めてきたわけだが、それもいつでもどこでもって訳にはいかないのが現実だ。
「あの広くて目立つ家にあんな可愛い女の子が一人暮らしをしてるなんて危ない以外の何者でもないでしょ。だからボディガードが直接住めばいいんじゃない」
「イヤイヤイヤイヤお母様ッ、年頃の娘と思春期の男子が一緒に暮らした方が身近に危険度が高いでしょうがっ」
「大丈夫よ。
「あんまり変わんないってそれ」
「あんたバカねぇ」
「あんた童貞ねぇ」
「姉ちゃん黙っててッ、っていうかそうじゃん。一緒に暮らすならそこのチビゴリラの方が適性高いじゃんかっ」
「おいこら誰がチビゴリラだッ」
逆らうの怖かったけどここまで来たら勢いだ。
この母の理不尽に屈するわけにはいかん。
あの二人と三人一緒に暮らすとか俺の理性ぜったい持たない。
竿役とか以前に強姦魔になったらどうするんだ。
だが二人の女性陣はまくし立てるように言う。
「だからあんたはバカなのよー」
「だからあんたは童貞なのよー」
「うるせえよっ! 息ピッタリだなあんたらっ!」
「あんたみたいにゴツくてデカいリアルゴリラが居た方が変な考え起こすヤツが減るでしょ」
「その前に変な噂が立つだろ。半ばアイドルみたいなもんなんだからあいつらは」
「だからあんたはバカキングなのよー」
「だからあんたは童貞キングなのよー」
「それはもういいよっ、っていうか悪口パワーアップさせんじゃねぇっ」
言い争いは学校出発ギリギリまで続き、結局女性陣の意見ゴリ押しに勝てる筈もなく、俺は幼馴染み二人との共同生活に同意せざるを得なかった。
◇◇◇
「やれやれ……。あの母娘はまったくもう……」
人のことからかわないと生きていけないのだろう。
朝からドッと疲れた……。
――ピロン♪
「お?」
メール音が鳴り、スマホを開くと
一言だけ【おはよう兄ちゃん♡】の文字が表示されている。
「ぶほっ!?」
なんだろうと開いてみると、目に入ったのはあられもない姿の美少女。
――『昨日のお礼だよ♡』
いわく、これも竿役の特典らしい。
両手で制服のスカートをたくし上げているところを見ると、撮影者は
ノーブラに加えて朝から
「なんという目の保養だ。しかし朝からムラムラしてしまうわけにもいかん」
その後、しっかりとエロ写メを保存フォルダに移し、厳重にパスワードを掛けて制服に着替えることにした。
…………
………
……
「にーちゃんおはよう!」
「おはよう…」
「お、おう……おはよう」
玄関を出ると二人が丁度のタイミングで門から出てくるところだった。
俺達はだいたい一緒に登校することが多い。
二人は非常に可愛いし有名人なので声を掛けられることも多く、電車で痴漢に遭うこともしばしばあった。
なので高校に入ってからは同じ時間に登校するのだが、俺が無駄にデカいので非常に目立ってしまうというデメリットもある。
考えてみれば二人が痴漢に遭わなくなったのも俺がいたからという理由であると思われ、母の理論が一定数正しい事が証明できてしまった。
つい先ほどのエッチな
「あ~、にーちゃんエッチなこと考えてる~。さては昨日の私たちを思い出したんだね」
「な、なんの事かな?」
ニマニマとイヤらしい笑みを浮かべる
俺の心情はバレバレであった。
「おっはようー、二人ともッ!」
「おはよー
「
「おはよーっ。今日もおっぱいデッカいねぇ二人とも」
「やーんっ、
「良いではないか良いではないかぁ~、うりうりぃ」
仲睦まじく挨拶をしながら幼馴染みの胸をモミモミする我が姉。
ん?
名前負けも良いところだ。
花も恋もこの人の人生にかすりもしてないからな。
「せいっ!!」
「はぐおっ!?」
なんてことを考えていたらまた
完全不意打ちの右スマッシュでうずくまってしまった。
「なに、しやが、る……」
「なんとなく失礼なこと考えてる気がした」
「濡れ衣だぁ……」
事実だろうが。
「あはは、二人とも相変わらず仲いいね♪」
「これを見てどこが仲良く見えるんだ。変なフィルター掛かってんじゃないか……」
現在19歳で女子大生をしている姉ちゃんは小さい頃の俺達の面倒を見てくれた人でもある。
「そうそう。二人と一緒に暮らすって話。あれ今日からOKだから」
「「ホントにッ♡ やったー♪」」
「そりゃー大好きな幼馴染みと一緒に暮らせるんだから大喜びだったよぉ」
シンクロした喜びの声を上げる二人。
俺は一言も大喜びとは言っていないぞ。
いや、嬉しくないわけではないが、心配の方が大きいだけで。
「おい姉ちゃん嘘ばっかり言うんじゃ」
「にーちゃん、嫌だった?」
「ごめん、ワガママだったよね」
「い、いや、別に嫌な訳ではないぞ。
ちなみにいっその事姉ちゃんも一緒に暮らしてはどうかと提案したが速攻で却下された。
「野暮なこと言うんじゃないよ青少年。そろそろ諦めて受け入れたら?」
「わーったよ。とりあえず今日学校終わったら着替えとか運び込むようにするから」
「「わーいっ」」
可愛い幼馴染みによる満面の笑顔の魅力に逆らえるわけもなく、俺は二人との同居に正式なOKを出すのだった。
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