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第10話 大きい兄ちゃんのデカい兄ちゃん(意味深)


 水着のパラダイス。まさにそんな言葉がぴったりの光景である。


 夕べ直接見たばかりだが、薄い布地に包まれた状態で見るとまた違った味わいがあるというものだ。


「お、おおおぉ……」


「にーちゃんおっぱい見過ぎぃ~♡」

「えへへ……すっごい見られてる♡ 兄ちゃんもっと見て♡」


 たわわな果実がビキニ水着の向こう側に隠れている。


 二人は髪をポニーテールに縛って布面積の非常に少ない水着を着用して風呂に入ってきた。


「今日はね、兄ちゃんが私達のワガママ叶えてくれたお礼したいなって」


「い、いやいや、俺はもう十分もらってるって……」


 思わずガン見してしまったがこれはマズい。


 俺は素っ裸なわけで、勃起したら確実に二人に見られてしまう。


 竿役をするならいずれ見られるだろうけど、今じゃない気がするんだよね。


「ねーねーにーちゃん」

「な、なんだ有紗ありさ


「あ・そ・こ……見せて♡」


「い、いやいやそれは」


「だってぇ、にーちゃん私達のおっぱい見たじゃん。自分だけ見せないなんて不公平だよぉ」


「ぬぐっ、一理ある……あるのか?」

「大丈夫だよー。にーちゃんの裸なら一緒にお風呂入ったとき見てるじゃん」


「ガキん頃の話じゃねぇか」


「大丈夫大丈夫。にーちゃんがどんだけミニサイズでも笑ったりしないからぁ」


「余計なお世話だ。そんな小さくないわっ!」


 他人と比べたことなどないが、エロ動画などで見る限りではそこまで小さい方ではないはず。


 女の子の前に晒したことなど当然ないため、堂々と見せるには憚られる。


 しかし、有紗ありさの言うとおり昨日の二人は、恥じらいながらもおっぱいを見せてくれた。


「兄ちゃん、嫌だったら無理にとは言わないから、お背中流させてもらえないかなぁ? タオル巻けば見えないよ」


 そんなウルウルした目で言われたら断れないぞ希良里きらりよっ。


 兄ちゃんその目には弱いんだから。


 バスタオルを差し出す希良里きらりの手を取って素直に謝った。


「えっとな、嫌な訳じゃないよ。単に恥ずかしかっただけでさ。でも確かに、二人ともおっぱい見せてくれたわけだし、俺だけ見せないのはズルいよな」


 おっぱいとは対等なのかとか野暮なことを言うのはよそう。


「竿役な訳だし、いずれ見せるもんな。笑わないでくれよ」


「うん……」


 俺は二人に説得されて立ち上がる。


 幸い会話をしながら意識を逸らしたので勃起はしていない。


 ザザァッと湯船に浸かっていた状態から立ち上がり、二人の前で生まれたままの姿を曝け出した。


「「♡」」


 二人の顔付きが変わったような気がする。

 今の俺はそれを気にする余裕はなかったので、素早く上がってバスチェアに腰掛ける。やはり恥ずかしかったのでサッとタオルで隠す。


「ほら、背中流してくれるんだろ? 頼むよ」


「「はーい♡」」


 二人の息ピッタリのシンクロした返事に癒されつつ、俺はゴシゴシと石けんを泡立てる音に耳を傾ける。


「いくよー、せーのっ、ごっしごーし♪」

「ゴシゴシっ……んしょ……兄ちゃんの背中、大っきいね♡」


「子どもの頃とは大違いだねぇ」


「そりゃあな。身体デカくなったし」


「本当にここまで大きくなるのは予想外だよぉ」

「俺もだ。昔は二人とそんなに変わらなかったからなぁ」


「そうだね。でも私、大っきい兄ちゃん好きだよ♡」


「そっか、そりゃあ嬉しいねぇ」


 普通に会話している風を装っているが、「好き」という単語にドキドキが強くなる。


 希良里きらりの言っている好きは状態に対する好きであり、俺を異性としての意識しての好きではないのだ。


 勘違いするな樋口順平。痛々しいムーブは避けねば。


「はい、終わったよぉ」


「おう、アリガトな」

「じゃー次は前ね」


「い、いや、前は自分で……」


「ダメ……?」


「わ、分かったよ」


 兄ちゃん希良里きらりのおねだりには弱いんだ。

 女の子の前で裸体を晒すというのは思った以上に恥ずかしい。


 しかし彼女達も恥じらいを越えて同じことをしてくれたわけで、俺が日和ってしまうわけにはいかん。


 俺はできるだけ堂々と背筋を伸ばしてバスチェアにドッカリと座り直す。


 水着姿の幼馴染み達が恐る恐るといった感じで前に回り込んで膝を付いた。


「ふわぁ、にーちゃん筋肉すげー。腹筋バキバキだね♪」


「さ、触ってみて良いかな」


「いいぞ」


 二人の細い指がそっと俺の胸板や腹筋に触れる。

 しっとりとした指先が肌に触れてゾクゾクしてしまいそうなるのをなんとか堪える。


 なんかこう、あれだ。風俗でサービスしてもらってみたいだ。行ったことないけど。


「じゃあ洗うねぇ」

「んっしょ……痛かったら言ってね」


「ああ、大丈夫だ」


 スポンジをゴシゴシ動かすたびに、二人の巨大マシュマロがぷるんぷるんと揺れ動く。


 マシュマロよりも巨大スライムと言った方が良いかもしれん。


【ポヨポヨ】というより【たぷんたぷん】のほうがしっくり来る巨大スライム。

 あまりにも魅惑的な光景に、その水着の向こう側にある光景を夢想してしまう。


 まるで透視能力でも手に入れたかのように、桜色の乳首が透けてみるようだ……。


 そういえば以前に二人が動画の企画でミニバケツプリンを作っていたが、二人のおっぱいが丁度そんな感じにデカい。


「ひっひっひぃ~。にーちゃんおっぱいガン見してるぅ」


「い、いやぁ、それはすまん」


「いいよぉ♡ にーちゃんは特別だからね♡」

「役得だから♡ 好きな時に触っていいからね。私は有紗ありさちゃんみたいに駆け引きしないから」


「ちょ、駆け引きってなによぉ」


 前も思ったけど触ったり触られたりで二人の間に嫉妬とかはないのだろうか?


 俺だったら仮に二人のどちらかが恋人だったりして、他の男に触られるなんて絶対に嫌だ。


 いや、現時点でも俺はこの二人に一生恋人なんかできて欲しくないとすら思ってしまっている。


 ずっと俺だけの可愛い妹達で居て欲しいと思っているのだ。


 現実的にそんなことは不可能なのは承知しているが、やはり夢を見たいお年頃なのである。


「それじゃあこっちもゴシゴシしよっか♡」

「うん。私も見たい」


「お、おう。笑わないでくれよ……」

「心配しないでいいよぉ」


 二人の笑顔に安心感を得た俺は、まだ非常に恥ずかしかったが覚悟を決める。


 意を決してタオルを取り払い、軽く股を開いて背筋を伸ばす。


「「……」」


 沈黙……。


 二人は押し黙ってしまった。

 いや、押し黙るというより絶句しているとでも表現すべきか?


 目が見開かれ、口はだらしなくぽっかりと半開きになっている。



「ど、どうした?」


「「ふえっ!?」」


「な、なんかマズかったか?」


「え、えーと。ま、まあまあかな。私の知ってる中じゃ結構上の方だから誇っていいかも」

「⁉」


 やはり有紗ありさは既にセックスは経験済みなのか。

 思ったよりショックがデカいな。

 処女厨のつもりはなかったが、恋人でもない幼馴染みが非処女だったことに落ち込むなんて……。


 これだから童貞と言われても仕方ないのかもしれん。



「ゴクッ……(こ、これが。なにこれエグすぎ。動画で見るより迫力がダンチ)……」


 有紗ありさは何かをブツブツと呟いているが、音が反響して良く聞き取れない。


 対して希良里きらりは何やら興奮した様子でじっくりと眺めていた。


「き、希良里きらりさん。あんまりじっくり見られると恥ずかしいんですけど」


「ご、ごめん兄ちゃん。じゃ、じゃあキレイキレイするね」


「おう、た、頼む」


 先に行動を開始したのは希良里きらりだった。


 恥じらいはあるものの、それはやはり経験に裏付けされたもののように感じる。


 ただ体を洗ってもらっているだけなのに。その手つきからは迷いというものが感じられない。男の体に触るのなんて慣れているのか?


 邪推かもしれないが、やっぱり希良里きらりも既に男性経験はあるのだろう。


 男の裸に対して忌避感を感じていなさそうに見えるのがその証拠なのかもしれない。


 だが俺は童貞なのでそれを判断する材料を持ち合わせていないのだ。


 考えてはいけないと分かっているが、やっぱり年下の幼馴染みが俺の知らないところで男に抱かれているという事実はショックがデカかった。


 加えて二人はレズビアンとして多くのセックスを二人で経験してきたに違いない。


 だがそんな嫉妬を表に出すのはみっともないどころの話じゃないからな。


 俺は素直に二人からもたらされる快感を享受して竿役に徹するとしよう。


 と、この時の俺は考えていた。


 二人の心中が、俺の考えている事とは全く逆のことを感じているなどつゆほども気が付かずに……。



 そしてある意味で俺の妄想通り、希良里きらりの瞳にはハートマークが浮かぶほどの愛欲的な興奮で満たされているのである。



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