「にーちゃん♡」
「兄ちゃん♡」
二人の女の子が、目の前にいた。しかもウットリと頬を染めた色っぽい表情で。
俺は二人の恋人になった。正確には"竿役兼彼氏"という役どころ。
そして彼氏役、ではなく本物の彼氏になって欲しい。
そのように告白された。
◇◇◇◇◇
――二時間ほど前。
「え……恋人……それに私、達って……」
「そうだよ。私達、にーちゃんの彼女になりたい」
「私も一緒に。私と、
「そ、それは……」
「えっ、に、にーちゃんっ!?」
「どうしたの兄ちゃんっ」
二人が驚きの声を上げるが、俺はそれに応えている余裕はなかった。
安心と驚きで全身の力が抜けてへたり込んでしまう。
「に、にーちゃん、大丈夫? そんなに嫌だったっ!?」
「兄ちゃん……」
「違うよ……嬉しいんだ……二人とも、大好きだったから……。ずっと昔から、小さい頃からずっとそうだったから、不誠実だって、思ってた」
嬉しくて、戸惑いと混乱で身体の力が抜けてしまう。
「にーちゃん」
「兄ちゃん……」
その場に座り込んでしまった俺の両側をフワリと柔らかいものが覆う。
「そっか、そうだったんだ……。にーちゃん私達のこと大好きなんだぁ♡」
「うん」
「兄ちゃん……嬉しい。私も夢だったんだよ♡」
「え?」
「にーちゃんと、
「だから私達、恋人になっておいたんだよ。兄ちゃんが私達のこと受け入れてくれるように」
「そうか、そうだったのか……。良かったぁ……。そうかぁ、なんだぁ……。もっと早く気が付けば良かったなぁ」
他の男に二人の処女を持って行かれる事もなかったのに……。
そんなバカみたいな考えが浮かんで言葉を飲み込む。
こんな時まで処女性にこだわるなんてバカみたいな話だ。
嬉しいはずなのに下衆なことを考えてしまう自分が恨めしかった。
「ありがとう、ありがとうな二人とも、最高のご褒美だよ」
「なに言ってるのにーちゃん」
「え?」
「そうだよ兄ちゃん。私達のご褒美はまだ終わってないよっ」
二人は俺の手を引っ張って歩き始める。
「「本当のご褒美はここからだよ♡」」
「早く帰ろっ♡」
俺は二人に引っ張られて帰宅の途についた。
◇◇◇◇◇
そして現在。
家に帰り、それぞれ別でシャワーを浴びて1日の汗を流し、俺は二人の寝室にお呼ばれすることになった。
「お……? おおおおおおおっ!?」
「にーちゃん♡」
「兄ちゃん♡」
「ふ、二人とも、その格好は……」
「にゃーん♡ にーちゃん♡ 猫耳メイドの
「猫耳メイドの
「「ご主人様にご奉仕するにゃん♡ 可愛がってにゃん♡」」
白とピンクを基調としたフリル付きのワンピースを着用し、腰前にはエプロン。頭には猫耳のカチューシャ。ヘッドドレスまで着けている。
開口一番性癖ぶっ込み詰め詰めセットに絶句するしかなかった。
興奮よりも驚きの方が先に来てしまい咄嗟に反応できない。
「あれ? もしかしてこういうの好きじゃない?」
「兄ちゃん猫耳もメイドも好きでしょ?」
「え、あ、ああ、うん。そりゃ好きだけど……。なんていうか、非常に嬉しいんだけど戸惑いの方が先に来ちゃってるというか……その」
童貞には刺激が強すぎますっ!!
よく見るとメイド服の隙間からチラチラ見えるとてもエッチな下着が存在を主張している。
目の前に張り出される二対の巨峰がバインと前に出て揺れており、乳首の部分がかろうじて布で隠れている状態である。
「あ♡ でもほら♡」
「あは♡ 身体はすごく正直だね♡」
「正直、夢なんじゃないかって思ってる」
二人の言うとおり、俺の身体は二人の扇情的な姿にこれでもかと興奮をしている。
自己主張するパワフルな血流が海綿体を押し広げてはち切れそうだ。
「夢じゃないよにーちゃん。にーちゃんにはこれから竿役として頑張ってもらわないといけないんだから」
「お、おう」
そこは変わってないのか……。
「そうだよー♡ 兄ちゃんは恋人であり、私達百合カップルの竿役なんだから♡」
「よ、よし……とは言っても、すまん。知っての通り俺は童貞だ。やり方なんて全く分からないから……」
そんなこと呟いた瞬間、二人に目の輝きが宿った気がした。
「にーちゃん、良いもの見せてあげようか」
「良いもの?」
「そう。にーちゃんにとって、多分凄く嬉しいものだよ♡」
ジャラリ……
「そ、それは……」
皮で出来た輪っか。
それは首輪だった。SMプレイとかによく使うヤツだ、知らんけど……。
猫用らしく後から大きめの鈴を取り付けるタイプだな。
「じゃーん♡ ペットの首輪だよ♡ 私達、気ままな猫だから♡」
「兄ちゃんに、飼って欲しいなぁってね♡」
股間がズクズクと痛むのが分かる。情報が渋滞していたのが決壊して一気にクリアとなる。
「ね、付けてにーちゃん♡」
「私達を、兄ちゃんのペットにしてぇ♡」
なんちゅうことを要望してくるんだこの美少女達はっ。
自分自身でも知らなかった性癖の扉を掘削機で大穴開けて開発してきやがるぜ。
「望みとあらば……」
俺は二人から首輪を受け取り、留め具を外して首に取り付ける。
締め付けを緩くしてベルトの穴に通し、可愛い可愛い幼馴染み百合ペットのできあがりだった。
「「にゃーん♡
シンクロする媚声によって、俺の理性は崩壊寸前だった。
だがそこで終わらない。
「兄ちゃん、はいこれ」
「こ、これは……」
取り出したのは銀色に鈍く光る何かの道具。
鳥のくちばしのように尖った先端が二つに割れている。
それは、クスコと呼ばれる医療器具の一種だった。
「兄ちゃん、これで見て。私達のな・か・み♡」
「え、そ、それは……」
二人が言わんとしていることに、胸の中にヒリヒリとした興奮が拡がって行く。
童貞には刺激の強すぎる、凄まじい体験が始まろうとしている。
◇◇◇
まるで穢れなきヴァージンのように、まったくくすみ一つ存在しない、足跡一つない白銀の雪原のような肌色を、二人は惜しげもなく見せてくれた。
【兄ちゃんにとって、1番嬉しい物が見えちゃうよ♡】
なんて言葉を言われたが、その言葉の真意を、俺は直接視覚で知ることになったのである。
「二人とも、処女だったのか……」
「えへへ♡ どう? 安心した? 今までごめんね、ミスリードしてきちゃった」
そう、穢れなきヴァージンのように、ではなく、2人とも本当にヴァージンだった。
それを、視覚的に、直接……。うっ、いかん。興奮しすぎて理性が飛びそうだ。
「本当は隠すつもりはなかったんだけどねぇ。にーちゃんがあんまり切なそうな顔するから、ついからかっちゃった♡」
「そう、だったのか」
「ごめんね。怒った?」
「いや、安心して力が抜けた。なんか自分が情けなくて……」
「本当はね、分かってたんだ。にーちゃんが疑心暗鬼になってるの」
「サプライズしてあげたいって思って。でもその間、凄く辛かったよね……ごめんね、私達、兄ちゃん以外の男の人なんて、1回も触ったことないからね」
「私も。にーちゃんしか、おっぱい触るの許してないから。男の人で好きなのは、後にも先にもにーちゃん一人だけ♡ 他の男なんて興味もったことすらないから」
「は、ははは。そうか。二人とも、そこまで俺のことを……なさけねぇなぁ。もっと早く気持ちに気が付けば良かったよ」
「私達、近くにいすぎたんだよ。それに兄ちゃんはずっと私達を守ってくれてたから」
「うん。だからにーちゃんの将来は、私達二人で支えようって決めたんだから」
二人の決意の高さに驚きを隠せない。
「インフルエンサーになったのだって、その方が兄ちゃんに相応しい女になれるって思ったから」
「一緒に歩いても恥ずかしくないくらい。私達が立派になるほど、兄ちゃんにも箔が付くから」
「俺はそんな大層な男じゃ」
「「そんなことない!!」」
「え?」
「にーちゃんは私達をずっと守ってくれた。これからだって、守ってくれる」
「そ、それはもちろん」
「だから、私達は兄ちゃんのものになるって決めたの。二人で兄ちゃんの女になるって決めたの」
「レズになったのだってにーちゃんがきっかけだったんだよ」
「さっきも言ってたな。それってどういう」
「だって、私達がお互いを好き好き同士なら、万が一にーちゃんがどっちかしか選んでくれなくても寂しい思いしなくてすむでしょ」
「単純なハーレムより、百合カップルに挟まれた方が、優しい兄ちゃんは受け入れてくれるって思ったから。私達のワガママを、いつもみたいに聞いてくれるって」
「なるほど、だから竿役、か。納得したよ」
二人が込めてきた熱い想いに胸打たれ、俺はエロいことをしている最中だと言うことも忘れて感動に打ち震えていた。
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