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第21話 今日から始まる百合ハーレムと次の予兆


 駅に向かう最中、俺達は談話をしながら手を繋いで歩いていた。


 両側から大きなおっぱいが腕にふわふわ当たる。


「幸せだ……」

「へへへぇ、にーちゃんハーレムだねぇ」

「人生でこんな瞬間がガチでやってくるとは……」


「え~、でも昔から結構こういうことしてたよね?」


 確かにどこかに出かける時には二人の付き添いをすることは多かった。


 その際に二人は俺に甘えてくるのでこうして両側から手を繋いでくれる。


 だが両手に感じる手の感触というか、握り方や指先に込められた微妙な力加減が今までと違う。


「しかしこんなにおっぱいをくっつけられたことはなかった気がするし……前と今では意識状態が違う」


 二人の事は可能な限り妹のように思う意識をしていたからな。


 希良里きらりは握った手に指を絡まらせて恋人つなぎをしながらニギニギと動かしてくる。


 何というか、動きが凄くエッチだ。



「ふふ、兄ちゃんって紳士だよね。今日からは遠慮しなくていいからね」


「二人は彼氏ができた事動画で公表するの?」


「うーん。わざわざ言わなくていいかなって思ってるけどね。二人で一緒に歩いてれば彼氏とは思われないんじゃないかな」


「動画だとにーちゃんのことは割と言ってるしね。とっても大きくて頼りになるにーちゃんがいますって」


「つまり俺は動画内だと実の兄ポジ扱いなのかな」


「それに近いね。二人一緒に仲良しだからーって言ってある」


「まさか兄ちゃんが二人で共有の彼氏だとは思わないんじゃないかな」


「どうかなぁ。世間って邪推が好きだからなぁ。ゴシップ大好きなネットは」


「まあそんなの放っておけばいいよ。動画のインフルエンサーなんていずれ終わるんだから」


「そうだね。コスメとかファッションのプロデュースとかグッズで収入口は十分確保してるから、動画で目立つのは高校までかなって思ってる」


「凄いなぁ。そんな将来のこと考えてるのかぁ」


「そうだよー。だからにーちゃんはいつでもヒモになってくれて良いからねぇ」


「いやいや、それはさすがに男のプライドが……」


 ガチで稼いでる二人だから最悪主夫になってもやっていけると二人は豪語する。


 主夫もスタイルの一つとして悪くはないと思うが、やはり俺は社会に出て仕事もしてみたいからな。



「それはまあ最後の手段ということで」


「えへへ~。私達頑張るよ-……あ、それはそうと兄ちゃん」

「どうした希良里きらり

「実はちょっと相談があって……」


「おう、俺にできることなら言ってくれ」


「食事の準備なんだけど、夕飯を当番制にできないかな。今は全部私がやってるけど、これから生活スタイルが変わってくるとタイミング合わないこともあるから」


「もちろんいいぞ。希良里きらりにばかり負担を掛けるのは本意じゃないからな」


「助かる~♪ 兄ちゃんの手料理って凄く美味しいから好き♡」


「そんな大したものは作れないけど」

「そんなことないよ~。にーちゃんのお料理凄く美味しいもん」


 二人の言うように料理はわりとできる方だ。とはいっても、男メシって感じでかなり大雑把ではある。


 希良里きらりのような繊細にこだわった料理はできないのでほとんど市販の材料を使った簡単なものだからな。


 とはいえ、マズいものは作らないように姉ちゃんにミッチリ仕込まれたのでそこそこの腕ではあるはずだ。


 姉ちゃんはあー見えて料理はプロ級だからな。


 特にカレーとハンバーグが絶品なのだ。俺が姉ちゃんを完全に嫌いになれない理由がここにあった。


「じゃあ早速今日の夕食は俺が担当させてもらおうかな。何が食べたい?」


「「兄ちゃんにお任せ♡」」


「ふーむ。お任せか。では手始めに得意料理でハンバーグと行こうか。これとカレーは姉ちゃんにミッチリ仕込まれたからな。間違いないだろう」


「「わーい♡」」


「にーちゃんのハンバーグ楽しみだねぇ」

「ところで有紗ありさは少しは上達したのか?」


「うっ、そ、それは……」


 ちなみに有紗ありさの料理の腕は壊滅級だ。

 下手なものを作らせると特級呪物が出てくるからな。


 この様子では全然上達していないようだ。


希良里きらり、二人で交代で担当しようか」

「そーだねー」


「うう、ごめん。練習しますぅ」


有紗ありさちゃんは変にアレンジするクセさえ無くせばそれなりにできる筈なんだから」


「だってぇ」


 料理が一番できないタイプだな。教えた通りにできないのである。


 そんな会話を繰り返しながら駅に到着し、二人と手を繋ぎながら幸せいっぱいの通学路を楽しんだ。


◇◇◇



 三人でいつものように駅に辿り着き、改札を通ってホームへと入る。


 階段を上るときに短いスカートの下を覗かれないよう注意喚起を促したら「にーちゃんお父さんみたい♪」とか言われてしまった。


 二人とは身長差があるので俺は数段下を歩いて二人のスカートが見えないように壁になった。


 ちなみに二人とも俺にだけ見えるようにチラッとお尻を上げてパンツを見せてくる。


 からかうのを楽しむように視線を送りながら誘惑してくるのでお尻撫でてやろうとか思ってしまうぞ。


 まあやらないけど。


「にーちゃん優しい♪」

「ありがとね♡」

「お安い御用だ。でも他のヤツに見えちゃうぞ」


 これもいつものルーティンである。二人は痴漢にもナンパにも遭いやすいからな。


 ステップを踏みながら階段を駆け上がっていく二人はスカートよりも胸部に注目が集まっている。


(無防備なんだよなぁ二人とも)


 これでは勘違いした男が寄ってきても仕方ない。

 まあその露払いをするのが俺の役目であるが、あと1ヶ月もしないうちに卒業してしまう身としてはその後が心配で仕方ない。


 今までは俺が目を光らせていたのでサカった男は寄ってこなかった。


 だが俺が卒業してからはたっぷりと2年間チャンスがあると考える男がいても仕方ない。


 とりあえず二人の彼氏となった俺としては少なくとも同学年の男共は牽制しておかねばなるまい。


 中学の時はさほど問題にならなかったが、高校生にはその理屈は通じまいよ。


 本当に娘を心配するお父さんみたいな気持ちになってしまう。


 二人と恋仲になれた今だから以前よりそれがかなり顕著だ。


 一応大学は高校と同じ方向になる場所を選んである。

 通学の時間も二人に合わせれば卒業までガードすること自体は可能だろう。


 問題は学校内なんだよなぁ。



 と、そんな事を考えながら改札口に近づいてきたところで、意識を現実に引き戻される出来事が起こる。


「あ、にーちゃん、小春こはるちゃんだよ」

「ねえ、あれナンパされてない?」


「え、小春こはる? 本当だ……またチャラついたヤツに引っ掛かってるな」


 二人が指さした方向を見やると、チャラ付いた男が駅の廊下で我が校の女子生徒をナンパしているところに出くわす。


 それが見知った顔となれば見過ごすことなどできなかった。


 困り顔の少女の頭が人の波から飛び出て見える。彼女は背が高いのだ。


 横顔だけで可憐さとはかなさが同居した薄幸の美少女。


 特徴的なのは背の高さ。190センチある俺の頭半分ほどの背丈は女性にしてはかなりの高身長だ。


 色素の薄い髪色は角度によってはブロンドにも見えるライトブラウン。

 本人は色々気にしているようだが、俺は彼女の神秘的な髪色が好きだった。


 彼女が男を引き寄せてしまう最大の特徴は、その胸の大きさであろう。大きく張りだした大巨峰はどうしても目を引いてしまう。


 おどおどした態度も彼女のガードを緩くしてしまう要因となる。男好きする要素をこれでもかと詰め込んだ気弱な美少女は、放置しているとあっという間にお持ち帰りされてしまう。


 実際町を歩いているだけで定期的にグラビアやAVのスカウトにあうのだ。なにか特別なフェロモンでも出ているのかもしれない。


 幸いにして今までしょっちゅうナンパされても上手く逃げおおせていたものの、いつか実現してしまいそうで心配である。


 そんな女の子、姉ちゃんの後輩であり、俺の中学からの昔なじみ【雛町ひなまち 小春こはる】を救援に向かった。


――――――――


※後書き※

 新たなヒロインの一角が登場。

 ますます淫靡さが増していく百合ハーレムに更なる風が舞い込むのかッ⁉


 ★★★レビュー、ご意見ご感想お待ちしてます



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