「兄ちゃん、大好きだよ♡」
そんな心の内側が声に乗っていたのか、帰ってくるなり
「いいよ。何も考えずに
無意識に彼女を抱き締めて頭を押さえつける。
柔らかい感触が覆い被さり、落ち込んでいた気持ちは一瞬で霧散していく。
癒やしの天使が桃色の吐息を吐きながら体を差し出し、俺の心を癒やしてくれる。
つまらないことを考えていた自分のわびしさが許されていくような錯覚を覚えてしまう。
「
「天使は言い過ぎだよぉ♡ 兄ちゃんが大好きなだけだから」
俺は少しずつ意識を陶酔させた。
モチモチの膨らみに顔を埋めて体重を掛けていく。
もやついた気持ちを癒やしたくて
何度も何度もキスを交わし、気持ちの昂ぶりが
あれだけで乱れていた俺の心は、
◇◇◇
負担を掛けないように抱き上げて座り込み、彼女が離したがらないので二人の結合部は繋がったままになっている。
「なあ
「うん。言って……。話聞くから」
さっきは何も聞かないからと言った
だけど今度は、話を促してくる。
そんなあまりにも大きな愛に包まれて、自分がどれだけ素晴らしい女性に愛されているのが自覚していく。
己がどれだけつまらないことで思い悩んでいたのか考えると、情けなくて涙が出そうになる。
「俺に幻滅するかもしれないよ……」
「いいの。そういうの含めて全部兄ちゃんのこと好きだから」
まるで慈母のように俺の気持ちを包み込んでくれる。
俺は先ほどの姉ちゃんとの事を含めて
「好きっていうのは、その人の嫌な部分も、暗い部分も、全部含めて愛するって覚悟だから」
…………
……
「そっかぁ。いきなり見たらびっくりしちゃうよね」
「
「それは私の口からは言えないかな。兄ちゃん、
「女性としてってこと?」
「うん」
「でもそれは……」
「仮定の話だよ。私達の事は抜きにして考えてみて」
その迫力に押されて俺は自分の気持ちを素直に応えた。
「正直なところ、女性として見ていたとは思う。だけど、それを恋だとは気が付いていなかったんだ。俺は
「ふふ、そっかぁ。兄ちゃん私達のこと大好きだもんねぇ」
「ああ。だから俺は自分の気持ちが不誠実なものだってずっと思ってて、
弱気な俺の発言を、
そして優しさに満ちた微笑みで尋ねてくる。
「ねえ兄ちゃん。
「その口ぶりからすると、
「考えてみて……。客観的に、ちゃんと考えて……。兄ちゃんが考えないようにしていた可能性も含めて」
真剣な
だがここまでされて日和るわけには行かなかった。
俺は一番あり得ない……いや、自信のなさ故に、自己肯定感の低さ故に、きっとあり得ないと思い込もうとしていた可能性を口にする。
「俺……なのかな。でも
「あのね兄ちゃん、多分それ……答えは身近にあると思うよ」
「え?」
「同じ女だもん。
「そう、だったのかな、やっぱり……だとしたら俺はなんて不誠実な態度をとってたのか……」
「うーん。でもそれはハッキリしない
「え……いやでも……。それを聞いたところで俺にはどうすることもできないし、仮に
「兄ちゃんは
「それは、きっとなれると思う。
「答え、出てるじゃん♪ それを素直に伝えてあげたらいいんだよ」
「いやいや、待ってくれ
「そう言ってるんだってば。何のために私達が百合になったと思ってるの?」
「え?」
「
「じゃあそれって……」
「
「俺がそのことからずっと目を逸らしてたのか……。守るって名目でずっと」
「それは違うと思うよ。兄ちゃんは純粋な気持ちで
「そのつもりだ……下心がなかったとは言わないけど……」
「だったら自信持っていいよ。そして、私と
「マジなのか……」
「今度の卒業旅行、
そう言われた
その後、
だからという訳ではないのだが、俺は今まで気が付く事ができていなかった……。
いや、自信のなさと