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第34話 月夜に濡れた処女(おとめ) その3



「順平ちゃんとのキス……やっぱり気持ち良い……」

「姉ちゃんとどっちが気持ち良い?」


「ふふ……花恋かれんちゃんには悪いけど、ぜんぜん比較にならないや。フワフワして、気持ち良くて、幸せがどんどん溢れてくるの……」


 少しだけ申し訳なさそうに笑う小春こはるにもう一度口付け、布団に横たえた小春こはるの上に覆い被さった。


 と、その前に重要な事を思い出す。


「ちょっと待ってろ」

「どうしたの?」

「コンドーム取ってくる」

「準備いいんだ?」

「一応エチケットだからな」


「えへへ♡ なんか嬉しい♡ 順平ちゃん、今日“そういうつもり”でいてくれたんだ」


「そりゃあな。なんかヤリ目的みたいに思われないかちょっと心配だったんだが、そう思ってもらえて良かったよ」


「そんなこと思わないよ。嬉しい♡」


 好意的に捉えてくれて嬉しい限りだ。正直なところ、今日の今日でセックスになるというのは僅かな可能性だと思っていた。


 だけど準備をしないことは不誠実だと思って一応持ってきてよかった。


 サイズがサイズだけにちょっと値が張ったが、入るヤツがあってよかった。


「でもごめん……私の方がもっとエッチかも」

「ん? なんで?」


「えっと……実はね……ピル、飲んでるから……。準備万端でした~……なんちゃって」


小春こはる……お前……」


「え、えっと、花恋かれんちゃんがそうしておきなさいって」

「姉ちゃんが?」


「うん。卒業旅行のこと話した時から。そのおかげで嫉妬されちゃって。ここ最近ずっとウチに来てエッチ迫られちゃって」


「何やってるんだよ姉ちゃんめ。だからこの間ウチでもやってたのか」


「うん、あれは私が悪かったの。順平ちゃんが一緒にご飯作ってくれたでしょ? 嬉しくて浮かれちゃった。順平ちゃんに食べて欲しいって思いながらオムライス作ったから、花恋かれんちゃんが嫉妬しちゃって」


「なるほど。あの会話はそういうことだったのか」


「あはは。責めないであげて。なんだかんだで順平ちゃんとの仲を応援してくれてたから」


「なんだかさっきまでファーストキス無理やり奪った姉ちゃん憎しだったけど、急に可愛く思えてきた」


「うん。本当にそう。ファーストキスの時に本気で泣いちゃったから、それ以来本当に嫌がることは絶対にしないし、今日のことも色々準備してくれてたから」


「そうか。ちゃんとお礼言わなくっちゃな。じゃあ、コンドームは無しがいいって事でいいんだよな?」

「うん。初めては、直接感じたいって思ってたから……きっと私の方がエッチなんだよ」


「ははは……分かった」


 俺は取り出したコンドームをそっとカバンにしまい、小春こはるの元へと戻る。


小春こはるを直接感じられるって考えたらめちゃくちゃ滾ってきた……。小春こはる、始めるぞ」


「う、うん♡ 順平ちゃんの男の人、私に感じさせてください♡」


 起き上がっていた小春こはるを抱き寄せて口付けを行い、肩を抱き締めて頭を引き寄せた。


小春こはる、好きだ……」


「うん、好き……順平ちゃん、しゅきぃ♡ ……幸せぇ♡」


 小春こはるの腕が首元に絡みついて自ら舌を差し出し互いの指と指が絡み合う。


「ふわぁ……幸せぇ♡ 順平ちゃんとこんなにキスができるなんて、本当に夢みたい♡」


「俺もだ……。ぶっちゃけ小春こはるって、俺の好みど真ん中ドストライクなんだよな。だから俺もすげぇ興奮してる」


「本当に……? でも有紗ありさちゃんや希良里きらりちゃんは……」

「うん。彼女達もそうなんだけど、それはなんというか、説明し辛い感情の問題というか……幼い頃からずっと抱いてきた感情だから。正直、小春こはるから意識を逸らそうと必死だったのも。二人のこと以上に小春こはるを好きになってしまいそうだったから、かもしんない」


「嬉しい♡♡ 私、順平ちゃんの好みの女に、なれてるんだ♡」


「どんな言い方をしても誰かに対して不誠実になる気がしてるから、あんまり言葉にはしなかったんだけどな」


「私は、嬉しいよ。……順平ちゃんの好みの女になれて、凄く嬉しい。もうそれだけで胸いっぱいに幸せだから。順番とか、経緯とか、そんなの気にしないよ」


 唇同士が擦れ合っていくうちに、小春こはるの吐息が荒いものにかわっていった。


 その表情は頬が紅潮して目が潤んでいる。


「比べちゃいけないって分かってるけど……花恋かれんちゃんとのキスより、段違いだよぉ♡」

「へえ。どんな風に違うの?」


 なんだかここまで来ると興味が湧いてくる。

 俺は小春こはるの後ろに回り込んで抱き締めながらキスを送り、夢見心地のような表情で喘いでいる小春こはるに尋ねた。


花恋かれんちゃんは、最初の無理やりの時以降、してこないの。だから悲しかったって思いしかなくて……でも順平ちゃん、とのキスは、触れ合った瞬間から…… 気持ち良いのが身体の奥からぶわぁあって湧き上がってくる感じ……」


 男冥利に尽きる言葉を浴びせかけるように紡いでくれる小春こはるに興奮は高まる。


 あの姉ちゃんに勝ったような気がして妙に気分が良かった。


 俺はますます激しく小春こはるの唇を吸い、高まった気持ちは身体の行動へと表れていく。



 体感で30分ほどだろうか。俺たちはキスだけで時間を忘れそうになるくらい夢中に互いを求め合った。




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