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第36話 従順でいることが最大の喜びらしい


 浴衣を脱ぎ払い、ボクサーパンツ一枚になった俺を興奮した表情で凝視する小春こはる


「さあ小春こはる、俺に奉仕しろ」


 命令して♡と懇願されたら、そうするしかあるまい。俺はかつてないほど興奮してきた。


小春こはるはエッチな動画とか見たことないの?」


「動画はあんまり……。モザイク越しでも生の男の人って見るの気持ち悪くて……。同人誌とかなら……」


「へえ。なんか小春こはるらしいっちゃらしいかもな」


「な、なによそれぇっ」


「いやぁ、小春こはるってエロ動画っていうよりエロ同人って感じがするから」

「ぷぅうっ! なによそれぇ~」


「あ、その顔可愛い。初めて見たっ」

「ふえっ!?」


小春こはるの初めて、もらったぞ」


「も、もうっ、順平ちゃんの意地悪ッ」

「その顔も初めてだ。俺の好きな表情だ。どんどん俺の色に染まっていくな」


「えへへ、そっかぁ♪」

「てか、同人は平気なんだな」

「ん、そうだね。生の映像ってなんか気持ち悪くて、気分が悪くなっちゃうから……。本物は、これが初めて……」


「ゆっくりと、小春こはるの愛を込めて奉仕してくれ。テクニックとかは良いからさ」


 顔の間近にその匂いを感じた小春こはるの瞳には興奮の桃色が浮かび上がっているように幻視する。


 小春こはるの奉仕は彼女の性格を表すように几帳面で丁寧だった。


「もしかして、想像しながらオナニーした?」

「ひゃうっ! ぅう……言わなきゃダメ?」

「それやってるって白状しているのと同じだぜ?」


「ううぅ……。はい、してました……順平ちゃんと、エッチするの想像してて」


「ちなみに俺も小春こはるをオカズにしてた」

「ほっ、ホントにッ!?」


 場を和ませる為に言ったのだが思いのほか食いつきが凄い。

 まさかこんなセクハラ染みたセリフで喜ばれるとは。


「マジだぜ。お前無防備なんだもん」


 中学の時、人生で初のオカズにしたのは有紗だった。


 妄想シチュが豊富だったのは希良里であったり。


 だけど、回数で言えば無防備に胸チラなんかをしてくるもんだから自然と意識が向いていく小春こはるの方が多かったくらいだ。


 俺、やっぱり小春こはるのことめちゃくちゃ意識してたんだな。

 自分の心なんて自分ですら分からないってのは本当だ。


「これからは妄想を現実にして良いんだぜ? 妄想の俺はどんな風に小春こはるとエッチするんだ?」


「ん、ちゅ……えっと、引いたりしない?」

「内容によるなぁ」

「怖いこと言わないでぇ」


「冗談さ。いいよ。初体験の記念になんでも叶えてあげるよ」


「本当に……? じゃああそこの椅子に座ってもらえる?」

「分かった」


 彼女に言われるがままに窓際の椅子に腰掛ける。

小春こはる、どうして欲しい」


「ホントに引かない?」

「いいぜ。今日は小春こはるちゃん特別デーだ」


「ご主人様にご奉仕する性奴隷……」

「……マジで言ってる?」


「だ、だから引かないでぇっ」

「いやいや、引いてるわけじゃなくて、本当にそれでいいの?」


 先ほどの命令願望といい、小春こはるの性癖はドMが極まっているな。


「うん……、私、身体大きいから……もっと大きな順平ちゃんから、強く求めてもらいたかった。花恋ちゃんとお付き合いするようになってからは、順平ちゃんに奪い取ってもらって、落とされて、自分から奉仕する従順な奉仕者になる、みたいな……」


 随分とまあ具体的な妄想である。

 小春こはるは見た目以上に性欲と妄想力が強かったらしい。


 肥大化した妄想を現実の言葉に表すことは、確かにドン引きするヤツもいるかもしれないが、俺にとってはウェルカムもウェルカムだ。


小春こはる、最近気が付いたんだが、どうやら俺は独占欲がもの凄く強いらしいんだ」


「え?」


「だから、小春こはるが俺の女だってことを証明するようなご奉仕セックスは、ぶっちゃけかなり興奮する」


「本当に?」


「ああ。じゃあ、始めようか……小春こはる

「うん、いいえ、はい……ご主人様っ、小春こはるの初めてご奉仕、どうか楽しんで下さい……ふへへ、やばいかも……これ、自分で引くくらい興奮しちゃってるよ」


小春こはるはドMなんだな。今度メイド服とか着てみない?」

「ふへへ、それ良いかも。本当にご主人様っ、なんて呼んでみたいよ」


 普段はおっとりしている小春こはるだが、命令されてる表情は恍惚に染まって卑猥の一言だ。


 潜在的に相当性欲が強いのだろう。抑圧された妄想が現実の行動現れており、小春こはるは艶めかしい。


 椅子に座り、跪いて奉仕する小春こはるのなんと幸せそうな顔だろうか。


 それこそが自分自身の本分であると言わんばかりだ。

 抑圧女子は実はドスケベなんて低俗で下世話なありふれた話ではない。


 もっともっと崇高で純粋な感情だ。


【恥ずかしいけど好きな人の為なら】

 小春こはるを動かしているのはこの一点の感情のみなのだ。


 男はこれに弱い。

 小春こはるは羞恥心でいっぱいになりながら、それを越える奉仕精神で身体を動かしている。


 驚くべきことに小春こはるの技術は数秒単位で上達しているらしい。


 俺の快感ポイントを確実に抑え、動きの一つ一つがどんどん精錬されていく。


 小春こはるは確かについ先ほど初めて生の男の裸体を見た。

 それがどうだろうか。この一瞬で俺の特製を理解し、奉仕するだけでどんどん上達していく。


 乾いたスポンジが水分を劇的に吸収するように、今の小春こはるは未経験で真っさらの状態から【奉仕】という一点に極限まで高めた集中によってひたすら真っ直ぐ実力を伸ばした。


 多分ずっとずっと練習してきた有紗や希良里を遙かに超えるスピードで。


「精神が肉体を超越してるな……小春こはるって本当に凄いよ。可愛いよ小春こはる。大好きだ」


「んふ♡ 順平ちゃん♡ ……処女、捧げたいです」


 俺は小春こはるを抱え上げ、浴衣の紐を解いて衣服を全て剥いでいく。


「綺麗だ……小春こはる。なあ、一つ頼みがあるんだ」


「うん。なんでも言って……。順平ちゃんの喜ぶこと、全部する」


「処女膜、見せてくれ」


 その言葉を受けた小春こはるは、頬を紅潮させてとても嬉しそうに微笑んだ。


「うん♡ 見て♡」


 俺は椅子から立ち上がり、小春こはるを見つめる。


「綺麗だ、小春こはる


 口付けをかわし、割り開いて唾液を吸う。

 一枚残して全ての衣服を脱ぎ去った小春こはるの裸体は芸術的な美を湛えている。


 女性の裸体にこれほどの感動を味わうとは思わなかった。


「キス、やっぱり気持ち良い……♡」


「最後の一枚、自分で脱いで」


「うん……」


 俺は彼女の前に座り、それを凝視する。


 レースの入った下着が小春こはるの美しさを引き立てる。


「綺麗だな……勝負下着か?」

「う、うん……。今日の為に、花恋ちゃんが」

「なるほど。感動的だ……さあ、脱いで」


「はい♡」


 両手が下着の端を引っかけてゆっくりと引き下げていく。


 神秘的な女体の秘密の部分が晒されていき、月明かりがとてもハッキリとそれを照らしてくれた。


「順平ちゃん……嬉しいよ♡ 私、やっと順平ちゃんのものになれる♡ ずっと、ずっと夢だった……叶わないと思ってた……。順平ちゃん、大好き♡ 大好きだよ」

「俺もだよ小春こはる。気が付くのが遅れてごめん。自分がこんなにも小春こはるが大好きだったなんて、心が弱くてずっと目を逸らしてたんだ。有紗も希良里も大好きだったから、そのうえ小春こはるまで好きなっちゃいけないって思ってた」


「不思議だね。普通の感覚なら、浮気みたいな言葉なのに、順平ちゃんがちゃんと三人を好きだってこと、純粋に好きだってこと、ちゃんと分かるよ。順平ちゃんなら、ちゃんと全員愛してくれるって、全部分かる」


「自信は無いけどね。だから今から頑張る。小春こはるに支えて欲しい」


「うん。私、順平ちゃんの心、守るよ。順平ちゃんが全部失っても、私だけは絶対に順平ちゃんを守る」


小春こはる……」


「でも、有紗ちゃんも希良里ちゃんも、きっと同じ気持ち……。それに……」

「それに?」


「ううん。なんでもない。順平ちゃん……来て……♡ 私を順平ちゃんの女にして♡」


「ああ。それじゃあいくぞっ……」


 そうして、小春は大人になった。俺と2人で一緒に。




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