卒業式の帰り道、俺は
「と言うわけで、
「まぁまぁっ♪ とうとうやったわね
大変恰幅の良いマダムが目の前で大きな胸、と腹を揺らして喜んでいる。
俺は卒業式を終えた後、その足で
母子家庭の雛町家は卒業式から一足先に戻っていた
「この頃妙にウキウキしてるもんだからもしかしたらって思ってたのよぉ。二人とも全然進展がないからおばさん心配してたわ」
結婚して家庭に入ってからは大変恰幅が良くなっていらっしゃるようだが、生来美人であることがよく分かる大変整った顔立ちをしていらっしゃる。
俺は
「そうだったのねぇ。この子ったら私と違って全然積極的にならないからレズなんじゃないかって心配してたのよ~」
「ははは。まさかそんな」
少々ギクリとなったことは内緒だ。
正確に言えば彼女の場合は『レズになった』が正解であるが、本当の事を言うわけにはいかない。
恐らく、ハーレムの事も時期を見て話さなくてはならない時がくるだろうけど、今はその時期じゃない。
俺達の関係をもっともっと成熟させて、身も心も成長し、五人の絆が揺るぎないものになってから話すべきだろう。
いくらガキの俺でも、ハーレムなんてものが世の中に受け入れられないことくらい分かる。だけど、家族にはいつか話さなきゃいけなくなる時は、必ずくる。
「ま、順平君がようやく決心してくれて助かったわぁ。君じゃなかったらあの子一生お嫁に行けなさそうだし」
「ははは。まだ高校卒業したばかりなので、しばらくはカップルを楽しませて欲しいんですけど、駄目ですか?」
「そんなことないわよ。学生結婚だって悪くないけど、あの子にはちゃんと青春を謳歌して欲しいのよね。私が学生結婚だったから」
現実問題として結婚は将来的に真剣に考えなければならないだろう。
だが彼女は学生結婚だったらしい。そこに関しても思う事はあるはずだ。
「そうでしたね」
これから先も知る必要はないだろう。
「今日はお泊まりかしら?」
「もうっ、お母さんッ!」
「だってもう初めては終わってるんでしょ? 隠したって分かるわよぉ♪」
全部見通されているらしい。顔を真っ赤にする
顔を真っ赤にする
「じゃあデート楽しんでらっしゃいな」
「ありがとうお母さん」
そんな母君に苦笑を浮かべ、俺達は手を繋いで歩き出す。
◇◇◇◇◇
公園に出かけた俺達。
高校生活最後のデートは二人の時間を沢山共有出来るのんびりした空間が良いだろうと思い、静かな場所を選んだ。
「今日は
「えっ、それってどういう……あ、そうか、暖かい日ってことだよね、あはは」
「え……?」
とぼけた事を言う
「あはっははははっ、今のは最高だぞ
「も、もうっ! ちょっと間違えただけじゃないっ! 順平ちゃんの意地悪ッ」
「他にどういう意味があると思ったの?」
「えっと、それは……んと」
「エッチな意味だったりして♡」
「も、もうっ! そういうこと言う順平ちゃんがエッチなんだもんっ!」
「
段々と人が来ることが少ない穴場スポットへと向かっていく俺達。
広い緑地公園の片隅にある小さなベンチまでやってきた俺達は、他の同級生達が様々な場所に遊びに行くという誘いをすべて断ってここを選んだ。
「良かったのか
「いいの。私にとって最高の卒業式は、順平ちゃんとデートすることなんだもん。有紗ちゃんや希良里ちゃんも、きっとデートしたかったのに私に譲ってくれた。本当に感謝してる」
思い返せば、俺の高校生活も、ずっとずっと
俺は
「順平……ちゃん」
「
「うん、私も……愛してる」
そのまま口付けを交わし、近づいてきた春風が俺達を祝福してくれるように優しく吹いてくる。
「ふわ……順平ちゃん……。私ね、大学に入ったら、アルバイトしてみようと思ってる」
「バイトかぁ。社会経験を積むにはうってつけだよな」
「うん。今までずっと男の人が苦手で……どこに行っても声を掛けられるから怖くてできなかったけど、今なら勇気を出せそう……それに、ずっと順平ちゃんにおんぶに抱っこのままじゃ、情けないもん」
「俺はずっと
「うん。でも、私も成長したい。順平ちゃんの隣に堂々と立っていられる女になりたいの」
そして膝を上げて俺の腰に跨がって、両手を頬に添えてきた。
「
「高校生活最後の想い出が、恋人との冒険エッチ……これって成長かな。それとも、私が本当の自分に気が付いただけなのかな。人から見ればただ外でエッチしたいだけの変態女かも」
「
ここは外だ。恥ずかしがり屋の
そして丁度良いことに、ここは多くの場所から死角になっていて見つかる心配はほとんどない。
「大冒険だよ……お外でエッチなんて、絶対無理だと思ってた」
それを成長と呼ぶのか、あるいは成長の為の儀式なのか。
それとも単なる青春の迷走なのか……。
そんなものは、他人が判断することではない。
それが勇気となるならば、俺はそこに応えることに、ミリ単位だって躊躇したりはしない。
跨がった
「勇気を……勇気を下さい……♡」
高校生活最後の想い出は、