「キスだけなのに、凄くドキドキするね♡」
「俺もだ。青姦をするなんて思わなかったよ。でも、今はワクワクしてる」
「順平ちゃん、私の身体、どこが好きか聞いていいかな?」
「いいぞ。幾らでもあるよ。細かく言ったらどれだけでも言える」
料理が上手いところ。優しく気遣いできるところ。
俺の為に全力を尽くしてくれるところ。
でも彼女が聞きたいのはそこじゃなくて身体のことだ。
「この淡い色の髪がサラサラしてるところが好きだ。クリッとしてるのに少し垂れ下がった優しげな目。ぷっくりした唇。細くて線の通った顎のライン。俺の好きな女の子の造形、全てが理想通りだ」
それに、と俺は続ける。
「俺に届く背の高い
「うん♡」
「
「細くてくびれたこの腰のラインが好きだ」
その延長にあるもう一つの双球に辿り着く。
「柔らくて弾力のある太ももが好きだ。おっぱいと同じくらい大きくてムニムニしたお尻が大好きだよ」
本当はもっと、足の指先まで愛でてあげたい。
つまるところ、俺にとって
性格も、顔も、身体も、そしてセックスの相性も……全部が全部……。
「
「嬉しい……じゃあ頑張って体型維持しなきゃね。こんなに大きいと将来垂れちゃうだろうし」
苦笑する
「俺はその
「ありがとう順平ちゃん……私も、好きだよ。順平ちゃんの全部が好き……」
俺の世界は
「精悍な顔つきが好き……。意志の籠もった強い目が好き。セクシーな唇の形と感触が好き……♡ 顎のラインも、首の筋も……」
その指は段々と下に降りて胸板に這ってくる。
「筋肉で盛り上がった逞しい胸板が好き。八つに割れた強靱な腹筋をなぞるのが大好き……私を軽々と持ち上げる太い腕が好き♡ それを支える強靱な足が好きなの……そして」
這っていく指が身体の中心へと移動し、艶かしい動きでなぞっていく。
「そして私を毎日泣かせてくれる順平ちゃんのここが愛しくてたまらないの……ふふ、こんな言い方したら、凄く淫乱な女の子みたい……」
「俺はそんな
「私ね、順平ちゃんにそれを全部叶えて欲しい。もしも三人の誰にも言いにくい性癖なら、私に一番最初に言って欲しい……それが私の悦びだから」
「そうだな。
「
「それを引き出せることが凄いってことさ。俺もさ、
「ふふ、順平ちゃんがそれを望めば、私はいくらでも変われると思う。でも……」
「ああ。俺は多分……可愛い
「私は、順平ちゃんにいっぱいイジめて欲しい♡」
互いの思いと利害が一致する。俺は
「ブラジャーが付いてない」
「うん♡ 家で外してきちゃった……」
「じゃあ今日はずっとノーブラデートだったわけか」
俺は笑いがこみ上げてきた。
「順平ちゃん、いい顔してる。私、その顔の順平ちゃんにいじめられるのが大好き♡」
「ああ、
じっくりと時間をかけて
「ふぅ、ふぅ……やっぱり、さっきの話、撤回していいかな?」
「何がだい?」
息が弾み、トロンとした目の
「私、やっぱり順平ちゃんにはSになれそうもないや……、私、順平ちゃんに支配されたい。この心地良い心の響きは、私が順平ちゃんより上に立ったら、きっと味わえない……」
(私は順平ちゃんに支配され続ける事が喜びなんだ)
そのように
「私は、きっと前世から順平ちゃんに奉仕するためにいたんだって思う。生まれた時から順平ちゃんに従いたかった。そのくらい、この響きはとても心地良いんだ……」
なるほど。かなり大袈裟に聞こえるが、意外としっくりくるように思う。
前世どうのってのは何とも言えないが、それくらいに
「だから私、順平ちゃんの隣にいるのに相応しい女になりたい……だから順平ちゃんも」
「ああ。俺はお前がずっと支配されたいって思えるくらい、良い男であり続ける」
そしてそれは俺も全く同じ。少し甘えるくらいなら俺もやってみたいが、
いや、
俺達はそういう風にできている。それ以外の選択肢はない。
「愛してる。
「私も、愛してる……♡ 誰よりも誰よりも……、全てを捨てても良いくらい、愛してる。でも、私は捨てない。
対等でありながら、主従関係のように付き従う。
それが俺達の在り方であり、俺達のベストなのだ。
◇◇◇
キスを繰り返す
涙の理由は敢えて問うまい。その表情を見れば、何を持って流しているものかすぐに分かる。
卒業式という人生の節目。そんな日に結ばれることの喜びに震えているのだ。
愛おしそうに動く指が頬を包み、銀色の糸を引いて唇が離れる。
「順平ちゃん、好き……愛してる」
「俺もだ
互いの瞳が互いを捉え、再び唇を重ね合う。
「ねえ、順平ちゃん……」
「なんだ
「今から、ウチにきて……」
「
「私の部屋、久しぶりに来て欲しい……」
「そういえば、家に行くことはあっても部屋までは入らなかったな……」
「そこで、もう一回しよ♡ 高校生のうちに、彼氏とお部屋でエッチする夢、叶えたい♡」
「良い夢だ。行こうぜ……。
「
「うん♡」
その満足気な表情が、言葉の選択が正解だったことを悟った。
◇◇◇◇◇
春風が暖かい公園での愛し合いを楽しみ、その場を後にした俺達は雛町家にやってきた。
母君は友達とのディナーに出かけていて、俺と
丁度出かけるすんでの所に出くわしたのだが、『ニマァ~』と気味の悪い笑みを浮かべられて肩を叩かれた。
アレはもう完全にここで何をしようとしているのかバレている感じだ。
ウキウキしている
母君が帰ってくる夜まで続いた激しい"交わり愛"は、俺の精が尽き果てるまで続くのだった。
……一方その頃、有紗と希良里もまた、俺達の卒業を思って"交わり愛"をしていることを、後で聞かされることになる。