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第63話 その頃のキラキラアリス【side有紗】


 濡れた瞳を近づけて、希良里きらりの唇が重なってくる。


 心なしかいつもよりキスが激しい気がする。いつもより早いペースでシャツの中に手が伸びてお腹あたりを擦ってきた。

希良里きらり、興奮してる?」

「うん……なんか今日は、凄く有紗ありさちゃんが欲しくって」


 はは~ん、兄ちゃんいないから寂しがってるなぁ。

 とは言ってもウチも同じだ。


 ここ最近のウチらはにーちゃんがいない寂しさを埋める為にエッチすることが多くなってきた。


希良里きらり、今日はなんか甘えん坊だね」

「うん、ごめん、ちょっと色々考えてナイーブになってるかも」



 希良里きらりは脳天気なウチと違って色々考えてくれてる。

 兄ちゃんとエッチする時はウチと同じで完全にドMだけど、ウチとエッチする時は少しS気味というか、リードしてくれることが多い。


 にーちゃんとエッチ体験を終わらせた後、私達は二人きりでのエッチをする頻度そのものは少なくなったけど、以前よりも中身の濃い事が沢山できるようになった。


 いつもはやられる事が多く、良くて互角の攻め合いを楽しむ事が多い私達。


 だけど今日は少し違うことになりそう。いつも反撃してくる希良里きらりが今日は大人しい。


 相変わらず綺麗なおっぱいの形してるよなぁ。


有紗ありさちゃんだって、綺麗な形してるじゃない」


 抵抗しない希良里きらり

 ヤバい……こんなに可愛い希良里きらりは初めて見るかもしれない。


 頬が赤らんで目を伏せながら、いつもより控え目だ。


 今日の希良里きらりは凄く大人しい。たぶん、思った以上ににーちゃんが卒業したことに様々な思いを馳せているらしい。


 希良里きらりは頭が良い分だけ、人より多くのことを考えている。

 ウチは完全にそこへ乗っかる形になることが多い。


 みればみるほど大きさも柔らかさもウチよりあるし、張りもあってツヤも綺麗。



 身長152 バスト93のなんとJカップ。


 それなのにウエストは51、ヒップ82というナイスバディ。

 あり得ないでしょ? 


 なんなのよこの化け物スタイル。モデルじゃなくてグラビアアイドルの方が絶対似合ってる。


 ウチだってGカップなのに。


 頑張ってにーちゃんの好きなくびれ巨乳を目指してトレーニングしてきたんだから、普通の人よりスタイルが良い自信はある。


 ちなみにウチのスタイルは身長156、バスト88のGカップ。

 ウエストは53。 ヒップは85ある。


 バランス的にはウチだって負けてない筈なのにボリューム感で負けてる。


 にーちゃんウチのおっぱいに不満持ってないかな。希良里きらりがこれだけ完璧だとこっちは要らないんじゃないかって気もしてくるけど、乳首吸う時凄く嬉しそうだからそうじゃないと信じたい。


 希良里きらりの柔肉は吸い付くようにもっちりと手の平に張り付き、ゾクゾクした欲求の衝動が湧き上がってくる。


「攻められて大人しい希良里きらり、可愛いね。今日はウチが意地悪したくなっちゃう。こんなに感じやすい希良里きらりは初めてだよ」


 希良里きらりはこの頃感度がめちゃくちゃ上がったと思う。

 自分も割と似たようなものだけど、希良里きらりの方がもっとえげつない。


「だって有紗ありさちゃんが意地悪するから」


「ね、今日はアレ使ってみよっか」

「あ、いいね……、そうしよう」


 希良里きらりはベッドルームにウチを誘い、先日通販で購入した物をケースから取り出す。


 それはいわゆる大人のおもちゃだった。

 レズビアン用のピンク色をした棒状のアイテムで、真ん中のスイッチを押すと振動するものだ。


 真ん中から先端に掛けてくびれた部分があり、膣内に入れて振動させると気持ち良くなれる代物。


「改めてみるとなんかエッチな形してるよね」


「うん……処女は捧げたから、おもちゃ使えるね……。兄ちゃんの許可はもらったし」


 そう、二人でエッチするに当たって、私達が自分達に掛けていたかせを外す時がやってきた。


 "にーちゃん以外の男性器を膣内に入れるかどうか"


 例えハリボテでも、モノを入れるのは果たして受け入れられるのか。


 今日は自分達を試す機会でもあった。


 たぶん、普通の人は躊躇なんかしないんだろう。

 ウチも希良里きらりも、処女膜を守ることに徹底してこだわってきたから、その弊害というか後遺症みたいなものができてしまった。


 にーちゃん以外を入れるのを躊躇してしまうようになっちゃったんだ。


 裏切ってるような感覚に陥るんだよね。もちろんそんなの錯覚の話でしかない。


 たかがプラスチックの塊なんだから、そんなのは裏切りでもなんでもない。


 にーちゃんもそんなの気にしないだろうし。


有紗ありさちゃん、いっぱい気持ち良くなろうよ♡」


 そんなウチの悩みを見抜いたように、双頭のディルドの先端に舌を這わせ、ウチの情熱に火を付けた。


 やっぱり希良里きらりには敵いそうもないや。



◇◇◇


 互いが互いに、「愛しい人とのセックスには遠く及ばないけど……」という条件は付くものの、初めて味わう振動の愛撫に酔いしれた。


「ねえ希良里きらり

「なぁにぃ?」


「物足りないよね?」

「うん……やっぱりプラスチックじゃ満たされない」


「ウチらってさ、もともとにーちゃんのためのレズビアンじゃん」

「うん」


「だったらやっぱり、もっとエッチで見栄えのするプレイを覚えなきゃ」


「それ思ってた。どんな風にするのが良いかな……ぁ、そうだ。兄ちゃんの動画フォルダによるとね」


 希良里きらりはスマホを取り出してエロ動画サイトから引っ張ってきた動画を再生させる。


「うわぁ、なるほどぉ……。これって気持ち良いのかな? やりにくそう……」


「慣れれば大丈夫だと思うけどね。とにかくやってみようよ」


「オッケー♪ じゃあやってみよう」


 なんだかんだ動画をみて興奮したというのもある。

 二人はこれから始まる未知の体験に思いを馳せて頬を上気させた。


 双子のようによく似ている二人。周りからはそう言われているが、本人達にその自覚はない。


「ねぇ、有紗ありさ、ちゃん」

「なに?」

「私達、似てるって、言われるよね」

「うん……言われる……」

「それってどうしてだと思う?」


「そんなの分かんないよ」

「え~簡単だと思うけどなぁ」

「それってどういうこと?」


「だって、一緒に行動して、一緒にトレーニングして、一緒にお化粧勉強して」

「あ、なんか分かってきたかも……そうだよね。いつも一緒にいるし、いつも一緒に同じ事考えて、同じ事目指して」


「そうだよぉ、同じ事、目指して。 同じこと頑張って、それで」


「「同じ人に、好きになってほしいから♡」」


「ねえ、有紗ありさちゃん」

「なに?」


「とりあえず女の子で恋人やってまぁすって、言っちゃおうか」

「だね……。にーちゃんの事は、成り行きに任せようか……。変な虫が付かなきゃいいけど」


「そこは小春ちゃんと花恋ちゃんに任せよ~」




 数日後。



 学校で始まる、昨日までと違う昼休み、二人は教室でクラスメート達と談話していた。


「町田さん達とこうしてお話するのってなんか新鮮~」

「いつも先輩のところ行ってたもんねぇ」


「そうなんだよねぇ。にーちゃん卒業しちゃったし」


 そんな会話が続くなか、いつも通りというか、好奇心旺盛な女子からこんな質問が飛んでくる。


「それでさっ、先輩って付き合ってる人いるのかな? 格好いいよねぇっ」


「うーん、実はウチら、二人で付き合ってるんだぁ」

「え? それって」


「私と有紗ありさちゃんは、恋人同士でーすっ!」


「「「ええええええっ」」」


 驚きの声を上げるクラスメート達が一斉にざわつき始めた。


「え、じゃあガチレズってこと?」

「そうそう。だからお互い恋人同士なんだよね」


「え、じゃあ樋口先輩は?」


「もちろん兄ちゃんのことも大好きだよ。たぶん男の人で彼氏にするなら順平兄ちゃん一択かな」

「もしもの話だけどね~。やるとしたら、【私達百合なんで二人とも愛して~】って言うかも」


「あはは、そうなんだ」


 有紗ありさ希良里きらりは互いが恋人同士であることをカミングアウトし、SNSは話題騒然となった。


 学校内ではあらかじめそういう雰囲気作りをしておいたおかげで大きな混乱はなく、むしろ納得する人が増えた。

 嘘と事実を織り交ぜることで、徐々に受け入れる人を増やしていくことになる。



 事務所にはあらかじめ話を通してあり、投稿動画の荒れたコメント欄に対処するための説明動画をあらかじめ制作しておくなど、事前準備をしっかりとした上でのカミングアウトだったので、そこまで大きな混乱は起きなかった。


 この日以降、クリーンなイメージは保ちつつ、キラキラアリスは愛し合うカップルであることを隠さなくなっていく。


 性的なコンテンツを含んでいない動画がメインだったため、多少荒れたりはしたものの、二人の普段の行動からイメージが大きく崩れることはなかった。


 むしろ二人の中を応援するという温かいコメントが大半を占めたことは、二人の普段からの自助努力のたまものであるといえる。


 初めからそういう路線でキャラ作りをしていたこともあり、キラキラアリスはそんな女の子同士のカップルチャンネルとして認識する人も多くなり、ますます人気を博していくこととなった。



 後の話になるが、キラキラアリスの二人が樋口順平に受け入れられた事は二人が徐々にイメージを浸透させていくことで、自然と受け入れられて事実と相違がなくなる状態になっていくことになる。


 二年生が始まって半年後にはそうなるのだが、そのための努力を始めていくのだった。


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