俺は
姉ちゃんに
料理の得意な人間が三人も集まっているのでさほど苦労はない。
俺はといえば、パーティーに必要な飲み物を買い忘れた事が発覚し、取り立ての免許で車を運転して買い出しに来ているところだ。
料理が壊滅級でお手伝いすら拒否された
車は母ちゃんがワンボックスカーの使用許可を出してくれた。
うちの母ちゃんは車が好きで、古い車をお下がりでもらう事ができた。
「デート♪ デート♪ にーちゃんとデート♪」
同行している
なにげに俺が運転する車の助手席に初めて乗せた事で「にーちゃんの初めてゲット~」なんて喜んでいた。
「にーちゃんハンドル握ってる姿なんかセクシーだね」
「どの辺がそういう風に感じてるんだ?」
あまりにも褒められるから照れくさい。
車を立体駐車場に停めた後にカートを引きながら食料品売り場に繰り出そうとした。
「ねぇにーちゃん、食品売り場の前にちょっと付き合って欲しいところがあるんだけど、良い?」
「もちろん良いぞ。何か買いたいものあるのか?」
「うん。気になってるショップがあるの♡」
「よし、なら先にそっちを買いに行くか……」
女の子の買い物というのは長くなる。
そういう言葉を聞いたことがあるけど、それとは別の意味で苦労を伴う種類のショッピングが存在することを、女の子とのデートというものに慣れていない俺は気が付いていなかった。
◇◇◇◇◇
「こ、これは……」
「ほらにーちゃん。こっちきてぇ」
そう、そのショッピングとは……。
「どうかなにーちゃん、このレースのホワイト、可愛いと思わない?」
「お、おう……可愛いと思うぞ。しかし、こっちの刺繍の方が
「え~どれ~? にーちゃんとってきてぇ♡」
俺は陳列棚に並んでいる目に付いたセットを手に取って渡す。
店員さんはそんな俺達を微笑ましい表情で見守ってくれている。
笑いものにならないだけマシであるが、これはこれで中々に拷問だ。
俺が無駄にでかくて目立つのもそれを助長してしまっていた。
「わお♪ にーちゃんセンスある~っ。こういうの好きなんだぁ」
「
「えへへ~。にーちゃん私のこと分かってる~♪」
「
「……」
「どうした?」
「にーちゃんズルい。ときめく。濡れちゃうじゃん」
「なんで?」
「なあ
「ん? なぁに?」
「その新しい下着、買えよ。そんでさ」
「うん♡ 分かってる」
俺の思考を読んだかのように「にへら~」と凄い笑顔を浮かべている。
「お客様、こちらはJカップですが」
「大丈夫で~す。こっちは私じゃないので」
どうやら
「にーちゃんお待たせ~。えっとね、次はあっちのショップにいきたい♪」
「おういいぞ。ナンボでも付き合ってやる」
それから
「早く早く。買い物終わらせて車に戻ろうよ~♪」
「分かった分かった。そんなに引っ張るなって」
急いで買い物を終わらせようとする
レジも比較的空いていて素早く終わらせる事ができた俺達は足早に車へと戻っていった。
◇◇◇◇◇
買い物を全て終え、戻ってきた俺達は早速荷物を後部座席に置いて準備に掛かる。
何の準備かと言えば……。
「じゃじゃーん♪
車内はカーテンで仕切られ、外から見えるようなことはない。
隙間は多少あるが、後部座席の窓には遮光フィルムが貼ってあるから目を凝らさないと見えないので二重の意味で安心だ。
俺は
「まずは~、春に向けての新作コーディネート」
合図を受けて振り向くと、女の子座りをした
パステルカラーで固められたコーディネートは薄いブルーのシャツに真っ白なプリーツミニスカート。
ピンクのカーディガンを羽織った全身春色のコーディネート。
明るい性格の
「凄いなぁ。こんなに明るい色の組み合わせを堂々と着こなしてる」
「似合うかな、にーちゃん?」
「ああ。めちゃくちゃ可愛いよ
「上手い表現だねぇ。じゃあ次行くよ~」
そうして次のコーデ、次のコーデと
狭くて天井の低い車内であるから立ち上がることはできず、ポーズを変えたりする時にチラチラと下着がスカートの中から覗いたりしてドキドキしてしまう。
「♪」
わざとらしくなく、あくまでも自然に覗くパンチラは俺のリビドーをゆっくりと上げて行く。
しかしそれも段々と大胆になっていく。
やがてコーディネートも一巡した頃、一番最初に褒めちぎった組み合わせに戻った。
「にーちゃん。今日のコーディネートは今度動画で
「おお、それはいいな。先に見せてもらってお得な気分だ」
「それでこっからはにーちゃんだけの独占配信サービス~」
胸元のボタンを外し、膝を立ててパンティを食い込ませるように見せつけてきた。
ゴクリ……
喉が多くなると同時に
「にーちゃん♡」
その一言だけで十分だった。
腰を前に突きだし、その足があぐらをかいている俺の足に絡んでくる。
「この服を脱がせるのはにーちゃんだよぉ♡」
柔らかい胸が押し付けられ、密着した女の子の体温が股間をズクズクと疼かせた。
◇◇◇
「おせえぞ順平ッ! どこで油売ってたんだおいっ」
「はごっ!? ごめん姉ちゃんっ」
帰ってくるなり姉ちゃんの鉄拳制裁を受け、遅くなった事を咎められる。
「スンスン……兄ちゃんエッチしてきたでしょ」
「ぎくッ」
「ふへへぇ~、超気持ち良かった~♪」
「ほれ、さっさとパーティー始めるぞ」
「ふえ~い」
「順平ちゃん大丈夫?」
「あんまり……」
「ほら、掴まって」
「あんがと小春……お前は優しいなぁ」
小春に肩を貸してもらい立ち上がると、脇腹におっぱいの感触が当たってヘブンを作り出した。
小春もそれに気が付いたのか、さり気なく押し付けてくれる。
腕を掴んで肩に回させた手をさり気なくおっぱいに誘導するところもポイントが高い。
体裁はあくまで肩を貸す救護活動。しかしお互いにお互いの体温を感じながら楽しんでいた。
「なにおっぱい触ってんだコラッ」
「ホグベッツッ!?」
「きゃああ順平ちゃんっ!?」
そんな感触を楽しんでいると反対の脇腹にヒジを喰らったのは言うまでもない。
「おい順平」
「あんだよ姉ちゃん」
なにやら耳を引っ張られて小春の肩から強制的に離されてしまった。
「車、ちゃんと消毒と消臭しておけよ。母ちゃんにバレたら取り上げられるぞ」
「そ、それは確かに」
母ちゃんお気に入りのワンボックスカーを汚したとあっては殺されかねない。
俺はパーティー会場に入る前に消臭スプレーを片手に換気と臭い消しに従事するハメになった。