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第72話 レジャーに備えて水着選び


 春休み満喫中の俺達。今日は日曜日ということで先日の約束通り春休みのプールレジャー用に水着を買いに来た。

 ワクテカである。


 私は非常に期待に胸膨らんでいる……。 非常に素晴らしき、良き日になるのであるっ!!


 8人乗りのワンボックスカーに乗り込んでキラキラアリスプロデュースの新作水着が揃っているセレクトショップに出かけることになっている。


 今日は姉ちゃんの運転である。小春こはるも帰りには運転する予定となっており、今度の5人での旅行のために練習しておこうということだ。


 朝ご飯を食べてから5人でクルマに乗り、家から30分ほどの場所にあるショップにやってきたわけである。


 今日はプロデュースしてる2人が友人を連れて来店しているということで貸し切りにしてくれている。



 俺達は心置きなく買い物を楽しむことができそうだ。身体のデカい俺がいるとどうしても何処でも目立ってしまうからな。



 今日は本来開店日なのだが、キラキラアリス来店の時間だけ店を閉めてもらっている。



 ついでに宣伝目的の動画も撮影予定で、買い物が終わったら俺が撮影係になる予定だ。


「あ、お待ちしておりました。ようこそ町田様、門野様。本日はご来店いただきありがとうございます」


 恭しくお辞儀をする店員さんは若い女の子向けのショップらしいお洒落な私服に身を包み、目のやり場に困るほどに神秘ゾーンが見事な谷間を作っている。


 あんまり凝視すると恋人達に怒られそうなのでなるべく視線を合わせないように適度に会釈をしながら女の子達の買い物を見守ることにした。


◇◇◇◇◇


「にーちゃん、にーちゃんっ、これどうかなぁ? 有紗ありさのイメージに合う?」


「うーん、そうだな。グリーンもいいけど、有紗ありさはもっとハッキリした色の方が良いと思う」

「そっかぁ、ん~、じゃあやっぱりパールホワイトの方がいいかな」

「そうだな。有紗ありさにはやっぱり明るい白かな」

「へへへぇ。やっぱりそうだよねぇ」


 有紗ありさは以前に下着選びをした時のように俺に意見を求めてくる。隅っこで大人しくしていようと思っていたのだが、そうもいかないらしい。


「兄ちゃん兄ちゃん。私はどうかな? この黒とかどう? 大人っぽくて良いと思うんだけど」

「うん、似合うと思う。でもそうだなぁ。希良里きらりは髪が桃色に近いから、ハッキリした色より淡い色に合わせた方が良いんじゃないか?」

「あ、そうだねっ! じゃあさっきの有紗ありさちゃんが持ってたライトグリーンのヤツにしようかな」


 有紗ありさ希良里きらりは次々と水着を持ってきて俺にアドバイスを求める。


 彼女達の求めているのは自分の好きと俺の好みの境界線をすり合わせる作業なのだと思う。


「順平ちゃん……。私も選んでもらっていいかな」

「そうか、小春こはるはあんまりこういう水着を買ったことないもんな」

「うん。恥ずかしいし、そもそもサイズがなくて」


 今日連れて来てもらったセレクトショップは胸の大きい女性向けのファッションが立ち並んでいる専門コーナーを設けている。


 流石に胸の大きい2人がプロデュースしただけあって、サイズの大きい女性にも嬉しいデザインの服や水着が陳列されていてかなり人気らしい。


 だから小春こはるのように超級サイズのおっぱいの持ち主でも心置きなくお洒落を楽しむことができる専門店として人気を集めているらしい。


 無論、通常サイズの服もあるので姉ちゃんのように小さい成人間近の女性でも大丈夫だ。


 姉ちゃんの場合、必然的にSサイズとかになるけど、それでも余る時があるから子供服にせざるを得ない時もあるからな。


 プライドがあるので子供服を着ることはあまりないが、無難に見える子供サイズを使うこともあるので極端なサイズの女性特有の悩みがあるらしい。



 有紗ありさ希良里きらりが着替えている間に小春こはると一緒に似合いそうな水着を選んでみる。


 小春こはるは俺が言えばどんな恥ずかしい格好でもしてしまいそうだが、キャパオーバーになってしまっては良くないので、適度に可愛くて、そこそこ大人っぽく、かつ恥ずかし過ぎない程度には攻めたデザインを選んだほうがいいだろう。


「順平ちゃん」

「どうした小春こはる


「んと、私ね、今までずっと人見知りで恥ずかしがり屋だったから、あんまりお洒落しすぎないようにしてたんだけど」


 確かに小春こはるはすぐにナンパされてしまうので地味目な服を選ぶ傾向がある。


 それに気が付いたのは彼女を女性として意識した最近の話であるが、男を引きつけてしまう小春こはるがお洒落に目覚めれば、男を引きつけ過ぎるだろう。


 だが、最近になってそれは違うことに気が付いた。


 小春こはるが男を引きつけてしまうのは魅力的なことも勿論だが、1番は『押せばヤレそう』と思わせてしまうオドオドした態度にも大きな要因があると思われる。


 だから背筋を伸ばしてしっかりとした態度を心がけるようにすれば、魅力的であってもそうそう近寄ってくる男も減るだろう。


 すぐには難しいだろうが、堂々とした態度と、ナンパを断れる勇気ある行動をとることができるようになれば、もっと状況は良くなるはずだ。


「だから、いっその事お洒落してみようと思って」

「そうだな。よし、少し大胆にせめてみるか。ナンパされても俺が守ってやるから安心してお洒落しようぜ」

「うん、ありがとう♪」


 決意した小春こはるのために少し大胆目な水着を選んでみる。流石にセレクトショップと言っても小春こはるサイズになると種類も少ない。


 俺はその中で1番お洒落で女の子らしい、かつ適度に大胆なビキニを選んでみた。


「これなんかどうだ?」

「うん。じゃあちょっと試着してみるね」


 俺の選んだ水着を持って試着室に入っていく小春こはる。ルンルン気分になってくれたのがよく分かる。

 恋人の精神的成長がみられて俺自身も嬉しくなってしまうな。


「順平……」


 そんな小春こはるを見送っていると、試着室のカーテンから顔だけ出した姉ちゃんが俺の名を呼んでいた。


「どうした姉ちゃん。気に入ったのあったか?」

「ん……一応……。あたしも、似合うかどうか、みてくれ」


 なんか照れくさそうな可愛い赤ら顔をしている姉ちゃんに萌えつつ、試着室まで足を運ぶ。


「おお、大分攻めたな姉ちゃん」


 姉ちゃんの着ている水着は花柄のフリルで胸の部分にカーテンを作った体型カバー型のビキニを着用していた。

 美しいくびれが作り出す大胆な曲線がとても似合っていた。


「すげぇ。綺麗だ姉ちゃん」

「そ、そうか。じゃあこれにする」


「まだ1着だろ? いいのか?」

「お前が気に入ったならそれでいい……」


 姉ちゃんが可愛い。とんでもなく可愛かった。


「にーちゃ~~んっ! 水着撮影するからカメラ持って~♪」

「お、おう、分かった。ごめん姉ちゃん。ちょっと行ってくる」


「ああ。行ってこい」

「姉ちゃん、綺麗だ。今すぐ抱きたいくらいだぞ」

「早く行けアホッ」


 照れ隠しで殴られた。全然力は籠もってないし、なんなら嬉しそうにニヤニヤしている。


「にーちゃんどうかな?」

「おおうっ!? ちょっと大胆すぎないか? 動画のレーティング大丈夫か?」


 有紗ありさ希良里きらりはかなり大胆なマイクロビキニを着用している。もはやエロ水着の領域に達しっているではないか。


「これはにーちゃん用だからねぇ♪」

「門外不出だよぉ♡」


 キラキラアリスとしてではなく、有紗ありさ希良里きらりとしての2人で大胆な水着で撮影することとなった。


 その後、公開用のスタンダードなファッション水着のプロモーション動画を撮影し、一人につき2,3着の水着を購入して店を後にした。


 そして小春こはるのお洒落する用にいくつか二人のコーディネートで服を選び、試着を繰り返した。


「すっごおいっ! 小春こはるめちゃめちゃ可愛いよぉ♡」

「そ、そうかな? ありがとう」



 プロポーション抜群の小春こはるが春用の少し大人っぽいコーディネートをすると、店員さん達が感嘆のため息を漏らしたのが分かる。


 そして小春こはる希良里きらりが選んだ超大胆なマイクロビキニを手渡され、期待に胸を膨らませた俺を見てから意を決した。


 「う、おお、凄い……」


 思わず見とれてしまった。



「こ、これは、順平ちゃん専用だからね」


 そんな俺の心の何かを感じ取ったのか、小春こはるの口元が微かに微笑んでいた。




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