お洒落服と水着を購入し、ホクホク笑顔で店を出た俺達だったが……、オープンした瞬間にキラキラアリスのファンの女の子達が集まってしまいちょっとしたパニックになってしまうひと幕があった。
どうやら店で彼女達を見かけたファンがSNSで拡散したことでこんな風になってしまったらしい。
「あのっ、もしかしてこの間の動画で出ていたマッチョのお兄さんですかっ!?」
「え、ああ、いやその……。はい」
「うわぁ、うわぁあっ! すごい筋肉ッ! ちょっと触っていいですか!」
どうやらこの間の動画で俺を見てくれた子達らしい。
「え、いや、うーん。それはちょっと」
まさかの事態にちょっと慌ててしまった。女の子達にキャーキャー言われるのは悪い気はしないが、
既に四人の不機嫌オーラが滲み出している気がする。
「あのっ、すみません!」
どのように断ろうかとあれこれ考えていると、俺の腕をとった
「ウチの彼氏なので、ベタベタされるの、ちょっと困ります……っ」
「うわ、き、綺麗な人……」
「つか、胸でか……」
「あんなに綺麗な人が彼女かぁ。ちょっとチャンスなさそうだなぁ」
女の子達は
「ありがとう
「……」
「
「じゅ、じゅんぺ~」
「え、姉ちゃん?」
「どうしたの?」
「囲まれて揉みくちゃにされた……」
どうやらチビッちゃくて可愛い姉ちゃんをみた女の子達に囲まれて「可愛い可愛い」と質問攻めにされてしまったようだ。
ファンの子達を満足させたキラキラアリスの二人が戻ってくるまで、俺達は隅っこのベンチで大人しくしていた。
「むぅ……兄ちゃんっ!!」
「にーちゃぁんっ!」
「おう、お疲れさん」
戻ってきた二人は何故か不機嫌だった。
なんとなく理由は察したのでどうお詫びしてご機嫌を取ろうか思考をフル回転させたことは言うまでもない。
「あ、あの、皆さん……これからどこへ……?」
セレクトショップを後にした俺達は、本来なら繁華街でランチの予定だったのが……。
俺が女の子に囲まれてデレデレしたことで不機嫌になってしまった
そして姉ちゃんに何事かを指示してクルマを出発させたのである。
「にーちゃんには罰を受けてもらいまーすっ」
「他の女の子にデレデレした罰でーすっ」
「うん、それはゴメン……」
不可抗力とはいえ、恋人達の前で他の女性を毅然とした態度で断れなかった俺に非があるのは間違いないだろう。
運転手は
後部座席の1番後ろにある三人掛けの席に座って両側に二人が胸を押し付けるように迫ってきていた。
俺は言い訳や抵抗をやめて殊勝な態度に臨むことにしている。女の子に囲まれてちょっとテンションあがってしまったのは事実であるからな。
まあ、四人とも本気で怒っているわけではなく、それを口実にしてイチャイチャしようとしていることは何となく分かるので抵抗しないでいる。
キラアリの二人は腕に引っ付いてずっと甘えてくる。
クルマを運転する
「ところでどこに向かってるの?」
「ないしょー! そろそろにーちゃんには目隠ししてもらいまーすっ」
「えー?」
「はい目を閉じてぇ」
「分かったよ」
俺に拒否権はないらしい。さっき予約がどうのこうの言っていたのでどこかの施設に向かうのだろうか。
逆らってもいい事はなさそうなので素直に目を閉じて大人しくしたがった。
その直後に何やらゴソゴソと音がする。
「よいしょっ」
何事かと薄目を開けて確認しようとしたところで、頭に何かを被せられて視界が暗くなる。
「なにやら温かいな……こんな布どこにしまってあったの?」
蒸しタオルにしては湿り気が足りない。生温かいし、なにやら香水の香りがする……。
タオルかと思ったが手で触ってみると形状が大分違うし薄い。
「ってこれパンツじゃんッ!」
形は完全にパンツのそれだ。ほのかに温かいところをみるとどうやら脱ぎたて。いま履いていたパンティであることは間違いなさそうだった。
「さーて、ウチと
「むむぅ……クンクン……この匂いは……」
「うわっ、真剣に考えてる。兄ちゃん可愛い♡」
恋人のパンツを頭から被って真剣に腕を組むというのは中々にシュールである。変態であることは認めよう。
「これは
「ほほう、その理由は?」
理由と言われても、
強いて言うなら、
二人の性格をそのまま表しているような気がして、その意見をそのまま伝えた。
「そっかぁ、うひひっ。ウチは爽やかかぁ」
どうやらご機嫌になったらしい
「なあ正解したから許してくれるか?」
「それとコレとは別問題でーす。じゃあ次のパンツは誰のでしょー?」
「え、これまだ続くの?」
それから今度は本当にタオルで目隠しされ、二度三度とパンツを鼻に押し付けられる。
流石に運転中の
あと言葉にはしないが、
「着いたよー」
そんな遊びを繰り返していると、目的地に着いたらしいことを
「じゃあにーちゃん付いてきてー」
「どっちに行けば良いかな?」
「そのままエレベーター乗って大丈夫だよぉ」
エレベーターに乗ったらしい俺達はそこから無言でどこかへ向かっており、妙に緊張した。
「うわ……広いね……」
ただ、雰囲気的に何となくホテルではないかと思った。空気感というか、空間全体に漂ってくる匂いみたいなもので下半身が疼く感じがするのだ。
「
ごにょごにょと耳打ちらしい声が微かに聞こえてくる。ここまで来たら流れに身を任せるしかない。
皆が怒っているわけではないことは何となく分かるので、たぶん俺はお仕置き名目で何かされるのは間違い無い。
「兄ちゃん靴脱いで~」
「お、おう」
「ん~♡ スンスン♡」
「あっ、
「ご、ごめんなさい、良い匂いだったからつい……」
首筋に感じる
どうやらいつの間にか何をやるか相談済みらしい。
「はい、にーちゃんこっちだよ」
「お、おう」
まだ目隠しを取らせてもらえないまま、靴を脱がされて座るように促される。
ギシリと柔らかい感触の上に座り、どうやらベッドらしいことが分かる。
「もうちょっと後ろにずり下がってねぇ」
「はい、寝っ転がってぇ」
ギシ、ギシッ、ギシッ、ギシイィ……
四人分の体重がベッドの上に乗っかったのが分かる。
暗闇の中で感じる全員の気配。
何が起こるのか分からないまま、四人に見下ろされているのが何となく分かる。
異様な気配で視線を浴びせられ、なんとなく落ち着かない……と同時にゾクゾクした気持ちがわき上がってくる。
「「「「せーのっ!」」」」
「ぐえっ!?」
いくら鍛えていると言っても人間の体重の自由落下には流石にダメージを受ける。
体重の軽い女の子の柔らかい感触が四人分。俺の身体に落下してくる。
「みんなで~」
「いっしょに~」
「匂い付け~」
「するぞっ」
四人分の身体が一斉に乗っかり、全身を擦りつけながら鼻先と唇を色々な場所にキスをし始める。
「お、おおうっ!?」
「に~~ちゃ~んっ、女の子にデレデレしたお仕置きぃ♡」
「
シャツの中に頭を突っ込まんでくる二人分の頭。
耳元で
目隠しされている分だけ鋭敏に感じる全員の鼻先と息遣いの感触が奇妙な興奮を与えてくれる。
「みんなまだペロペロしちゃ駄目だよぉ」
「「「はーい」」」
ムードメーカーの
「お、おっふ……」
「はむはむ♡ 耳たぶ噛み噛み~♪」
「ちゅぱちゅぱ~♡」
「お、ほうぅふぅ」
変な声が出てしまう。キラキラアリスの美声が艶めかしく響き、脳の中に直接愛撫されるような錯覚を起こした。
「お、お、おぉ……み、みんな」
「にーちゃんの匂い、上書きしちゃうんだから」
「他の女の子の感触全部忘れてね~」
やっぱり皆の嫉妬が今回のことに駆り立てたらしい。
唇で愛撫しながら、四人が四人とも全身を擦りつけてくる。
まるで匂いを擦り込むように。動物同士がグルーミングするように唇と唾液、身体全部を使った匂い付けをされていく。
「今日はにーちゃんから愛撫禁止ねッ」
「お、おう。分かった」
「じゃあ皆、ペロペロ愛撫始めよっか♡」
「「「賛成~♡」」」
唇と身体を擦りつける声に湿り気が増し、四人の舌と指が一斉に襲い掛かってきた俺の股間が期待にふくらみ始めたのは言うまでもない。