目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第74話 感触当てゲーム


 視界が塞がり、感覚が鋭敏になった俺の身体を、四人の女の子達が這い回る。


 指、唇、そして舌……。


 身体全部を擦りつけて四人分の体温が身体の匂い全部を塗り替えていくようだ。


「ふへへ……にーちゃんビクビクして可愛い♡」

「たまには無抵抗の兄ちゃんもいいかも♡兄ちゃん、今日は命令無しだからね。全部私達に任せてみて♡」


「お、おうっ、おううっ」


「順平も四人相手だと形無しだなぁ~」


 姉ちゃんめ、後で覚えてろよ。


「今日は順平苛められる絶好の機会だからなぁ。四人がかりでアヘアへにしてやるからなぁ」


花恋かれんちゃんフラグくさーい♪」

「うるせぇぞ有紗ありさ。好きなカレーも毎日じゃ飽きるだろ」


 姉ちゃんのカレーは次の日にはちょっと違う味に変わってて飽きないんだけどなぁ。

 トッピングとか調味料変えたりとか、細やかな気遣いに愛情が籠もってて好きなんだ。


「れろれろっ、んちゅぅ、順平のアホッ」


 サラッと悪口を言われた。でもなんでか悪い気はしない。もしかして俺が心の中で褒めたのが分かったんだろうか?


 不思議なこともあるもんだが、心なしか舌先の動きが丁寧に艶めかしくなっていく気がする。


「じゃあ次のプレイに移行しよー。名付けて~」

「"兄ちゃんに皆の匂いを刻み込もう”♡」


 なにやら新しい催しが始まるらしい。


 抵抗することを許されていないからもどかしい感が半端ない。


「にーちゃん、ちゃんと目隠しできてる?」

「お、おう。なんも見えない」


「じゃあ、ちゃんとウチらの匂い嗅ぎ分けてねぇ」


 ゴソゴソと音を立てて布が擦れる音が耳に届く。それが異様な艶めかしさを生んでくる。

 たぶん、ブラを外しているんじゃないだろうか。



 ヒタ……。


「おう……? これは……小春こはるの匂いか」

「ッ♪ 正解だよ順平ちゃん♡」


 顔の表皮にぬくもりが伝わる布地がピッタリと触れた。ブラジャーだ。レースの刺繍の形が妙にムラムラしてくる。


 小春こはるが凄く喜んでいるのが分かる。息遣いが揺れて弾み、彼女がとても喜んでいるのがベッドの軋みからよく伝わってくる。


「むぅ……小春こはるちゃんだとすぐに分かるのなんか悔しい」

「まあまあ。今日いっぱい染みこませようよ♪」


「じゃあ次~」


 鼻先に触れるブラジャー。香水と、汗と、ほのかな皮脂の匂い。全てが折り混ざって一人一人個性を作っている。



 これは、みんなとの付き合いが長いからこそ分かるのではないだろうか。


「最初は希良里きらり。次は有紗ありさ。最後は姉ちゃんだ」


「すっげぇ♡ にーちゃん全部分かっちゃうんだ」


「下着の匂いで四人分嗅ぎ分ける弟に複雑な気分だ……」



「姉ちゃんのは大きさで分かっパガホッ!?」

「一言余計だッアホッ」


 付け加えた一言で腹にパンチを食らった。


「変態極まれりだねぇ」


「そんな明るくディスられても……」


花恋かれんちゃんだってにーちゃんのシーツで自家発電してるくせにぃ♪」

「え、そうなの?」

「バッ……それ言うなってッ!」


 初耳なんだが……。姉ちゃんの変態性を垣間見た気がする。


「じゃあぁ、今度はおっぱい当ててみよっか♪」

「それも姉ちゃんだけ大きさで分かるボフッ!?」

「だから一言余計だっつーにっ」


 追加攻撃を食らった。どうにもこの口は姉ちゃんに一言言わないと気が済んでくれないらしい。


「ところがそうもいかないんだなぁ」


「なんで?」


「当ててもらうのは肌の感触だからね。それも舌先で触れるだけ。これなら大きさ関係無いでしょ?」


「なるほど。それは面白そうだ。彼氏として全問正解を目指さないわけにはいかないな」


「今回は難しいぞぉ。頑張れにーちゃん」


「はい、第一問」


 希良里きらりの声がして早速眼前に近づいてくる気配がする。


「ッ……♡」



 微かな声が漏れる。肌感触で当てるとは言われているが、それ以外の要素を材料にしてはいけないとは言われていない。


 つまりこの可愛らしい呻き声も判断材料にしていいわけだ。

 しかし、微かに漏れ出す色っぽい息遣いだけでは少々判断し辛いのも事実。


 有紗ありさ希良里きらりは声もそれなりに似ているのでちょっとだけ迷っていた。


 今のところ希良里きらり7、有紗ありさ3くらいの割合だ。


「うーむ、ちょっと分かりにくいな。もう一回舐めていい?」

「しょーがないなぁ。そんじゃ出題者の人はもう一回お願い~」


 有紗ありさの指示でベッドがギシリと動く。声のする方向とは別の気配が動いたので、これは有紗ありさではない可能性が高い?

 女の子の食感を楽しみながら誰のモノかしっかりと思考を巡らせる。


「むぅ、先っぽに触れるだけでは中々に厳しいな。せめて口に含ませてくんない?」


「口の含むとおっぱいの大きさ図れちゃうじゃん」

「むむぅ。確かに。姉ちゃん一発でバレバうふんっ!?」

「だから一言余計だっつーのっ!」


 腹筋に拳を喰らって悶絶する。姉ちゃんは容赦がない……。


「よっしゃぁっ! ならばどんとこいやぁっ! 当てたるわいっ!」


「その意気だよー。じゃあ次ーっ」



……


……


「にーちゃんすげぇ。全部言い当てられるようになっちゃったっ」

「ここまでくると変態とかそういうレベルじゃないな」

「順平ちゃんすごい」


「ははっはっはっ。ハーレム王の名誉回復ッ……ところでそろそろ目隠し取って良い?」

「駄目デースッ。まだゲームは終わってないよぉ。今度は手の感触とテクニックで当ててもらわないと」


 そんなわけで、繰り返しやっていくウチに段々誰のモノか分かるようになっていき、ほぼ百発百中になるまで時間は掛からなかった。



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?