【side
「
「なによ……お姉ちゃんのクセに……
マネージャーに裏切られるというあまりにもショッキングな出来事から一夜明け、激動の1日が過ぎて疲れ果てたこの日の夜。
私、"
「ほら、いつもみたいにしっかり奉仕しなさいよねっ。
妹の
「……んんっ、痛い……デス……
「なによ。そんな媚びた顔してるクセに…ッ。男に守ってもらえて興奮してるの? あのクソみたいなマネージャーがいなくなってせいせいしてるんでしょ」
謂れのない難癖を付けられて、妹は私に苛立ちと興奮をぶつけてくる。
「ひぅっ……んっ……乱暴、イクない……デス……」
妹の
確かにあのマネージャーの視線は以前から怖いと感じていた。普段は温厚で優しいのに、時折ヘビのように鋭くねっとりとした視線を感じることがあった。
私はロシアで生まれ、これまでの時間のほとんどをロシアで育った。
だから日本に来たのはつい最近で、まだまだ日本語も勉強中だ。パーパは日本人だけど、私と接する時はほとんどロシア語で喋ってくれたから日本語を覚える機会は多くなかった。
私と
実は他にも姉妹兄弟がいるのだが、私がロシアで暮らしていたこともあり、あまり会ったことがない。
同じくロシアで生まれ育った
なぜなら私のマーマと
私はほとんどおじいちゃんとおばあちゃんのいるロシア本土で育ち、不思議と日本という国にはあまり強い興味が湧かなかった。
ところが最近になって、もともと日本にも頻繁に行き来していた
私はおじいちゃんおばあちゃんと離れたくなかったけど、他ならぬ
「気弱なお姉ちゃんのお世話してあげてるんだからッ、しっかり奉仕しなさいよねっ」
マーマにも相談できないこの悩みは、私の中に少しずつストレスとしてたまってくる。
だけどそれをおばあちゃんに相談したら、『それは
他ならぬおばあちゃんの言いつけだから、私は
双子の母はどちらも快活な性格をしているのに、どうしてか私は引っ込み思案な性格に育ってしまっている。
私は
「んんぅううっ」
袖の端を口に咥えて絶頂を迎えた妹の足が私の背中に絡みついて締め付けてくる。
頭を押さえられて息ができなくなる。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ……はぁ……、ああ、気持ち良かった……」
「
足を離した
先ほどまでの傍若無人な態度は鳴りを潜め、どうしていいか分からないと言った様子でオロオロし始めた。
「
『
『ты в
急に弱々しくなった
私がこの理不尽とも思える感情の暴力に怒りを覚えないのも、彼女が本質的に感情のコントロールが不得手な幼さを有していると分かっているからに他ならない。
私の愛しい愛しい妹。兄弟姉妹は多けれど、同じ環境で育った実の姉妹は
だから私は
『お姉ちゃん……おっぱい』
『んっ……いいよ。いっぱい甘えなさい』
ひとしきり感情の暴走を終えた
母の母乳を吸う赤ん坊のように私の乳首に吸い付き、『ごめんなさい……』とロシア語で繰り返しながらシクシクと泣き始める。
私はそんな情緒不安定な可愛い妹の頭を撫でて包み、母のような気持ちになって慈しんだ。
やがて涙袋が乾いた頃、
しばらくの間そうしていたのだが、そっと離れてベッドから降りる。
『熱い……』
熱く火照ってしまった身体は情欲を求め、下腹部と乳房に甘い疼きをもたらした。
一刻も早い自慰行為への渇望と、音を立ててはいけないもどかしさがせめぎ合い、自然と息が荒くなってしまう。
こんな所を誰かに見つかってはいけない。
特にヒグチさんには……。
ヒグチさんは、私のパーパに雰囲気がよく似ている。大きくて、柔らかい空気感をまとい、優しさと温かさで包み込んでくれるような空気感を持った人。
顔付きの精悍さや、溢れ出る生命力の気配。それでいて何者も包み込んでしまうような包容力。安心感を覚える空気。
思い出すと下半身が熱くなるのは、どうしてだろう?
そんなことを想いながら、フラつく足取りに耐えてトイレの近くまで辿り着く……。
――ぁ、んっ、ぁあ
ギシ、ギシッ……と、何かが軋むような音が聞こえる。
トイレのドアノブに指を引っかけたところで耳に届いた奇妙な音に気が付き、思わずそちらに意識を向けた。
――順平ちゃんっ、順平ちゃん♡
微かに聞こえてくる甘い呻き声のような音。
それは艶かしいものであり、経験のない私にも卑猥なモノであることを理解させてくる。
視線の先には半開きになったドアから灯りが漏れている。
好奇心に駆られて気配を殺し、荒くなる呼吸を抑えながら近づいた。
『我慢しちゃイヤッ。順平ちゃんの生きてる証を、注ぎ込んでッ』
えっ、ええっ!? 思わず上げそうになった声に口元を抑える。
体、重ねてる……それも、大きな身体の男の人に三人もの女性が絡みついた状態で……。
(うそっ……っ!? あれは
全員が後ろ姿でこちらは向いていないが、どのような顔をしているのか伝わってくるようだ。
(ハーレムだ……。やっぱりヒグチさん達はハーレムだったんだ)
半ば確信に近いものが、初めてあったときの雰囲気から感じとる事ができた。
三人の、いえ、今日合流したヒグチさんのお姉さんを含めた四人から感じる空気感や視線は、全て彼一人に注がれていることが分かった。
男性経験のない私にとって、それが恋愛なのか、家族の情のようなものなのかは分からなかったが、この現場を見せられては男女のそれであったと納得せざるを得ない。
「す、すごい……ぁあ、凄い」
私はいつの間にか目が離せなくなっていた。
ヒグチさんは何度も彼女達に情熱を注ぎ続けた。
「にーちゃん、ぜんぜん、足りない……もっと、もっとほしい」
「ごめんなさい順平ちゃん、私ももっとほしい。もっともっと命の証を注ぎ込んで」
「兄ちゃん、いっぱいご奉仕するからぁ。
(ええっ……まだ続けるのっ!?)
ヒグチさんの精力は枯れることなく、三人もの女性を何度も愛し抜いていた。
(男の人って、あんなに何度もできちゃうものなの……ッ? なんだろう、身体が熱い、熱くて、知りたい……。男の人に抱かれるって、どんな感じなんだろう……)
今まで男性に恋や性欲を感じたことはなかった。でも、この初めての感覚をどう処理したら良いんだろう。
熱く、淫靡な、湧き上がるような衝動が身体を支配する。
それから私は、幾度にも渡ってセックスを続ける彼らに魅入られてひたすら自慰行為に耽り、ハッと我に返ってその場を離れたのは多分何時間も経ってからだった。